新型コロナウイルス感染症拡大の下、「病床逼迫」「医療崩壊の危機」「看護師不足」等が、大きくクローズアップされました。 政府は緊急事態宣言の発令等で国民の協力を訴えてきましたが、このような状況をもたらした背景を考えるには、政府がとってきた厳しい医療費抑制策が、すでに日本の医療を危機的状況に追い込んでいたことに目を向ける必要があります。政府は、医療の高度化や超高齢社会に対応したマンパワーの養成を意図的に抑制してきました。その結果、すでに2000年代のはじめには、医師不足による医療機関の廃院、病院での産科や小児科などの診療科の閉鎖などが社会問題になっていました。
それでも政府は、 その状況を逆手にとり、「病院の統廃合」をいっそう推し進めてきました。地域住民から病床を奪うことで、マンパワーに応じた病床数へと、医療機関が「縮小均衡」を図らざるを得ない状況がつくりだされてきました。こうした政策の結果、意図的に脆弱化させられた「医療提供体制」の下、新型コロナウイルス感染症が襲ったのですから、医療現場が大混乱に陥るのは必然です。
つまり、もともと進行していた医療崩壊や、医療提供体制の様々な矛盾を、新型コロナウイルス感染症の拡大が顕在化させたというのが、現場の医療関係者の実感です。首相や閣僚の言動からは、こうした長年の医療費抑制策への反省は一切見られません。それどころか、医療機関に十分な補償を行わず、この混乱に乗じて、国民に新たな患者負担増を提起する始末です。
この冊子では、こうした問題点をみていきながら、医療費抑制策を転換する道筋について、皆さんと考えていきたいと思います。
●詳しくはこちらのPDFをご覧ください。