大阪社保協通信

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1297号 2024.10.21

 

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大阪社会保障推進協議会

 

大阪社保協として性暴力救援センター・大阪SACHICO存続のための運動に取り組みます。みなさまも署名にご協力ください

1017日「大阪社保協2024年度第5回常任幹事会」において性暴力救援センター大阪SACHICO存続のための運動に取り組むことを意思統一しました。

SACHICOについて詳しくご存じない方もおられますので性暴力救援センター・大阪SACHICOの存続と発展を願う会の佐藤晴美さんにご寄稿いただきました。佐藤さんは先の豊中市役所キャラバンにおいても発言され、豊中社保協は豊中市民病院でのSACHICO継続を要望しています。

SACHICOとは?

 みなさんはSACHICO(サチコ)をご存じでしょうか?人の名前ではありません。大阪で性暴力の被害にあった人が支援を受けることができる、病院拠点型のワンストップ支援センターの名前です。

 ワンストップ支援センターとはひとことで言うと、性暴力の被害にあった方が、そこ一か所で必要な支援をすべて受けることができる、つまり被害者がSACHICOにアクセスすると、緊急避妊薬も処方してもらえるし、被害の証拠も採取・保存してもらえる、警察に通報する場合も同行してもらえたり、裁判になっても弁護士を紹介してくれたり、法廷で隣りに座ってくれたりします。SACHICO一か所で心理的・医療的・法的な支援につなげてもらうことができます。

SACHICOは全国に先がけて2010年に設立され、14年間で52,000件以上の電話相談を受けてきました。来所して相談した方は、のべ14,000件以上、診療・支援をした方は3,700人以上に上ります。まさに、大阪の性暴力被害者支援の中心を担ってきました。SACHICOの活動を契機に、全都道府県にワンストップ支援センターが設置されました。でも、SACHICOのように病院拠点型の施設はまだ少数です。

SACHICO存続の危機とその背景

そんな大阪府民の安心・安全にとって不可欠なSACHICOが、いま運営の危機に陥っています。 

SACHICOは松原市にある阪南中央病院の中にあります。国や大阪府からの補助金は運営費のごく一部で、維持費の多くは阪南中央病院が負担し、足りない分は寄付金で補ってきました。医師・看護師は病院での診療を行いつつSACHICOでの診療・支援にあたっており、善意のタダ働きで成り立ってきましたが、SACHICOに支援を求める被害者が増加する中、深刻な医師不足と財源不足で、一民間病院がすべてを負担することは困難となり、ついには来年3月末の阪南中央病院からの退去を通告されました。

SACHICOは、大阪府に対してなんとか対策を講ずるように要望しましたが、大阪府は十分な対策をしようとはしませんでした。SACHICOは内閣府(や厚労省)にも要望しましたが、内閣府の返答は、大阪府に対して指導する立場にない、というものでした。

当事者として願うこと

大阪の性暴力をめぐる状況は、毎年全国ワースト1、2位を争うひどさ。本当は性暴力被害者のワンストップ支援センターを増やしてもいいぐらいです。

私は、障害のある娘が3年半前に性暴力の被害にあい、SACHICOの支援を受けました。SACHICOに相談できたからこそ、娘の被害の影響を最小限に抑えることができたし、裁判で加害者の有罪判決を勝ち取るまでなんとか持ちこたえることができました。もしSACHICOがなかったら、誰に被害や裁判のことを相談できたでしょうか。

性暴力被害者と家族の共通する願いは、他の人が新たに性暴力で苦しまないことです。私たち大阪SACHICOの存続と発展を願う会のメンバーは、毎月のフラワーデモ大阪で出会い、性暴力被害者の声に耳を傾けてきた仲間たちで、拠点病院を失いつつあるSACHICOをこのままにしておくわけにはいかない、と大阪府議会に請願書を提出するため、この8月に署名活動を立ち上げました。署名の内容は、大阪府の責任でSACHICOの拠点を確保することなどです。府民として当然の要求で、誰もが賛成できる内容ではないでしょうか。10月21日現在紙の署名と電子署名が合計12,198筆集まっています。

性暴力被害者支援は政治の課題

性暴力を許さない人や団体とは誰とでも手をつなげるものと信じ、維新の会、公明党、自民党、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組にもメールや電話、訪問で呼びかけています。

大阪府下の自治体では、議会で大阪府に対してSACHICOの存続と体制強化を求める意見書を上げる運動が活発に行われ、条件付きのところも合わせると9つの市(堺、高槻、枚方、交野、松原、羽曳野、河内長野、吹田、貝塚)で意見書が上がっています。

そのような動きの中、府議会の代表質問で自民党がSACHICOについて積極的に質問を行ってきたり、維新の会もワンストップ支援センターについて触れざるを得ない状況がつくり出されてきており、知事もワンストップ支援センターが大事な存在だとか、SACHICOの移転先を確保していくと答弁するという状況がうまれてきています。

公的な病院に設置された病院拠点型のワンストップ支援センターであってこそ

SACHICOに関する最近の知事答弁で気になるところは、「病院拠点型は、拠点となる病院にかかる負担が大きく、持続可能性の点で課題があると考えている」「庁内ワーキンググループでの検討や医療機関との連携の向上により、持続可能なワンストップ支援センター機能を構築していく」としている点です。また、維新の会の議員が連携型を求めると質問で述べたりしているのも気になります。

 しかし忘れてはならないのは、性暴力被害者のワンストップ支援センターは連携型ではなく、24時間365日支援員常駐と診療機能を持つ病院拠点型であってこそ、被害後72時間以内に必要な緊急避妊薬の処方など診療と相談を開始し、継続することができるということです。

また、大阪府や知事が答弁で、病院拠点型のワンストップ支援センターには持続可能性においてデメリットがあると言っていますが、考えるべきは、どのようにして病院拠点型のワンストップ支援センターを持続可能なものにしていくかであると思います。そこを見据えてSACHICOは公的病院への移転を求めているのです。

お読みいただいたみなさんへ 最後に訴えたいこと

 性暴力被害は遠いものではありません。内閣府の調査では、女性の8,1%、男性の0.7%は不同意性交等の被害にあった経験があり、加害者は大多数は顔見知りで、その被害について女性の55.4%が誰にも相談していないのです。明日被害にあうのは、あなたの身近な人かもしれません。

 SACHICOの存続と体制強化を求める署名に、ぜひご協力ください。署名は紙の署名でも、またQRコードから電子署名もしていただくことができます。紙の署名は1120日にはご返送ください。

 この署名の会を立ち上げて、私の毎日も変わりました。一日中LINEやメールで連絡が入り、その目まぐるしさに振り回されることもしばしばです。

 ですが忙しいとき、電子署名とともに寄せられたコメントを読むと元気と勇気で満たされます。そこにはSACHICOをなくしてはいけない、という日本中の人からのメッセージがあふれていて、署名活動を待っていました、とか、署名を立ち上げてくれてありがとう、との声も聞かれます。

始めたとき私は、本当にSACHICOの役に立てるのか半信半疑で、署名も1,000も集まらないんじゃないかと思っていました。しかし今では署名してくれた人は12,000人を超えています。できるかできないかではなく、数万の署名を集めて、必ず府議会で請願書を採択させる、そのために、いま力を集中し、知恵も使って、性暴力被害者支援を軽んずる人たちを追いつめたい、そう決意しています。

 この通信を読んでくださった方が、さらに署名を拡げていただき大阪府民の安心・安全のための砦であるSACHICOが継続して支援を行っていけるようにお力をお貸しくださることをお願いして、ペンを置きます。

(性暴力救援センター・大阪SACHICOの存続と発展を願う会・佐藤 晴美)

 

署名用紙URL SACHICO存続請願書・署名用紙.pdf

紙の署名用紙が必要な場合は↑をクリックしていただきダウンロードしてお使いください。集められた署名用紙は大阪社保協までお送りください。

電子署名

 ↑のQRコードをスマホで読みとっていただければその場で簡単に電子署名ができます。ぜひこの通信を拡散し、多くの方によんでいただいてください。

 大阪SACHICOは大阪の宝です。全国の性暴力救援ワンストップセンターはSACHICOをモデルとして作られて行っています。シンママ大阪応援団でもこれまで幾度も性暴力にあった女性たちのサポートでSACHICOに同行しました。女性支援、若者支援、こども支援の現場では性暴力への対応は必須です。これまでどれだけの方たちがSACHICOに駆け込み救われてきたでしょうか。どんなことがあっても存続・拡充していく必要があります。

いまも大阪府のホームページには「大阪府では、平成224月に開設された病院拠点型の性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターである『性暴力救援センター・大阪SACHICO』を核に、2次医療圏等の地域毎の協力医療機関との性暴力被害者支援ネットワークを構築し、被害者の心情に配慮した相談や診療、証拠物の採取保管等を進め、被害の潜在化・深刻化の防止に取り組んでいます」とかかれています。その核であるSACHICOがなくなったら大阪のこの取り組みは破綻していくこととなります。

性暴力被害者支援ネットワークについて/大阪府(おおさかふ)ホームページ [Osaka Prefectural Government]

私たちの力でこの無責任な大阪府を追い込んでいきましょう。

(一般社団法人シンママ大阪応援団・代表理事 寺内順子)