[保存版] どうなる窓口対応 12月からの資格確認
厚生労働省(厚労省)は24年5月から6月にかけて、現行の健康保険証廃止に関する意見募集(パブリックコメント)を実施し、1カ月で5万3千件を超える意見が寄せられた。短期間に過去に例がない規模の意見があり、しかもその内容は健康保険証廃止に反対・慎重に対応すべきだという意見がほとんどを占めた。しかし、健康保険証の新規発行を廃止する方針は強行におしすすめられている。
マスコミや政府の宣伝により、24年12月以降健康保険証がなくなる・使えないような誤解が広がっており、12月からの資格確認の方法について、問い合わせや不安の声が寄せられている。窓口対応が混乱しないよう整理して解説する。
窓口での対応
現在は、患者が加入する保険者から交付された「健康保険証」か、マイナンバーカードに健康保険証の利用登録の申請手続きを済ませた「マイナ保険証」で資格確認している。24年12月2日以降、資格確認の方法が9種類になる(表Ⅱ参照)。
厚労省が24年8月25日現在として発表したオンライン資格確認システム導入医療機関は、約9割にのぼっている。一方、システム導入医療機関の中でマイナ保険証を用い資格確認した割合は、歯科診療所では17%、医科診療所においては10%となっている。現行の健康保険証で資格確認している割合が全体の9割ほどを占めるのが現状だ。
窓口での資格確認の方法について、表でまとめた(表Ⅰ)。
12月からの資格確認
24年12月以降も健康保険証で資格確認ができる(25年12月1日まで)。マイナ保険証登録の患者についても、オンライン資格確認未導入医療機関や、停電・ICチップ破損等で資格確認できない場合の対応が厚労省から示されている。
マイナ保険証で資格確認ができない場合
▼オンライン資格確認対応医療機関
マイナ保険証未登録患者は、健康保険証(❶)で確認する。
カードリーダーの不具合などトラブルの場合は、健康保険証(❶)、資格確認書(❷)資格情報のお知らせとマイナ保険証の現物(❺)、被保険者情報のPDFをスマートフォンにダウンロードしたものとマイナ保険証の現物(❻)いずれかで確認し、その負担割合で窓口徴収する。
過去の受診で必要情報を把握していれば、患者への口頭確認でも資格確認となる。その場合、患者からの聞き取りや過去の受診歴で確認できた「現在」の被保険者番号を入力するか、オンライン資格確認において資格無効の場合には喪失した「旧資格確認情報」で請求する。
「被保険者資格申立書」について
過去の受診歴からも確認できない場合、「被保険者資格申立書」とマイナ保険証現物を確認し、資格確認となる。「不詳レセプト」として、摘要欄に患者の住所・連絡先等を記載し、被保険者番号などは不詳とし「7」を必要な桁数分入力する。
▼オンライン資格確認未導入医療機関
24年12月2日以降も今まで通り、健康保険証(❶)で資格確認をして診療ができる。
また、マイナ保険証登録患者については、資格確認書(❷)資格情報のお知らせとマイナ保険証の現物(❺)、被保険者情報のPDFをスマートフォンにダウンロードしたものとマイナ保険証の現物(❻)いずれかで確認し、その負担割合で窓口徴収する。
健康保険証などの取り扱いについて
現在、健康保険証とマイナ保険証がある。オンライン資格確認の不具合やマイナ保険証が利用できず、トラブルとなった事例が国会で問題となり、被保険者のあるべき負担割合で窓口徴収する仕組みとなっている。
ただ、資格確認の方法が複数あるため、窓口では複雑になる。24年12月2日以降窓口で提示される資格確認の方法を9通り示す(表Ⅱ)。発行されるタイミングや確認方法が異なるため、混乱が予想される。代表的な健康保険証の発行などについて、紹介する。
表Ⅱ 2024年12月2日以降 被保険者の資格確認一覧
❶健康保険証
[全ての医療機関](表Ⅲ)
2024年12月2日以降は新規発行されない
2024年12月1日までに交付された保険証は、経過措置により最大1年間有効
国民健康保険は2025年10月31日までが最長(大阪市)
後期高齢者医療は2025年7月31日までが最長
❷資格確認書
[全ての医療機関]
2025年12月2日以降、健康保険証に代えて「資格確認書」で資格を確認する
マイナ保険証を保有しない全ての方へ申請によらず交付される
有効期限は5年以内で保険者が設定する
❸マイナンバーカード
[オンライン資格確認対応医療機関]
マイナンバーカードに被保険者情報を紐づけた「マイナ保険証」マイナンバーカードに格納された「電子証明書」は5年間有効2024年12月から、電子証明書の有効期間満了後3カ月間は、資格確認できる
❹顔認証マイナンバーカード
[オンライン資格確認対応医療機関]
暗証番号の設定を不要とし、本人確認方法を顔認証または目視確認に限定したマイナ保険証
保険証表面に「顔認証」と表記されているもの
❺マイナ保険証+資格情報のお知らせ
[全ての医療機関]
「資格情報のお知らせ」とマイナ保険証現物いずれも確認
「資格情報のお知らせ」はマイナ保険証を持つ人に交付される
❻マイナ保険証+被保険者情報(PDF)をスマホにダウンロード
[全ての医療機関]
「医療保険の資格情報」とマイナ保険証現物いずれも確認
「資格情報のお知らせ」の代わりにマイナポータルからダウンロードする「わたしの情報」/「医療保険の資格情報」
❼マイナ保険証+被保険者資格申立書
[オンライン資格確認対応医療機関]
「被保険者資格申立書」とマイナ保険証現物を確認
「被保険者資格申立書」は医院で準備し、患者が記入する
❽スマートフォン
[オンライン資格確認対応医療機関]
健康保険証とマイナンバーカードを一体化させた「マイナ保険証」の機能をスマートフォンに搭載したもの。2025年度以降に実装予定であるが、医療機関で設置された顔認証付きカードリーダーに入らないものがあるため対応を検討されている
❾次期マイナンバーカード
2026年中を視野に導入が進められている。券面記載事項や電子証明書の有効期限の延長等が検討されている
マイナ保険証手続きしていない患者(表Ⅲ)
・協会けんぽの患者は従来の健康保険証で資格確認をする。転職、転居等の異動がない場合、最大で25年12月1日まで有効。それ以降、健康保険証に代わる資格確認書が自動的に交付(期限:最長5年)される。厚労省医療保険部会で「資格確認書の切れ目ない交付」が確認されている。
・国保の患者については、市町村等(保険者)から健康保険証が10月頃送られる。最後の健康保険証発行となり、期限は1年間の25年10月末日まで有効となる。それ以降、被保険者に届く資格確認書で確認する。資格確認書の期限は1年としている市町村が多い。
・後期高齢医療の患者については、更新時期である8月に健康保険証が送付されている。期限は1年間で25年7月末日まで有効。25年7月中に、資格確認書が送付される。有効期限は1年となる見込み。24年12月2日以降に、後期高齢者医療制度の被保険者となった場合は資格確認書が送られる。
マイナ保険証手続き済みの患者
マイナ保険証の健康保険証利用登録の更新は、5年に1度となっている。20年からマイナンバーカードの健康保険証利用登録が開始した。つまり、初期にマイナンバーカードに健康保険証の利用登録をした人の更新時期が25年となり、患者自身が更新手続きをする必要がある。25年を期にそれぞれが登録したタイミングで更新時期が異なる。
マイナ保険証「解除申請」について
23年春にマイナ保険証紐づけ誤りが発覚し、国民の中でマイナ保険証への不安が広がっている。保団連・協会をはじめとした運動、国民の世論におされ、マイナ保険証の紐づけ解除ができるようになる(下図参照)。
Q マイナ保険証の利用登録解除を申請する被保険者について、資格確認書の申請を案内する必要はないか。
A マイナ保険証の利用登請される方については、被保険者が切れ目なく必要な保険診療を受けられるよう、利用登録の解除申請の受付と同時に、本人の申請によらず資格確認書の交付手続を行っていただくこととしており、資格確認書の申請を案内いただく必要はありません。
[10月から開始] マイナ保険証「解除申請」について
厚労省は、2024年2月に「マイナ保険証の利用登録の解除について」を発出し、通知の中では「10月末目途」に解除申請受付開始の準備をするよう、各保険者に通知している。
様式も示されていることから、申請した場合各保険者において受け付ける必要がある。患者の中で、マイナ保険証の利用登録解除をされたい方には、案内されたい。申請書は協会HPからダウンロードできる。
ポスターご活用を
2025年12月1日までは、健康保険証で資格確認が可能。
協会は「健康保険証をお持ちください」ポスター(B4判)を9月上旬機関紙と別便(透明封筒)でお送りしている。窓口での混乱防止のため、ポスターご活用を。
追加注文は協会へ(06-6568-7731)