大阪社保協通信

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1286号 2024.6.20

  TEL 06-6354-8662 Fax06-6357-0846

大阪社会保障推進協議会

 

限界を超えている全国一高額な大阪市介護保険料を引き下げるために〜612日「緊急意思統一学習会」に65人参加、19日要請書提出・記者会見にマスコミ10社参加。

大阪市の65歳以上の人の介護保険料は、全国で一番高い額となりました。「基準月額」で9,249円(年額で11988円)で、全国平均6,225円より3,000円以上高く、もっとも低い東京都小笠原村(3,374円)の2.74倍という異常な格差になっています。

 

 【高額保険料市町村(全国)】

順位

市町村名

第9期保険料基準額(月額)

1

大阪市

9,249

2

守口市(大阪府)

8,970

3

門真市(大阪府)

8,749

4

西和賀町(岩手県)

8,100

 

5

七戸町(青森県)

7,900

檜原村(東京都)

7,900

松原市(大阪府)

7,900

 

【政令指定都市比較】

順位

都市名

第9期保険料基準額(月額)

1

大阪市

9,249

2

堺市

7,417

3

京都市

7,160

4

名古屋市

6,950

6

新潟市

6,880

7

相模原市

6,650

8

岡山市

6,640

9

横浜市

6,620

10

川崎市

6,591

11

北九州市

6,590

12

神戸市

6,580

13

さいたま市

6,406

14

広島市

6,400

15

熊本市

6,400

16

静岡市

6,350

17

千葉市

6,300

18

仙台市

6,079

19

浜松市

5,900

20

札幌市

5,773

 

【近畿の政令指定都市との比較】

 

基準額(年額)

最低額

基準額に対する乗率

大阪市

110,988

37,181

0.335

神戸市

78,960

18,556

0.235

京都市

85,920

24,487

0.285

堺市

89,010

25,370

0.285

 

 大阪市の介護保険料は、介護保険開始当初の2000年度(月3,381円)から現在は2.7倍に上がりましたが、年金はここ20年間平均で月額で約31500円も下がっており、介護保険料は高齢者の負担の限界を超えています。とくに、低所得層(非課税世帯で年金収入等年間80万円等)の保険料を比較すると、大阪市の年額37,181円は、神戸市(18,556円)の2倍と非常に大きな負担となっています。

 

【介護保険開始時からの保険料基準月額の推移】

期(年度)

大阪市

大阪府平均

全国平均

1期(200002年度)

3,381

3,134

2,911

2期(200305年度)

3,580

3,394

3,293

3期(200608年度)

4,780

4,675

4,090

4期(200911年度)

4,780

4,583

4,160

5期(201214年度)

5,897

5,305

4,972

6期(201517年度)

6,758

6,025

5,514

7期(201820年度)

7,927

6,081

5,784

8期(202123年度)

8,094

6,826

6,014

9期(202426年度)

9,249

7,486

6,225

9期/第1

.73

.38

.13

 

 

★大阪市介護保険料が高い理由は単身高齢者が全国より1.5倍多いから〜10数年後は全国も同じ状況に

 

 大阪市の介護保険料が高いのは、一人暮らし高齢者が45%にのぼり、全国平均(29.6%)の1.5倍以上と多く、在宅介護サービスを利用する人が多いのが原因です。しかし、10数年後(2030年〜40年)には全国で一人暮らし高齢者は40数%になると推計されており、そうなればどこでも大阪市のように9千円を超える保険料になってしまいます。

 

★高齢者の負担は限界超えている〜大阪市は一般財源から繰り入れを

 

 介護費用の半分を保険料で賄う仕組みですが、一人暮らしが増え介護サービスを利用する人が多くなれば保険料が高齢者の負担の限界を超えてしまうのです。高齢者に多大な負担を負わせる介護保険は限界に来ています。限界を超えている介護保険料は公費負担を増やさない限り抑えることはできません。それまでの間は、大阪市の一般財源を繰入して介護保険料を引下げるべきです。

大阪市は、高物価に苦しむ市民の暮らしは放置しながら、万博とそれにつづくカジノのために大阪湾の埋め立て地・夢洲を舞台としたインフラ整備など大型開発には惜しみなく税金をつぎ込んでいます。

当面、万博は中止し、物価高に苦しむ市民の暮らしに予算を振り向けることを大阪市に求めます。介護保険料は据え置くために必要な年83.3億円は、今年度の大阪市万博関連予算約1343億円の16分の1で賄うことができます。

 

612日、大阪市をよくする会と共同で「緊急意思統一集会」開催

 

 大阪市介護保険料決定通知は719日に届くと予想されています。市民はその高さに驚愕し、区役所に何とかしてほしいと相談に行くことが考えられます。

 大阪社保協は大阪市よくする会と共同し、12日に緊急意思統一学習会を開催し、日下部雅喜さん(大阪社保協介護保険対策委員長)は「日本一!大阪市介護保険料なぜ高いか?」を、中山直和さん(大阪市をよくする会事務局次長)は「万博中止して市民のくらし・被災地に回せ!」をテーマに詳しくかつコンパクトにお話いただき、意思統一を行いました。当日のパワポ資料とレコーディングは大阪社保協ホームページトップページにアップしていますのでご覧ください。

 

【意思統一内容】

619日 大阪市に対して「要請書」を提出し、記者会見を行いマスコミにもアピール

★日本一高い介護保険料と万博・カジノ問題でのチラシを作成し大阪社保協ホームページにアップ

722()26()をゾーンとして地域社保協・大阪市をよくする会で共同し全24区役所前宣伝行動を計画実施し「万博・カジノ中止し財源を回せ」の声巻き起こす

★市長あて署名用紙を作成

★介護保険料不服審査請求運動にこれまで以上に取り組む

 ※731()1400〜グリーン会館にて「不服審査請求意思統一集会」に参加を 

★こうした取り組みを大きく広げ第9期中での介護保険料見直しをめざす

 

619日、大阪市長あて要請書提出、その後の記者会見には10社出席、関心の高さ示す

 

 19日には大阪市横山市長あて要請書「全国一高い大阪市の介護保険料を引下げてください」を提出し、文書回答とその後の懇談には介護保険課、万博推進局、財政局からの出席を求めました。

 その後、市政記者クラブにおいて大阪市をよくする会と共同で記者会見を行いました。NHK、テレビ大阪、毎日放送、毎日新聞、読売新聞、関西テレビをはじめ10社が参加し、大阪市の高額介護保険料への関心の高さが示されました。当日の夕方の毎日放送テレビでその様子が報道されました。

 

★チラシは現在作成中〜7月初には大阪社保協ホームページに署名とともにアップ〜全区での行動についていま直ぐ相談を

 

大阪社保協と大阪市をよくする会では7月の宣伝行動等に使っていただけるようにカラーA4判の大阪市介護保険料と危険な万博問題での両面のチラシを作成中です。また、「署名簿も作ってほしい」との要望が寄せられており、大阪市市長あての署名(5人署名用と1人署名用)も同時に作成し、ビラとともに大阪社保協ホームページに7月初旬にはアップ予定です。

 

618日、自治体キャラバン要請書を一斉送付。

大阪社保協2024年度自治体キャラバン行動統一要望書と懇談の仕入れを堺市以外に一斉送付しました。(追加要望があったのは、枚方市・河南町・藤井寺市・大阪狭山市・河内長野市・羽曳野市・島本町・熊取町の各社保協からです)

今後自治体からデータ希望とのメールがとどきますので、当該社保協には同報いたします。各社保協でどんどん日程調整をお願いいたします。

なお、今年度の「自治体キャラバン行動資料集」については、720日までにはみなさんのお手元に届くようにと準備をすすめているところです。

大阪社保協ホームページトッフにはすでに「2024自治体キャラバン」のページができています。市町村なアンケートについては既にアップしていますが、今後、自治体からの回答書およびキャラバン日程も確定次第随時アップしていきますので、チェックをよろしくお願いします。

 

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2024年度自治体キャラバン行動 統一要望項目

 

1.   職員問題

@  大阪府内自治体の職員の非正規率は異常であり(全国平均20%)、緊急時・災害時に住民救済にこたえられないのは明白である。職員数を増やし、正規職員での採用を行うこと。

A  大阪社保協調査によると各市町村の理事者・管理職等のジェンダーバランスが男性に偏り異常である。特に社会保障の担い手の多くは女性であり、さらに子育て・教育・介護等の担い手の多くは女性であるため、女性たちのニーズを的確にとらえ政策化するためには、女性の管理職を増やすことが必須。ジェンダーバランスが偏っていることの理由を明らかにし、積極的な女性の登用を行うこと。

B  大阪には多くの外国人が住んでいる(現時点での外国人人口と国別内訳をまずご提示いただきたい)にもかかわらず、大阪社保協調査でもなんら外国人対応をしていない市町村が多い。また、日本が読めて書ける人でなければ対応できない申請用紙が殆どである。ポケトークなどの変換器などの機器では実際の現場では行政用語の変換が難しい。日本語が話せない、読めない書けない外国人のために役所及び区役所に少なくとも数名の外国語対応ができる職員を配置すること。現時点で外国語対応ができる職員数を明らかにすること。

 

2.   こども・シングルマザー等貧困対策及び子育て支援について

@  2023年度大阪府子どもの生活実態調査と同時に実態調査を行った18自治体においては、その報告書をホームページですぐに検索できるように工夫しアップすること。

A  子どもの生活実態調査報告で2016年度調査に比べ中央値が上がっているにもかかわらず「困窮T世帯」の子どもたちの状況が悪くなっている事態をふまえ以下について要望する。

イ、就学援助受給率の低さが課題となっており申請そのものを簡素化し、オンライン申請なども取り入れること。中学生の子ども世帯の困窮が深刻となっており、国基準に上乗せして支給額を増やすこと。

ロ、朝ごはんを食べていない子どもたちの状況が指摘されている。地域の子ども食堂やNPO組織、ボランティア団体などと協力し学校での朝ごはん会が実施できるよう制度化すること。

ハ、大阪府「子ども食費支援事業」にとどまらず、自治体独自の低所得世帯への食糧支援を実施すること。ボランティア団体などが実施しているフードバンク・フードパントリーに学校の空き教室や講堂・体育館等を無償提供して協力すること。

ニ、児童扶養手当の申請時及び8月の現況届提出時にプライバシーに留意し人権侵害を行わないこと。手続きを簡素化し受給へのハードルを低くすること。DVに関連した離婚については詳細な聞き取りを行うことでフラッシュバックを引き起こし最悪乖離等の状況になる危険性もありうるため細心の配慮を行うこと。面接時に他の制度(生活保護のしおりや奨学金情報等)の紹介を行うこと。外国語対応も行うこと。

B  子ども及びひとり親の医療費助成制度の窓口負担を無料にすること。医療費より負担が重い入院時食事療養費は無料にすること。妊産婦医療費助成制度を創設すること。

C  小中学校の給食を自校式で実施し、給食費を恒久的に無償化すること。保育所・こども園・幼稚園などの副食費を無償化すること。

D  学校歯科検診で「要受診」と診断された児童・生徒の受診状況と、「口腔崩壊」状態になっている児童・生徒の実態を調査すること。「口腔崩壊」状態の児童・生徒が確実に受診できるよう、スクールソーシャルワーカーや家庭生活支援員ら第3者による付き添い受診を制度化すること。

E  児童・生徒の口腔内の健康を守るため全小中学校で給食後に歯みがきの時間を設けるとともに、フッ化物洗口に取り組むこと。

F  障がい児(者)が身近な地域で安心して健診や治療を受けられるよう、一次医療圏に所在する障がい児(者)歯科診療施設を案内するリーフレットなどを作成すること。

G  最新の奨学金パンフレットを作成するとともに自治体独自の給付型奨学金制度を創設・拡充すること。

H  公営住宅(府営住宅以外)の全戸数と最新の空家数をご教示いただくとともに、「ハウジングファースト」の考え方のもと、空家の目的外使用により家を失った学生、若者、シングルマザー、高齢者などへのシェアハウス等の提供などに取り組んでいる支援団体に無料または安価で貸し出すこと。

I  保育士および学童保育指導員等確保のために全国で広がっている家賃補助制度や奨学金返済支援制度等独自制度を実施すること。

J  役所、保健福祉センター、福祉会館、公民館、青少年ホーム、女性センター等すべての公的な施設でフリーWiFiにアクセスできるようにすること。

K  万博予定地の夢洲は、下水汚泥など96万トンが埋め立てられた島であり、メタンなどの可燃性ガスが発生し続けており328日の万博会場工事におけるガス爆発事故は、汚泥を埋め立てた人工島の表面をアスファルトやコンクリートなどで覆って多くの人を集めるイベントを開催する会場とするにはあまりにも危険であることを証明した。また、駐車場からゲートまで片道30分の道のりに屋根はなく、炎天下や大雨の中を歩かなければならない。となりのカジノ建設現場からは有害物質を含む粉塵が舞い上がっている。子どもたちが学校ごとにまとまって弁当を食べる屋根付きの場所は限られており炎天下で弁当をとらざるを得なくなる学校も出てくる可能性がある。子どもたちのいのちを守る、安全を確保する具体的な方策が示されていない中で学校行事として万博に子どもの参加をさせないこと。

 

3.   医療・公衆衛生

@  国が進めるマイナンバーカードと健康保険証の原則一体化(マイナ保険証)の方針に基づき、本年122日より、現行の健康保険証が廃止される(1年の経過措置あり)。この間のマイナ保険証を巡っては現在も医療現場ではトラブルが続いている。また、国民健康保険を担当する自治体職員の業務も通常の多忙な業務に加え、「資格確認書」や「資格情報のお知らせ」などの発行・発送や電子証明書の有効期限が切れた方への対応など次から次へと新たな対応を自治体に求めてくる。こうしたことを受けて、全国の自治体で「現行の健康保険証の存続を求める意見書」採択が広がっている。貴自治体においても「意見書」など国に対して現行の健康保険証の存続を求める意見・要望を上げること。

見本/東京保険医協会ホームページに小金井市、調布市の「意見書」PDFが掲載

保険証存続を求める協会陳情 調布・小金井2市で採択 | 東京保険医協会 (hokeni.org)

A  新型コロナウイルス感染症が5類の扱いとなったが未だに終息していない。また、麻しんや結核など新型コロナ以外の感染症も増加に傾向にあり、医療現場では緊張が高まっており、トータルの感染症対策の構築が求められている。大阪府は第8次医療計画を発表したが、新型コロナウイルス感染症パンデミック時のように再び保健所の業務逼迫で感染者への対応が遅れるという事態を生まないためにも、新興感染症対策も含めたまた、精神保健、母子保健など保健所・保健師の多岐にわたる役割・事業が滞ることの無いよう、二次医療圏内での保健医療協議会の議論などで、保健所職員など公衆衛生分野の正規職員を増やすことを強く求めること。

B  PFASの実態を把握するために各市町村が住民の血液検査、土壌検査を実施すること。さらに市町村が実施するPFAS対策に大阪府が財政支援を行うよう要請すること。住民が自主的に実施する血液検査への公的助成を行うこと。「PFAS相談窓口」を設置し周知徹底すること。

 

4.   国民健康保険

@  2024年度からの大阪府統一国保は際限なき国保料の引き上げを引き起こし、自治体が長年の国保行政で積み上げてきた「払える保険料」のための減免制度が廃止となり、被保険者は大きな被害を受けることとなる。各市町村は国保が貧困を拡大している現実から目をそらさず、統一の問題点を強く大阪府に意見すること。また、基金を積み上げている自治体は保険料引き下げのために活用すること。大阪府が市町村独自の基金に口を出すことは地方財政法違反であることを認識すること。

A  18歳までの子どもの均等割を無料に、傷病手当を大阪府全体で実施するとともに国に対し制度化するよう意見をだすこと。傷病手当や減免制度の内容、徴収の猶予、一部負担金減免などわかりやすいチラシを独自に作成し周知を行い申請を促す手立てを工夫すること。様々な申請についてはメール申請・オンライン申請ができるよう、ホームページに申請用紙をアップしダウンロードができるようにすること。

B  3月の大阪社保協調査ではマイナンバー保険証の有効期限について自治体は全く把握していないとの結果となった。そうした状況も踏まえ202510月の保険証切り替え時には被保険者全員に「資格確認証」を送付すること。

C  国民健康保険料の決定通知・納付票・国保のしおり等の外国語対応をすること。

 

5.   特定健診・がん検診・歯科健診等

@  特定健診・がん検診については、全国平均と比較して大きく立ち遅れている自治体については、これまでの取り組みについての分析・評価を行い新たな方策を進めること。特定健診・市民健診の案内等外国語対応をすること。

A  大阪府の第3次歯科口腔保健計画は、「学校保健以降、市町村で行われている歯科健診の受診対象年齢が限定されていることから、定期的な歯科健診を受ける機会が少ない」と指摘している。歯科健診の受診対象年齢を限定せず、住民がかかりやすい医療機関で受診できるようにすること。在宅患者・障害者など歯科健診の機会が少ない住民の歯科健診を保障すること。特定健診の項目に「歯科健診」を追加すること。

 

6.   介護保険・高齢者施策

@  9期の介護保険料は、高齢者の負担の限界を超えた過大な額となっているので介護保険料を一般会計繰入によって引き下げること。なお、介護給付費準備基金を過大に積み立てている市町村にあっては、取り崩して保険料引下げを行うこと。また、国に対し国庫負担引き上げによる保険料基準額の引き下げを求めること。

A  非課税者・低所得者の介護保険料を大幅に軽減する減免制度を拡充すること。当面、年収150万円以下(単身の場合)は介護保険料を免除とすること。

B  介護サービス利用者の負担を軽減するため、低所得者について無料となるよう、自治体独自の利用料減免制度をつくること。介護保険施設・ショートステイ利用者の食費・部屋代軽減措置(補足給付)、自治体独自の軽減措置を行うこと。

C  総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)について

イ、利用者のサービス選択権を保障し、サービスについて、すべての要支援認定者が「従来(介護予防訪問介護・介護予防通所介護)相当サービス」を利用できるようにし、従来相当サービスの利用を抑制しないこと。また、新規・更新者とも要介護(要支援)認定を勧奨し、認定申請を抑制しないこと。

ロ、総合事業(介護予防・日常生活支援サービス事業)の対象を要介護1〜5認定者の拡大しないこと。

ハ、「訪問型サービス」の単価については、訪問介護員(介護福祉士、初任者研修終了者などの有資格者)が、サービスを提供した場合は、従来の額を保障すること。

ニ、いわゆる「自立支援型地域ケア会議」など、介護サービスからの「卒業」を迫り、ケアマネジメントに対する統制を目的とした運用を行わないこと。

D  保険者機能強化推進交付金等については、国の「評価指標」に追随し、実態を無視した「介護予防・重度化防止目標」「給付抑制目標」などは盛り込まず、必要な介護サービスが受けられるようにすること。

E  介護現場の人手不足を解消するため、東京都のように自治体として独自に処遇改善助成金を制度化し、全額労働者の賃金として支払われる措置を講じること。国に対し、全額国庫負担方式による 全介護労働者が、全産業平均の賃金水準に早急に到達できる処遇改善制度を求めること。

F  入所待機者を解消し、行き場のない高齢者をなくすために、特別養護老人ホームなど介護保険施設及びグループホーム等の整備について、詳細な実態調査を行い、必要数を明確にしたうえで年次的に整備を行うこと。

G  次期介護保険見直しの検討課題とされている「2割負担等の対象拡大」「ケアマネジメント有料化」「要介護12の生活援助等の保険給付外し・総合事業移行」など負担増とサービス切捨てを中止するよう国に働きかけること。

H  高齢者の熱中症予防対策を抜本的に強化すること。実態調査を実施するとともに、高齢者宅を毎日訪問し熱中症にならない対策(クーラーを動かすなど)ができるように、社会福祉協議会、事業者、NPOなどによびかけ小学校単位(地域包括ケアの単位)で見守りネットワークづくりなど、具体的施策を実行すること。介護保険の給付限度額の関係で、町の熱中症予防シェルター(開放公共施設)へ介助を得て避難する事が困難なケースへの対策を各自治体が立てること。とくに、高齢者が「経済的な理由」でクーラーが利用できない事態とならないように緊急に電気料補助制度をつくること。

I  介護保険被保険者証のマイナンバーカード化は高齢者及び関係者に多大な負担と混乱をもたらし個人情報の漏洩などの危険性があるため導入しないように国に意見をあげること。

J  軽度難聴者への補聴器購入資金助成制度を実施すること。

K  新型コロナワクチン接種費用への公費助成を実施するとともに、介護施設・事業所へのコロナ検査キット等の配布を行うこと。

L  202210月より75歳以上の医療費が2割化され、「2割化」の影響による「受診控え」が起きている調査結果も出されている。大阪府は20213月をもって老人医療費助成制度を廃止したが、高齢者の命と健康を守る上で、高齢者を広く対象にした助成制度の創設を強く求める。

M  帯状疱疹は80才までに3人に1人がかかる病気で、治った後に神経痛が残る場合がある。50歳以上の人に帯状疱疹ワクチン接種が勧められており、90%以上の発症予防率が報告されている。ワクチン接種公費助成を実施すること。

 

7.   障がい福祉「65歳問題」と重度障害者医療

@  障害者総合支援法7条は二重給付の調整規定であり、介護保険法278項の規定(要介護認定の効力は申請日までしか遡れないこと)との関係から、「できるとき」規定の効力は要介護認定の申請日以降にしか発生しないという法的論拠に基づき運用を行うこと。

A  日本の社会保障制度の原則は申請主義であることから、障害者に介護保険への申請勧奨をすることはあっても強制してはならないこと、厚生労働省の通知等でも未申請を理由とした障害福祉サービスの更新却下(打ち切り)は認めていないことを関係職員に徹底し、申請の強制や更新却下を防止すること。

B  介護保険に移行した一部の障害者にしか障害福祉サービスの上乗せを認めない独自ルールを設けている場合はこれを撤廃し、2007年初出「適用関係通知」・「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく自立支援給付と介護保険制度の適用関係等に係る留意事項及び運用の具体例等について」(令和5630日)等で厚生労働省が示す基準にもとづく運用を行うこと。

C  介護保険優先は二重給付の調整であり、「介護保険優先」はあくまで原則を示しているに過ぎず、個々の状況に応じて障害福祉サービスの継続も可能な例外があることという事実を、自治体のHPや障害者のしおりなどに正確に記述すること。

D  介護保険対象となった障害者が、介護保険への移行をせず引き続き障害福祉サービスを利用する場合においては、現行通りの基準を適用するよう国に求めること

E  介護保険対象となった障害者が、介護保険サービスを利用しかつ上乗せで障害福祉サービスを利用する場合の新たな国庫負担基準を創設するよう国に求めること

F  障害福祉サービスを継続して受けてきた方が、要介護認定で要支援1、2となった場合、総合事業における実施にあっては障害者に理解のある有資格者が派遣されるようにすること。

G  障害者の福祉サービスと介護サービス利用は原則無料とし、少なくとも市町村民税非課税世帯の利用負担はなくすこと。

H  20184月診療分より見直された重度障害者医療費助成制度において、自治体独自の対象者拡大・助成制度の創設を行うこと。

 

8.   生活保護

@  コロナ禍の中においても生活保護申請数、決定数が伸び悩んでいる。特に申請を躊躇わせる要因となっている意味のない「扶養照会」は行わないこと。窓口で明確に申請の意思を表明した場合は必ず申請を受理すること。

A  大阪府および18市町村で実施された「令和5年度子どもの生活実態調査」においても困窮度T世帯での生活保護受給率の低さが指摘されている。各自治体においては、寝屋川市などが作成されている「生活保護は権利です」という住民向けポスターを作成し申請・利用のハードルを下げ、必要な人が使える制度にする工夫をすること。

札幌市生活保護ポスターhttps://www.city.sapporo.jp/fukushi-guide/documents/hogoposter.pdf

寝屋川市生活保護チラシ hogoshinseisodan.pdf (city.neyagawa.osaka.jp)

枚方市生活保護ホームページ https://www.city.hirakata.osaka.jp/0000007864.html

 

B  ケースワーカーは「福祉専門職」採用の正規職員で、最低でも国の基準どおりで配置し法令違反をしないこと。ケースワーカーの研修を重視し、生活保護手帳・問答集の内容を踏まえた生活保護行政を実施すること。保護費の決定通知書には何がどれだけ支払われているのかなど内訳が誰が読んでもわかるものとすること。

C  シングルマザーや独身女性の担当は必ず女性ケースワーカーとし家庭訪問も必ず女性ケースワーカーが行くこと。そうでなければ人権侵害・ハラスメントがおこる危険性があることを認識すること。

D  自治体で作成している生活保護の「しおり」は生活保護利用者の権利性を明記し制度をわかりやすく、必要な情報を正しく解説したものとすること。「しおり」と申請書はカウンターなどに常時配架すること。(懇談当日に「しおり」「てびき」の内容を確認しますので、必ず作成しているものの全てと申請用紙を参加者全員にご配布ください)

E  警察官OBの配置はやめること。尾行・張り込みや市民相互監視をさせる「適正化」ホットライン等を実施しないこと。

F  物価高により低い生活保護基準では暮せない人が続出している。国に対して物価上昇に見合った最低生活費とするよう要望すること。

G  住宅扶助については、家賃・敷金の実勢価格で支給し、平成27414日の厚生労働省通知に基づき経過措置を認め、特別基準の設定を積極的に行うこと。

H  医療抑制につながる医療費の一部負担の導入と、ジェネリック医薬品の使用の義務化、調剤薬局の限定は実施しないよう国に求めること。

I  国に対し、大学生、専門学生の世帯分離は、あくまで世帯の意思を尊重することを国に要望すること。

 

9.   防災関係

@  災害時の避難所である小学校・中学校の体育館、公的施設の冷暖房、および全てのトイレの洋式化をすみやかに実施すること。

A  能登半島地震の状況を踏まえ、スフィア基準(被災者の権利と被災者支援の最低基準を定めた国際基準)に照らし避難計画を見直すこと。

B  高層住宅が増えてきている。高齢者、障がい者が災害時に高層住宅で日常生活を維持するには多くの困難を抱えるため、特別な支援対策を講じ、住宅管理者に対しても指導・啓発活動を実施すること。