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第1298号 2024.11.11 TEL 06-6354-8662 Fax06-6357-0846 大阪社会保障推進協議会 |
2024年大阪府統一国保スタートの今年、本当に「受益と負担は公平」なのか?〜藤井寺市民病院廃院後の状況と全国の「統一」にむけた全国の現状について
ご存知のように今年は大阪府統一国保1年目です。大阪府ホームページは統一国保について以下のようにアップしています。ここに書かれている「被保険者の受益と負担の公平」という言葉は保険料水準の統一について枕詞のように書かれていますが、いま、受益である「医療を受けられること」は公平なのでしょうか。
いま、河南地域の医療が非常事態となっています。
大阪狭山市にある近畿大学付属病院は堺市に2025年11月11日に移転します。大学病院のサイトには以下のように書かれています。
近畿大学(大阪府東大阪市)は、大阪府堺市の泉北高速鉄道泉ケ丘駅前への医学部および近畿大学病院の移転(令和6年(2024年)予定)を計画しています。新しい病院では、高齢化社会を見据えた斬新な医療を展開し、近畿大学医学部および近畿大学病院の強みである、がん治療や心臓・脳血管障害などの高度最先端治療の一層の強化を図り、優秀な人材確保ならびに思い切ったIT化による病院機能の効率化、充実を図ります。また、南大阪における基幹病院および救急災害拠点として地域医療に貢献してまいります。 |
南大阪における「救急災害拠点」として、と書かれていますが、河南地域から堺市泉が丘に災害時に行くというのは途中に山があり、まず無理です。山崩れがあれば塘路は寸断されます。
そして昨年度末に藤井寺市民病院が廃院となりました。今後、松原氏にある阪南中央病院が徳洲会病院に吸収される計画がすすんでいます。
藤井寺社保協・源さんに藤井寺市民の状況について寄稿していただきました。
★藤井寺市民病院廃院後の状況
2024年3月末をもって藤井寺市民病院が廃院となりました。その後の藤井寺市の医療はどうなったか。地元の声や通院していた人、また藤井寺市がどんな政策を打とうかとしているかなどを報告します。
まず、医療難民が多数でています。今まで市民病院に通っていた人たちはそれぞれ別病院を紹介されていますが、市民病院であれば複数課の受診でもその中ですべて治療できていたのが、何か所も病院をはしごすることになりました。しかもそれが遠くにあれば通院そのものが困難になります。かといって近隣の病院を探すと、どこも満杯!
受け入れが出来なくなるほどの患者で受診を断られています。高齢者や移動手段の無い方は医療を受ける事そのものが困難です。今、地元の皆さんは切実に医療機関の設置を求めています。
一方で藤井寺市は10月から3回の「市民病院跡地の未来を考える まちデザインワークショップ」を開催しました。ホームページで参加を募っていたので社保協メンバーも申し込みワークショップに参加しました。30人程の参加者は6つの班に分かれてそれぞれ意見を出し合い、跡地利用についてまとめたものを毎回発表すると言う形式でしたが、私の個人的な感想で言えば「貴重なご意見を頂いた」という市長の感想を聞くだけで、実効性のあるものとは思えませんでした。結局「皆さんのご意見を踏まえて有識者と相談」して決定すると言うのです。地元の皆さんの意見を優先的に聴こうとする姿勢は見られず、ワークショップに参加していた複数の地元の方たちは3回目の集まりにはもう来られませんでした。 【藤井寺社保協 源会長】
★以前より大阪府内市町村の医療費格差が拡大しているのではないか
2016年3月17日に大阪社保協が大阪府に提出した意見書では、以下のように意見をだしています。
【意見】 1.「医療費格差がない」というのは机上の空論である 大阪府は年齢調整(補正)後の医療費市町村格差が 1.2 以下であり、それをもって「医療費格差がない」ことをと統一保険料計算ができる根拠としていますが、それは以下をもって机上の空論であると指摘せざるを得ません。
(1)1.2=1ではないし、1.2がなぜ格差がないといえるのか、根拠が全くしめされていません。
(2)仮に計算上の格差が1.2であるとしても、例えば山間部に都会からの病院が移転するはずもありません。さらに大阪府内にも医療過疎地域が厳然と存在し、産科がない、小児科がないという地域(例えば河南地域、泉南地域など)があります。 |
当時、大阪府は43市町村の一人当国保医療費の格差が年齢調整後1.2倍なので限りなく1に近いとして「
統一国保料」を打ち出しました。しかし、8年経過した現在、この医療費格差は拡大しているのではないかとの問題意識をもっています。
★兵庫県は医療費格差1.2を「大きい」と判断
次の図表は「兵庫県における保険料水準の統一に向けたロードマップ」の中で、「保険料水準の統一に向けた現状整理と課題」として「『同じ県内で同じ家族構成で同じ所得であれば、同じ保険料』となることが、県内の市民・町民にわかりやすい保険料体系であることや国保財政の安定化につながり望ましい姿と考えるが、各市町で保険料算定方法が異なることや事業規模等に濃淡があることなど、同一所得・同一保険料を達成するには課題が残されて」いるとして根拠として挙げられている各市町の医療費格差です。大阪とほぼ同じく最大格差は1.2程度です。兵庫県はこの格差を「大きい」とし、大阪府は「小さい」と判断しているのです。
★全国どこもが「完全統一」にむかっているわけではない
大阪府のサイトでは「全国的に保険料水準の統一を進めていくために国が令和5年に『保険料水準統一加速プラン』を策定し、令和12年度には全都道府県で納付金ベースでは統一を図るという方針がだされています」と書かれていますが、全国の最新の都道府県運営方針での集約が以下の一覧表です。完全統一、納付金ベースの年度を明記しているところはそれなりに積極的と言えますが、欄外のところは現時点では議論もしていないところです。大阪府は「完全統一」のトップランナーのつもりで、全国が後をついてくると思いたいようですが、全くそういう状況ではありません。
厚生労働省が昨年10月に出し、さらに今年6月にも改訂版がだされた「保険料水準統一加速プラン」ですが、大阪府のことが見事なくらい書かれていません。https://www.mhlw.go.jp/content/001273984.pdf
モデルとして出てくるのは、北海道、高知県、埼玉県、和歌山県、佐賀県で、大阪府がでてくるのは「市町村個別の歳出項目の取扱い」のところで「大阪府では、保健事業費(共通事業)と保健事業費(独自事業分)に分けて、次のとおり、都道府県全体の歳出項目としている」というところのみです。
★わかりやすいと好評です〜大阪府統一国保5つのデメリットチラシ
このチラシの5つのデメリットは昨年からの自治体キャラバンで各市町村の国保課長に問題提起し、誰一人として反論出来なかった内容です。大阪社保協ホームページトップにアップしていますので、どなたでもダウンロードしてお使いいただけます。(大阪社保協ホームページの全データはご自由にお使いいただけます)
12月2日前後をゾーンとして大阪府内各地での宣伝行動を提起します。大阪社保協は京橋駅(16時30分〜)で宣伝します。
12月2日以降健康保険証が廃止されます。現時点でわかっていることは以下です。
■協会けんぽの場合(ホームページより)
従来の健康保険証は令和6年(2024年)12月2日に廃止されますが、現在お持ちの健康保険証は、退職等で資格喪失にならない限り、令和7年(2025年)12月1日まで使用できます。マイナンバーカードを持っていない、または保険証利用登録をしていない方は、保険者から交付される資格確認書を提示すれば、マイナ保険証のメリットはありませんが、これまで通りの保険診療を受けることができます。
資格確認書の発行について
● 新規取得者(令和6年12月2日以降)
資格確認書は、資格取得届等に資格確認書希望有無欄を設けるほか、マイナ保険証をお持ちでない方に職権でも発行します。ただし、発行にはお時間がかかります。特に職権での発行には2か月お待たせすることもございますので、マイナ保険証をご利用いただくようお願いします。
● 既存加入者
令和7年(2025年)9月以降、保険者が必要と判断した場合(※)に資格確認書を発行します。※マイナ保険証をお持ちでない方、マイナンバーが未登録の方などに発行します。
資格確認書には、有効期限があります。有効期限は、4〜5年の予定です。
退職等の異動で資格喪失した場合は、 協会けんぽへご返納いただく必要があります。
有効期限後は自己廃棄も可能とします
■国民健康保険の場合(大阪市ホームページより)
令和6年12月1日までに交付された保険証は、経過措置により有効期限まで利用できます。※本市の国民健康保険の場合、令和7年10月31日までが最長。
令和6年12月2日以降、マイナ保険証をお持ちでない方が引き続き保険診療を受けられるよう、申請不要で資格確認書を交付します。 ※経過措置による保険証をお持ちの方については、令和7年10月頃に送付予定。
令和6年12月2日以降、マイナ保険証をお持ちの方には、ご自身の被保険者資格等を簡易に把握できるよう資格情報のお知らせを交付します。マイナ保険証の読み取りができない医療機関等において、マイナ保険証とともに提示することで受診することが可能となりますので大切に保管してください。※経過措置による保険証をお持ちの方については、令和7年7月頃に送付予定。
●利用登録の解除申出について
令和6年11月5日(火曜日)より、大阪市国民健康保険または大阪府後期高齢者医療制度の被保険者で、マイナ保険証(健康保険証の利用登録がなされたマイナンバーカード)をお持ちの方が、マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除を希望する場合は、お住まいの区の区役所保険年金業務の窓口において、登録解除の申出ができます。
注:大阪市国民健康保険及び大阪府後期高齢者医療制度以外の医療保険に加入している方の解除の手続については、ご自身が加入している医療保険の保険者にお問い合わせください。
【委任状が不要な場合】
被保険者本人が18 歳未満の未成年の場合、親権者が被保険者の名前で本人記入欄を記載できます。ただしその場合は、親権者の本人確認書類の他、被保険者本人と親権者が同一世帯でない場合に限り、続柄の疎明書類(例:戸籍抄本の写し)が必要です。被保険者本人が成年被後見人等の場合、成年後見人等が本人記入欄を記載できます。ただしその場合は、成年後見人等の本人確認書類の他、成年後見人等であることの疎明書類(例:成年後見登記事項証明書の写し)が必要です。なお、各区の窓口での申出の他、郵送での申出も可能です。郵送での申出を希望される場合、お住まいの区の区役所 (区役所保険年金業務担当)へ上記の書類を送付してください。
※郵送での申出の場合は本人確認書類の写しを同封してください。
■後期高齢者には12・2の「マイナ保険証」完全移行後も「資格確認書」を自動発行へ
厚生労働省は、2024年12月2日に保険証の新規発行が停止されてマイナ保険証に一本化されるのに伴い、特に高齢者を中心とした混乱を避けるため「資格確認書」を発行する方針を示した。デジタル大臣の平将明氏は就任会見で、「母数の大きい保険医療のデジタル化で得られるメリットは桁が違う」と述べ、マイナ保険証に原則一本化する意義を強調していたが、後期高齢者については混乱を避けるために本人申請を待たず「資格確認書」を発行する。 (介護ポストセブン2024.11.1)
★「いまの保険証すてないで」「マイナンバー保険証よりいまのままのほうがトラブル有りません」〜知らない人が多いので町にでて宣伝しましょう
前述のように後期高齢者医療証は来年の7月末まで、大阪府国保は来年の10月末まで、協会けんぽは来年12月1日までそのまま使えます。しかし、すでに保険証が使えないものとして廃棄している患者さんもおられることやマイナンバー保険証では受診のたびに持って行かないといけないこと、旧仮名遣いの苗字の方などは●となり認識されないケースがあること、そもそも保険証より受付に時間がかることなど、大きなデメリットがあります。しかし、薬局で「12月2日以降は保険証は使えませんのでマイナンバーお持ちならいますぐ紐づけできますよ」とすすめられ簡単にマイナンバー保険証にされる方も。また役所のマイナンバー窓口では申請する方が増えています。正しい知識を持っていない方がほとんどなのが現状です。
大阪社保協では12月2日の前後おおむね一週間をゾーンとして大阪府内一斉宣伝行動を呼びかけています。宣伝物は、大阪民医連から「チラシつきティッシュ」、大阪府保険医協会・歯科協会からはリーフが無料で提供されますので、団体名・宣伝実施日・送付先・必要部数・必着日時などを大阪社保協にメールください。すぐに手配いたします。
■大正区社保協は11月25日(月) 16時〜17時 (大正区役所前 噴水広場)で宣伝行動実施
■大阪社保協京橋宣伝行動は12月2日(月)16時半〜17時半です。お近くの方はこぞってご参加ください