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第1293号 2024.9.20 TEL 06-6354-8662 Fax06-6357-0846 大阪社会保障推進協議会 |
9月12日全国一高い大阪市介護保険料問題で大阪市と交渉・懇談を実施
大阪社保協は9月12日、「全国一高い大阪市の介護保険料を引下げてください」要求書に基づく交渉(団体協議)を大阪市当局と行いました。日下部氏(大阪社保協介護保険対策委員長)からの報告です。
★万博・IR担当部課は出席せず
大阪社保協が6月19日に提出していた要求は次の2項目でした。
@
現在の介護保険料の仕組みは限界です。国庫負担増で介護保険料引き下げ、介護を充実するよう国に求めてください。
A
大阪市の一般財源投入して介護保険料を据え置いてください。そのため、万博・カジノ関連予算など無駄遣いを見直してください
これに対し大阪市は、7月29日に「文書回答」を行い、万博・カジノ関連予算については、「大きな開催意義があります」(大阪府・大阪市万博推進局 総務部
総務課)、「今後も引き続き、世界最高水準の成長型IRの実現に向けて取り組んでまいります(IR推進局 推進課)と回答しましたが、この日の交渉には出席しませんでした。
交渉の冒頭、大阪市をよくする会・中山事務局次長が、IR・万博担当部課の出席拒否について抗議しました。IRについては、国の認可の7条件の一つに「住民との双方向」「住民の理解」があり、出席拒否はこれに背いています。万博についても、住民に理解してもらおうという姿勢がないことを厳しく批判しました。
★なぜこんなに高いのか
冒頭に、なぜ9000円超えの日本一高い介護保険料になったかの説明を求めました。
大阪市側は、@要介護認定率上がり、2023年9月時点で大阪市27.2%、全国平均19.3% A一人暮らし高齢者が多く家族の世話が受けられず公的介護保険に頼らざるを得ない と述べるだけでした。
社保協側が、健康寿命が短いことをどう評価するか、なぜ一人暮らしが多いことをどうとらえているかなどを質問しましたが、大阪市側は「介護保険担当課としてはお答えできない」と返答しませんでした。
★「高額で重い負担」は認めるが無為無策
大阪社保協側は「全国一高い保険料に高齢者は怒っている。各区役所前宣伝でも多くの声が寄せられているが、大阪市には届いていないのか」と質問しました。
大阪市側は、「高額な保険料で市民の皆様には思い負担をお願い差ざるを得ない」「市民からも電話や手紙、メールなどで保険料が高いとの声は多く寄せられている」としながらも、負担軽減努力については何も語りませんでした。
国が今回の改定で高所得層の保険料段階を増やしたにもかかわらず、大阪市は15段階のままで最高所得段階は「所得1000万円以上」のままです。これについて、高所得者の段階を増やさなかった理由について、「第8期では11段階⇒15段階により▲152円の軽減効果があったとしているのに、なぜ第9期では何もしなかったのか」と質問しました。大阪市側は「乗率を引き上げたので第9期は15段階のままにした」という返答でした。
社保協側は、「大阪市には一定の高額所得者・富裕層があり、応分の負担をさせて、全体の保険料を下げるべきだ」と追及しましたが、大阪市側は「保険料段階の見直しは第10期に向けた検討課題」と答えるのみでした。
★低所得者の保険料をなぜ高くするのか
低所得者(非課税世帯で年金収入等80万円以下)については、国標準では「基準額×0.285」としているのに、大阪市は「基準額×0.335」と高く設定し負担を重くしていることについては、「そうしないと基準額が上がる」と言うだけで、何ら改めようとはしませんでした。
★国には「強く要望したい」
大阪市側は「今の介護保険の状況では長期的に安定しないので国には財政負担を要望している」と返答しました。
社保協側は、「長期的に安定」などという次元ではなく、現在の高額介護保険料が市民に耐えがたい負担となっている緊急の問題であり、いち早く介護保険制度の限界を迎えた大阪市として全力で財政負担を求めるべきだと主張しました。
大阪市側は「全国一高いとメディアでも取りざたされており市長もある程度認識はしている。国の制度なので、こんな状況にあるということをかけるだけ書いて厚生労働省に上げるなど、これまで以上に強く国に要望したい」としました。
★独自の財政負担は拒否
大阪社保協側は、「国に求めるためにも、まず大阪市が一般財源を投入し独自の努力をすべき」と求めましたが、大阪市側は「健全な介護保険制度運営には受益と負担の関係が大切であり、財政規律の面からも国は一般財源投入は適切でないとしており大阪市としても同様」と拒否しました。
大阪社保協側は、「健全な介護保険」と言うが、異常に高額な保険料になってしまっていることが不健全であり問題だ。一般財源投入は、介護保険法にも地方財政法にも禁止来てはなく自治体としてできることだ、と追及しましたが大阪市は頑なに拒否しました。
なお、大阪社保協が試算した介護保険料据え置きに必要な財源(年80億円程度)については大阪市は「金額としてはその程度必要」としました。
★「何かしらの努力」は来年度予算に向けて検討
大阪市は、「保険料については回答どおりだが、介護保険については、介護予防や人材確保の課題もあり、来年度に向けた「何かしらの努力」は予算で検討したいと答えました。
また、介護保険料の将来推計について、大阪市の第9期介護保険事業計画では「2040年9900円程度となっているのに、大阪市が国に提出したワークシートでは「2024年12469円」となっていることについても説明を求め大阪市に後日説明することを確認させました。
大阪市への介護保険料引下げ署名結集を
大阪社保協は、大阪市会に対しても同様の陳情を提出しています。また、社保協市内ブロックは「大阪市の介護保険料引下げてください」署名を取り組んでいます。さらに運動を拡げ大阪市に迫っていきましょう。
2024年6月19日 大阪市に要求提出 7月29日 大阪市から文書回答
「全国一高い大阪市の介護保険料を引下げてください」要求と文書回答
|
要求項目6月19日 |
回答7月29日 |
1 |
現在の介護保険料の仕組みは限界です。国庫負担増で介護保険料引き下げ、介護を充実するよう国に求めてください。 |
介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支えるために創設された社会保険制度であり、50%の公費負担と 50%の保険料負担により制度設計されており、受益と負担の関係から、多くの方がサービス利用されれば保険料も上がる仕組みとなっております。
本市では、制度を長期的に安定して運営するため、国の負担割合の引上げなど必要な財政措置を講じるよう、機会あるごとに国に要望しているところであります。 (福祉局介護保険課) |
2 |
大阪市の一般財源投入して介護保険料を据え置いてください。 大阪市の一般財源投入して介護保険料を据え置いてください。そのため、万博・カジノ関連予算など無駄遣いを見直してください |
介護保険料を引き下げるために一般財源を投入することは、健全な介護保険制度の運営と財政規律の保持の観点から適当ではないと国から見解が示されております。
本市の介護保険につきましても、この国の見解に沿った運営を行っております。(下線部について回答) (福祉局介護保険課) 大阪・関西万博には、160 か国もの国が一堂に会し、「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマに沿って世界共通の課題に対して各国の価値観による最先端技術等が実証・実装され、それが新たなイノベーションとなり、次の未来社会につながるという大きな開催意義があります。
また、当局予算については、必要な経費について予算要求し、市議会及び府議会により承認されております。 大阪府市としても、国や博覧会協会等と連携しながら、2025 年4月に万全の状態で開幕できるよう着実に準備を進めてまいります。 (下線部について回答) (大阪府・大阪市万博推進局 総務部 総務課) IRは、ホテル、MICE施設、レストラン、エンターテイメント施設、カジノ施設など、カジノの収益を活用して、多くの集客施設を民間事業者が一体的に整備・運営する複合型の施設であり、民間事業者の活力と創意工夫を最大限に活かす民設民営の事業です。
事業者が自らの出資や借入れにより資金調達を行い、1兆円を超える投資を行うものであり、府・市で資金を投じて設置、運営するものではありません。
大阪・夢洲でのIR立地は、世界中から新たに人、モノ、投資を呼び込むものであり、持続的な民間投資による経済波及効果や雇用創出効果に加え、幅広い産業分野の活性化など、大阪の経済成長に大きく貢献するとともに、コロナ終息後の日本経済をけん引し、大阪・関西の持続的な成長のエンジンとなるものです。
さらに、カジノ収益の社会還元として、納付金等の収入を、ギャンブル等依存症対策の充実などの懸念事項対策をはじめ、子育てや教育、福祉、観光振興、地域経済振興など、住民福祉の増進や大阪の成長に向けて広く活用することにより、市民の暮らしの充実やさらなる都市の魅力と国際競争力の向上を図ってまいりたいと考えております。
なお、土壌汚染対策や液状化対策等の土地課題への対応については、大阪IRが国際観光拠点の核となる大規模集客施設であることから、IR事業用地としての適性確保が必須であり、土地に起因する所有者としての責任に加えて、大阪臨海部のまちづくりなどの政策的な観点も踏まえ、土地所有者として大阪市が負担するものです。負担については、土地売却・賃料収入など事業経営に伴う収入から賄われる特別会計である港営事業会計で負担することとなっており、府民・市民の税で負担するものではありません。
今後も引き続き、世界最高水準の成長型IRの実現に向けて取り組んでまいります。(下線部について回答) (IR推進局 推進課) |
全国高額保険料市町村
順位 |
市町村名 |
第9期保険料基準額(月額) |
1 |
大阪市 |
9,249 |
2 |
守口市(大阪府) |
8,970 |
3 |
門真市(大阪府) |
8,749 |
4 |
西和賀町(岩手県) |
8,100 |
5 |
七戸町(青森県) |
7,900 |
檜原村(東京都) |
7,900 |
|
松原市(大阪府) |
7,900 |
政令指定都市比較
順位 |
都市名 |
第9期保険料基準額(月額) |
1 |
大阪市 |
9,249 |
2 |
堺市 |
7,417 |
3 |
京都市 |
7,160 |
4 |
名古屋市 |
6,950 |
6 |
新潟市 |
6,880 |
7 |
相模原市 |
6,650 |
8 |
岡山市 |
6,640 |
9 |
横浜市 |
6,620 |
10 |
川崎市 |
6,591 |
11 |
北九州市 |
6,590 |
12 |
神戸市 |
6,580 |
13 |
さいたま市 |
6,406 |
14 |
広島市 |
6,400 |
15 |
熊本市 |
6,400 |
16 |
静岡市 |
6,350 |
17 |
千葉市 |
6,300 |
18 |
仙台市 |
6,079 |
19 |
浜松市 |
5,900 |
20 |
札幌市 |
5,773 |
近畿の政令指定都市との比較
|
基準額(年額) |
最低額 |
基準額に対する乗率 |
大阪市 |
110,988 |
37,181 |
0.335 |
神戸市 |
78,960 |
18,556 |
0.235 |
京都市 |
85,920 |
24,487 |
0.285 |
堺市 |
89,010 |
25,370 |
0.285 |
介護保険開始時からの保険料基準月額の推移
期(年度) |
大阪市 |
大阪府平均 |
全国平均 |
第1期(2000〜02年度) |
3,381 |
3,134 |
2,911 |
第2期(2003〜05年度) |
3,580 |
3,394 |
3,293 |
第3期(2006〜08年度) |
4,780 |
4,675 |
4,090 |
第4期(2009〜11年度) |
4,780 |
4,583 |
4,160 |
第5期(2012〜14年度) |
5,897 |
5,305 |
4,972 |
第6期(2015〜17年度) |
6,758 |
6,025 |
5,514 |
第7期(2018〜20年度) |
7,927 |
6,081 |
5,784 |
第8期(2021〜23年度) |
8,094 |
6,826 |
6,014 |
第9期(2024〜26年度) |
9,249 |
7,486 |
6,225 |
第9期/第1期 |
2.73倍 |
2.38倍 |
2.13倍 |
10月15日および12月2日の週をゾーンとして大阪府内一斉宣伝・対話行動(シール投票等)を企画しよう
全国一高額な大阪市の介護保険料問題では7月22日の週をソーンとして24区一斉宣伝行動を大阪市をよくする会と共同企画で呼びかけました。大変な猛暑の中、24区中23区で宣伝行動が実施され、西淀川区・中央区は複数回実施されました。宣伝物は大阪市の介護保険料問題と万博・IR問題でのチラシを作成しました。チラシの版下は大阪社保協ホームページにアップしていますので自由に使っていただくことがきます。
https://www.osaka-syahokyo.com/top/kbb202407.pdf
阪市民からの反応も大変よく、自転車や車からおりてチラシを受け取る方も多かったとのことです。この取り組みを1回限りすることなく拡げていきたいとの積極的な声も多いことから、大阪全体のうねりにしていきたいと考えています。大阪社保協は昨日第4回常任委員会を開催し、年金支給日の10月15日と現行保険証が廃止される12月2日を起点としてその一週間をゾーンとしての「大阪府内一斉宣伝・対話行動」を呼びかけることを意思統一しました。宣伝物は「介護保険料問題(大阪府内版)」を日下部・大阪社保協介護保険対策委員長が、「大阪府統一国保問題」を寺内・大阪社保協事務局長が作成し、大阪社保協ホームページにアップします。また、マイナンバー保険証関係の宣伝物は大阪府保文伊協会・歯科保険医協会・大阪民医連から提供される予定ですので、ご活用ください。
10月からのマイナ保険証解除と保険証廃止に伴う「資格確認書」送付などに関する緊急アンケートを実施中
現在の国民健康保険証が12月2日以降に廃止(1年の経過措置あり)になることを受けて保険者には「資格確認書」の発行などの対応が求められています。またマイナ保険証解除も10月から実施予定になっています。しかし、通常の国保関連実務に加えて、紐づけ不一致者の点検や「資格確認書」の発行に向けた対応に、担当職員の方においては、かなりの過重労働になるとの声も届いています。
こうしたことを受けて大阪社保協では緊急にアンケートを実施しています。回答は9月30日までと文字通りの「緊急アンケート」となっていますが、早速自治体からの回答も返ってきています。結果については、この「
大阪社保協通信」で報告します。