大阪社保協通信

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1268号 2023.9.8

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大阪社会保障推進協議会

  

829日大阪府国民健康保険運営協議会で次期大阪府国保運営方針案示される

★「保険財政の安定的運営」「事業運営の効率化」「負担の公平性」を強調

829日、大阪府国保運協が開催され、2024〜2029年度までの次期大阪府国保運営方針(素案)が示されました。

冒頭、国保課から「来年度から大阪では全国に先駆けて完全統一を実施。この間府下の市町村と協議を重ね丁寧な合意形成をはかってきた。今日は忌憚のないご意見を」とあいさつがあり、担当職員から素案について説明がありました。しかし、「高すぎる国保料」を含む構造的問題を解決するために始めた統一化によって、一人あたり国保料が上がり続けている問題には触れられず、「保険財政の安定的運営」「事業運営の効率化」「負担の公平性」などが強調されるものでした。

保険料抑制については、「上昇が今後も続くと見込まれる状況から…府内統一保険料の抑制・平準化を図っていく」ために、@市町村国保会計の黒字活用、A国の交付金、府の繰入金等の活用、B府の剰余金(基金)の活用を行う旨説明があり、@については、R6〜8年度で一人当たり約680円(各年度)を引き下げる方針が示されましたが、検証が必要です。

委員からは「全国に先駆けて大阪で完全統一という話だが、他府県はどうなっているのか?」「そもそも統一化の目的は?」等の質問が出され、「大阪以外でR6年に完全統一するのは奈良のみ。沖縄も目指していたが、リスケするよう」「府下市町村の国保会計の累積赤字が大阪は全国一大きかった。橋下知事の時代に首長の皆さんと話し合い、広域化の要望を出したのがきっかけ。その結果累積赤字は解消され、黒字に好転している」と回答がありました。

6月、厚労省が都道府県が策定する「国保運営方針」の指針となる策定要領を改定しました。都道府県国保運営方針に保険料水準を統一する目標年度の記載するよう迫り、同じ所得水準・世帯構成であれば同じ保険料とする「完全統一」をめざすよう求めています。

大阪府では2018年度から維新府政のもと全国に先駆けて府内統一化が強行され、国保料だけでなく減免基準や事務運用まで統一化が進められてきました。まさに大阪が国保改悪の先導役になっています。しかし、国保運営方針はあくまでも地方自治法に基づく「技術的助言」であり、国保料や減免の決定権は市町村にあります。今後行われる、国保運営方針(素案)のパブコメで高すぎる国保料が解決どころか深刻化している問題を突きつけ、統一化を許さない声を大きくしましょう。

(大阪商工団体連合会・西村さん)

 

★大阪府国保運営方針改定スケジュール 

2023年  8/29           国保運協 運営方針の素案提示

        9/22〜10月中旬   市町村の意見聴取

        10月中旬〜11月中旬 パブコメ

        11月            市町村の調整会議 運営方針協議

国保運協 運営方針を諮問

         12月               運営方針決定、公表

 

大阪府統一国保料がなぜ高いのか?〜大阪府の事業納付金計算に対する疑問について

★日本一高い「大阪府統一国保料」

昨年11月、中央社保協が全国の社保協に呼びかけて、全国の大都市国保料調査を実施しました。その結果予想通り「大阪府統一国保料」が全国の補遺の大都市国保料に比してとびぬけて高いことが判明しました。この調査結果一覧は「2023年自治体キャラバン資料集」83頁に掲載しています。また、資料集の全データは大阪社保協ホームページ→2023自治体キャラバンぺージにアップしています。


2022年度 所得200万円 40歳代夫婦+小学生+中学生の4人家族の国保料年額() 抜粋】

統一保険料

大阪市

堺市

東大阪市

京都市

神戸市

横浜市

新宿区

名古屋市

札幌市

412,115

396,073

387,779

412,109

354,440

332,680

262,440

295,526

233,760

339,360

 

★自治体キャラバンで国保担当課長が理由として挙げていること

大阪社保協では現在、2023年度自治体キャラバン行動を展開し、すでに泉南市(81)、寝屋川市(88)、岸和田市(818)、豊中市(821)、門真市(823)、千早赤阪村(824)、和泉市(825)、河内長野市(828)、岬町(830)、高石市(831)との懇談を終了しました。

国保担当課長に対して「なぜ大阪府統一国保は日本一高額となるのか?」「大阪府からどのような説明をているのか?」との問いを投げかけていますが、@医療費が年々高くなっていることA被保険者が年々減っていること、の2点が原因との説明です。

 

★大阪府一人当医療費が日本一高いわけではない

 

しかし、令和3年度厚労省「医療費の地域差分析」によると一人当医療費は以下であり(番号は順位)2023年度一人当必要保険料(総事業費納付金を被保険者で割った金額)も都道府県のホームページからひろうと以下のようになっています。

 

@   高知県   439,754円    2023年度一人当必要保険料額  137,445

A   鹿児島県 424,726

B   長崎県   416,861

C   大分県   412,337円                          131,150

D   徳島県   404,943円                          141,381円  

E   佐賀県   400,479円                          127,934円 

F   山口県   399,479円                          114,301

・・・・

   P大阪府    363,076円                          162,417

 

★大阪府統一国保料がどこよりも高くなる理由として考えられること

大阪府は一人当医療費は全国一高いわけではなく、全国17位です。しかし、一人当必要保険料がとびぬけて高いのはなぜなのでしょうか?

 

@  大阪全体で大きな誤差が生まれているのではないか

例えば2023年度納付金計算・標準(大阪府の場合は統一)保険料計算は、2020年度データー(コロナ一年目)に基づいて計算されます。つまり、3年前データに基づき、医療費総額、所得総額、被保険者数を予想し計算するので都道府県単位になると、相当な誤差が生まれるのではないか。ちなみに2024年度統一保険料は2021年度データ(コロナ2年目)に基づき計算されます。

市町村で保険料を賦課する場合は、見込の直近データ、たとえば2023年度保険料は、2022年度見込で計算できます。また、1自治体であれば誤差もそう大きくなりません。

大阪府内市町村でも、統一保険料に合わせていない自治体は、「標準保険料率(統一保険料率)」がだされても、市町村自らが試算し、納付金が支払える範囲で保険料を賦課するので調整が効きますが、来年からの統一にあわせるためにその調整もしない傾向が強くなっていると考えられます。

A医療費水準を考慮しない統一保険料だが、実際は医療費水準に格差がある

大阪府の統一国保では医療費水準を考慮せずに事業費納付金を計算し、被保険者の所得と被保険者数に応じて市町村に事業費納付金を割り振り、計算します。

しかし、国保会計は大阪で一つではなく、市町村ごとであり、実際には市町村ごとの医療費水準の格差があり、医療費支払い(医療給付費)はその医療費の実態に応じて大阪府が支払うので、統一保険料にしていると、比較的医療費水準が小さい自治体には大きく黒字が生まれるのではないかと考えます。

 

Bそもそも大阪府の事業費納付金の見積もりが多すぎるのではないか

 

 表@は2021年度大阪府内市町村国保会計決算です。

 2021年度は大阪全体でみると黒字が138億円で被保険者一人当7646円の黒字です。市町村ごとでみると、さらに黒字幅が大きいでいうと、能勢町は一人当5万円、藤井寺市は3.5万円、大東市3万円、池田市2.7万円、吹田市2.3万円、大阪狭山市1.9万円の黒字です。これらの自治体は単純にいうと、その金額分、保険料が高すぎたということができるでしょう。

 2020年はコロナ1年目で、診療抑制がおきたため医療給付が大幅減少、国保会計は大きく黒字を出しました。2021年度は若干統一保険料率を下げましたが、それでも大きく黒字となっています。

表Aは2017年度〜2021年度の府内市町村国保基金残高の推移で、収支に現れない「基金」が2018年度からの都道府県単位化・大阪府統一国保以降大きく増え2017年度の三倍化していることがわかります。統一方針がなければ、次年度繰越して国保料を引き下げるための原資になったはずの黒字分です。2021年度一人当基金残高は表@をみると1.7万円、市町村ごとで見ると島本町10.3万円、田尻町7.8万円、守口市7.5万円、能勢町6.6万円、交野市5.4万円、阪南市5万円・・・と続きます。

 

★市町村国保会計がこれほどまでに黒字になっているのはなぜか

 

2008年度当時、大阪府全体の国保赤字は805億円で全国一でしたが、赤字幅は年々小さくなり、2017年度に初めて104億の黒字となりました。2021年度の黒字は138億円ですが、基金残高は316億円にも上り、両方を足すと454億円にも上ります。

 表Bを見ていただくとわかりますが、大阪府事業費納付金を被保険者で割り込んだ一人当必保険料収納額はこの6年間で平均27%もの値上がりです。

 こうした事実からみると、事業費納付金を必要以上に大きく計算したことにより保険料の値上げを招き、その結果、どの市町村も大きく黒字を積み上げているのではないかと考えられます。繰り返しますが、こうした黒字は、統一方針が無ければ次年度繰越により保険料引下げができるはずのものであることを再度指摘したいと思います。

 

★国保は社会保障〜「保険財政の安定的運営」になることで生活が破壊されてはならない

 

829日の大阪府国保運協では、担当者から「保険財政の安定的運営」(=国保会計の黒字化)が強調されたと大商連・西村さんのご報告にありますが、これは「高すぎる国保料」を支払わされている被保険者の犠牲のもとに成り立っています。

国保は社会保障です。いのちと暮らしを支えるものでなければならないにも関わらず、この大阪の高すぎる国保料によって被保険者の暮らしが脅かされています。

大阪の統一保険料だけが際立って高額となっている問題については、大阪府に質問状を送付するとともに、厚労省に対しても問題提起を行います。        

 (文責 大阪社保協事務局長 寺内順子)

)表@Aデータは厚労省国民健康保険事業報告から作成 表Bは大阪府資料より寺内作成

 

【当面の機関会議・取り組み予定】

98()北摂・豊能ブロック会議(1400-吹田市職労)

913()大阪の福祉医療費拡充実行委員会(1000-1200)

914()河南ブロック会議(1400-松原民商)

915()守口社保協再建準備会介護保険学習会(1830-)

916()17() 中央社保学校(岡山市・zoom)

921()2023年度第4回常任幹事会(1800-zoom)

925()中央社保協国保厚労省交渉(1030-zoom)

926()社保協近畿ブロック事務局会議(1500-ハイブリッド)

927()近畿総決起集会実行委員会(1500-)

929()豊中社保協「国保料・介護保険料引下げ署名スタート集会」

104()中央社保協介護障がい部会(1030-)運営委員会(1330-zoom)

105()大阪社保協第7回事務局会議(1400-zoom)

          大阪社保協介護保険対策委員会(1900-zoom) 

1016()中央社保協国保部会(1000- zoom)

1018()社保協大阪市内ブロック(1800-ハイブリッド)

1019() 2023年度第5回常任幹事会(1800-zoom)

112()大阪社保協第8回事務局会議(1400-zoom)

115()近畿総決起集会