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第1271号 2023.10.23 TEL 06-6354-8662 Fax06-6357-0846 大阪社会保障推進協議会 |
大阪府国民健康保険事業方針案に対するパブリックコメント募集始まる〜万を超える意見を出そう!
10月16日から大阪府国保運営方針案に対するパブリックコメント募集が始まりました。11月14日まで。
★パブコメ募集サイト https://www.pref.osaka.lg.jp/kokuho/iryouseido/r0510housh.html
【大阪府統一国保の問題点】
「保険料統一」=「統一国保」のトップランナーである大阪で起きていることは、大阪のみならず、国が目指す「完全統一」の問題点そのものとなります。この間、大阪社保協では自治体キャラバン行動を実施し、各市町村の国保課長とも対話を重ねてきました。そうした内容も踏まえ、ここでは「統一国保」の問題点を整理します。
□日本一高額の大阪府統一保険料
【2023年度大都市国保料(大阪社保協キャラバン資料集及び各市ホームページによる)】
モデル@40歳代夫婦+中学生+小学生 A74歳未満年金生活高齢者夫婦
B40歳代母+中学生+小学生
|
所得100万円 |
所得200万円 |
所得300万円 |
||||||
@
|
A
|
B
|
@
|
A
|
B
|
@
|
A
|
B
|
|
大阪府統一国保料 |
229,208 |
147,855 |
197,275 |
454,998 |
335,805 |
443,258 |
654,724 |
457,305 |
590,858 |
大阪市 |
207,278 |
129,522 |
176,779 |
429,096 |
310,088 |
380,297 |
626,346 |
428,788 |
565,346 |
堺市 |
200,234 |
126,284 |
170,669 |
413,416 |
302,193 |
366,112 |
600,675 |
417,593 |
543,544 |
東大阪市 |
207,765 |
130,444 |
176,543 |
426,057 |
310,856 |
376,102 |
619,023 |
427,056 |
556,578 |
豊中市 |
202,578 |
132,674 |
178,274 |
430,445 |
316,778 |
380,649 |
626,148 |
436,378 |
563,902 |
枚方市 |
199,800 |
128,400 |
171,300 |
422,500 |
318,500 |
375,800 |
629,700 |
440,600 |
568,300 |
高槻市 |
202,780 |
131,510 |
175,240 |
421,700 |
315,340 |
414,030 |
616,930 |
436,940 |
561,830 |
岡山市 |
183,635 |
120,415 |
160,715 |
369,463 |
275,315 |
363,175 |
535,515 |
379,815 |
489,675 |
京都市 |
180,976 |
116,409 |
158,496 |
367,481 |
267,369 |
359,991 |
535,251 |
372,069 |
490,291 |
横浜市 |
201,040 |
146,162 |
169,185 |
401,198 |
268,450 |
382,260 |
578,970 |
371,450 |
515,260 |
東京23区 |
212,378 |
160,413 |
174,228 |
407,618 |
280,353 |
385,878 |
575,578 |
376,253 |
499,278 |
札幌市 |
179,191 |
154,739 |
164,531 |
377,482 |
297,403 |
379,156 |
560,276 |
422,303 |
530,956 |
昨年11月に中央社保協全国大都市国保料調査が実施されました(現在2023年度国保料についても調査中)。
2023年度大阪社保協自治体キャラバン資料集にも資料をいれていますが、全国一高いのが大阪府統一保険料です。 https://www.osaka-syahokyo.com/23caravan/scs2023.pdf
さらに、2023年度保険料について各自治体のホームページを参考に計算したデータは表のとおりであり、大阪以外の自治体についてさらに申請不要の独自減免制度があればさらに安くなります。
□都道府県単位化のもとでの国保料の計算の仕方
2018年度以来、国保は都道府県単位化されており、保険料計算の基礎となる事業費納付金計算を都道府県がおこないます。事業費給付金は都道府県が過去3年間の県内医療費の推計を行い、そこから国庫負担金・前期高齢者給付金などの概算を控除し、医療費水準・所得水準・被保険者数を加味して県内市町村に割り振ります。この事業費納付金は市町村が期限内に全額都道府県に上納しなければなりません。
「事業費納付金統一」の場合は、この事業費納付金計算の際に「医療費水準はない」ものとして、所得と被保険者数のみで割り振ります。さらに、「完全統一」の場合は、事業費納付金額と都道府県が決めた統一保険料=統一保険料となり、保険料を下げるための独自減免制度もできません。
「統一していない」場合は、都道府県が決定した事業費納付金を上納することに変わりはありませんが、市町村の裁量で保険料を決定できますし、当然独自の保険料減免も実施できます。。
自治体キャラバン行動で、各市町村の国保担当課長に「大阪の統一保険料が全国でもとびぬけて高いことをご存知か?」「保険料が高いありきで話をされるがなぜ高いのか?」「統一保険料が高くなる原因を大阪府から説明を受けているのか?」との質問をぶつけました。
「日本一高いとはしりませんでした」「大阪府からちゃんと説明をうけたことがありません」「医療費が高く被保険者が減っているからではないか」などの声が多くありました。
しかし、大阪の一人当医療費が全国一高いわけではありません。別表は厚労省が毎年実施している「医療費の地域差分析」の令和3年度版の表です。大阪市の一人当医療費404,976円は全国平均380,300円より高いものの、全国で13番目です。全国一高いのは佐賀県462,579円、2位が鹿児島456,302円、大分県、島根県、香川県と続きます。
佐賀県国保ページには以下のように書かれています。ちなみに大阪府一人当必要保険料は令和5年162,4175円、令和4年147,786円であり、大阪の必要保険料が異常に高いことが明白です。
佐賀県の1人当たり年間平均の保険税額
(医療分+後期高齢者支援分+介護納付金分)
(1) 令和5年度に必要な保険税額 (決算補填目的の法定外一般会計繰入等「無」) |
127,934円 |
(2)令和4年度に必要な保険税額 (決算補填目的の法定外一般会計繰入等「無」) |
119,931円 |
□なぜ大阪府統一国保料がこれほどまでに高いのか〜大阪府が市町村国保会計を黒字化するためではないのか?
大阪府の事業費納付金計算が「市町村国保会計の安定化(=黒字化)」のために行っており、大きすぎるのではないか。さらに市町村ごとの調整機能が働かないため、とりすぎ保険料問題がおきているのではないかと考えます。
その結果、市町村国保の大幅黒字化がすすんでいます。特に2018年度から統一保険料に合わせたところほど大幅な黒字化となっています。そして統一保険料にあわせると黒字分を次年度繰り越しができないため大幅な基金積み上げとなっています。
別表は都道府県単位化前の2017年度から2021年度までの大阪府内市町村の基金残高の推移で、5年間で大阪全体の基金は2017年度110.7億円⇒2021年度316.1億円と3倍化しています。
一方、統一保険料に合わせていない市町村は基金残高ゼロであることも特徴的です。なお、統一保険料にあわせている松原市は基金はゼロですが、毎年単年度黒字を積み重ね、赤字を縮小しています(2018年度▲23.6億円⇒2021年度▲13.6億円)。
そもそも今回の「大阪府統一国保」の背景には2010年大阪府橋下知事と16市町村代表との協議があります。その当時(2018年度)府内市町村国保会計は▲803億円で全国一の大赤字でした。2007年度に夕張市問題(夕張市が赤字再建団体に転落)があり、大阪府内市町村は大きな危機感をもっていました。そこでこの協議では全国どこよりも早く広域化を実質的に知事の力を借りて強権的にすすめてほしいとの要請がされたのでした。現在でも大阪府からことあるごとに「統一してほしいといったのは大阪府ではなく市町村だ」という発言があると聞いています。
□国保は社会保障〜被保険者の生活を壊してはならない
現行の大阪府の統一国保は「市町村国保財政の安定化」のみを目的としているとしか考えられません。
しかし、その一方で被保険者の生活が脅かされています。無職者・自営業者・非正規労働者が国保に加入しており、令和3年度国民健康保険実態調査によるとそれぞれの加入率は43.3%、17.2%、32.5%となっています。これらの人々はコロナ禍と物価高の影響をもっとも受けた人たちであり、所得が増えない中、大阪に住んでいるために他都市よりも実質賃金がへるという事態となっているのです。
国民健康保険法第一条には「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と明記されており、相互扶助でも共助でもありません。
安心して医療を受けることはとても重要です。しかし、高い国保料が生活を脅かせているのは事実です。
シングルマザー世帯の半数以上が困窮しており、非正規雇用です。多くが国保加入で、所得は50万円〜100万円程度です。40歳代母と中学生+小学生3人家族の統一保険料は以下です。
【大阪府在住シングルマザー世帯の統一保険料】
|
所得50万円 |
所得100万円 |
値上がり額 |
2022年度 |
104,051円 |
123,475円 |
19,424円 |
2023年度 |
170,821円 |
197,275円 |
26,454円 |
この家族では最低でも一か月分の米は10K必要で、2万円は米50K〜60K相当です。国保料値上がりにより5〜6か月分の米代を失うこととなります。ただでさえ困窮し、食費しか削るところのないシンママ世帯はどうやって暮らしていけばいいというのでしょうか。
□大阪府内同一所得・同一世帯構成で同じ保険料は公平・平等か?
「完全統一」は府内市町村に医療費水準の格差がないことを前提にしますが、実際には医療供給体制に大きな格差があります。大阪府内ではおおむね大阪市と北摂・豊能地域に第三次救急の提供ができる大病院が集中。とりわけ河南地域では大阪狭山市の近畿大学病院の堺移転、藤井寺市民病院の廃院方針打ち出しにより、第三次救急と災害拠点病院がなくなる事態になりますこの点については、特に河南地域のみなさんに大きな声を上げていただきたいところです。
【大阪府内の三次救急医療体制 大阪府ホームページより】
地域 |
施設名 |
所在地 |
区分 |
大阪市 |
地方独立行政法人大阪府立病院機構 |
大阪市住吉区 |
高 |
大阪急性期・総合医療センター |
|
||
独立行政法人国立病院機構 |
大阪市中央区 |
|
|
大阪医療センター |
|
||
大阪赤十字病院 |
大阪市天王寺区 |
|
|
大阪警察病院 |
|
||
大阪公立大学医学部附属病院 |
大阪市阿倍野区 |
|
|
豊能 |
大阪府済生会千里病院 |
吹田市 |
|
千里救命救急センター |
|
||
大阪大学医学部附属病院 |
高 |
||
三島 |
大阪医科大学附属医療センター |
高槻市 |
|
北河内 |
関西医科大学総合医療センター |
守口市 |
|
関西医科大学附属病院 |
枚方市 |
高 |
|
中河内 |
大阪府立中河内救命救急センター |
東大阪市 |
|
南河内 |
近畿大学付属病院 |
大阪狭山市 |
|
堺市 |
堺市立総合医療センター |
堺市 |
|
泉州 |
岸和田徳州会病院 |
岸和田市 |
|
りんくう総合医療センター |
泉佐野市 |
|
□国保統一は地方自治の否定。国保の決定権はいまも市町村に。
10月1日付国保新聞第一面に「大阪・奈良が統一保険料〜6年度から 全国初」という記事が掲載されています。奈良県に問い合わせたところ「来年度統一する。運営方針案は1月の運営協議会までオープンにしない。市町村の法定意見徴収も11月上旬から」とのこと。奈良県は現行の運営方針において令和6年度からの統一を明記しており、さらに国保事務の共同化・標準化を推進するために2018年から奈良県国保連に「国保事務支援センター」を設置しており、ある意味大阪よりも統一に積極的であると思えます。一方、同様に統一の方針であった沖縄県は県内市町村の同意が得られなかったことを理由に統一の先送りを決定しました。
自治体キャラバンを通して、市町村から大阪府に対して意見がありながらも出せない雰囲気があることを感じました。市町村からの法定意見徴収もすでにおわりましたが、どのような意見がだされたのか注目されるところです。この内容について、大阪府国保課に対して情報公開請求をすでに行っています。
多くの府民が来年度からの「大阪府統一」を知りません。私たちは2010年の橋下大阪府知事時代から「国保広域化」「国保統一」に対して学習し、運動してきました。大阪社保協参加団体のみなさん、地域社保協のみなさん、大阪府の次期国保運営方針に対するパブリックコメントを一人でも多く提出し、大阪府に意見を集中しましょう。
意見提出用紙
「次期大阪府国民健康保険運営方針(素案)」に対する府民意見等の募集について
連 絡 先 |
氏名又は団体名【必須】 |
フリガナ |
(団体のご担当者名: ) |
||
住所又は所在地【必須】 |
〒 − |
|
電話番号【必須】 |
( ) − |
|
電子メールアドレス (任意) |
|
※上記【連絡先】欄内に記入していただいた事項については公表しません。
【個人情報の取扱いについて】
提出された意見の内容を確認させていただく場合があることから、氏名・住所・電話番号等の連絡先の記載をお願いしています。これらの個人情報については公表せず、他の目的に利用・提供しないとともに適正に管理します。
□部分の塗りつぶし(■)、またはチェック(✓)を入れてください。
ご意見・ご提言内容の公表について【必須】 |
□公表してよい ・ □ 公表不可 |
|
ご意見・ご提言いただく「次期大阪府国民健康保険運営方針(素案)」の該当項目【必須】 ※1つだけ選択してください。複数項目にご意見のある方は、1項目1枚で、複数ご提出ください。 |
||
序章 |
□ 第1 基本的事項 □ 第2 府における国民健康保険制度の運営に関する基本的な考え方 |
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第一章 保険財政の安定的運営 |
□ 第1 国民健康保険の医療に要する費用及び財政の見通し □ 第2 市町村における保険料の標準的な算定方法 □ 第3 市町村における保険料の徴収の適正な実施 □ 第4 市町村における保険給付の適正な実施 |
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第二章 予防・健康づくり、医療費の適正化 |
□ 第5 医療費の適正化の取組 □ 第6 保健医療サービス・福祉サービス等に関する施策との連携 |
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第三章 事業運営の広域化、効率化 |
□ 第7 市町村が担う事務の標準的、広域的及び効率的な運営の推進 □ 第8 施策の実施のために必要な関係市町村相互間の連絡調整 |
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上記該当部分へのご意見・ご提言 ※2,000文字未満で記入をお願いします。 |
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|
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【締切】令和5年11月14日(火曜日)24時 (※郵送の場合は期間内必着)
【送付先】大阪府健康医療部健康推進室国民健康保険課事業推進グループ あて
○郵送の場合 〒540−8570(府庁専用の番号のため、住所の記載は不要です。)
○FAXの場合 FAX番号 06-6944-6684