大阪社保協通信

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1262号 2022.12.19

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大阪社会保障推進協議会

  

大阪府2023年度統一国保料驚きの12%アップの試算出される〜統一国保では値上げをストップできない

 20221124日に大阪市町村主管課長会議が開かれ来年度統一保険料率の驚くべき試算が発表されました。大阪府平均一人当必要保険料額165,594円で、2022年度同147,786円と比べ17,808円、なんと12.05%もの値上げであり、参加した市町村担当課長に衝撃が走ったと漏れ聞こえてきています。

大阪府から公開された試算全資料はすでに大阪社保協ホームページ「国民健康保険都道府県単位化問題」のページにアップしていますのでご参照ください。

https://www.osaka-syahokyo.com/16kokuken/khk20221207.pdf

 

【大阪府資料 2023年度大阪府統一保険料率 仮係数】

 

所得割

均等割

平等割

賦課限度額

医療分

9.62%

35,004

35,308

65万円

後期分

3.07%

10,843

10,937

20万円

介護分

2.63%

19,309

0

17万円

 

(参考 2022年度)

 

所得割

均等割

平等割

賦課限度額

医療分

8.71%

31,854

32,105

63万円

後期分

2.66%

9,426

9,500

19万円

介護分

2.48%

18,306

0

17万円

 

 大阪社保協ではモデル保険料を試算していますが、2018年度以降の統一保険料は別表のとおりで、2018年度国保都道府県単位化以来年々値上がり20%値上がりとなっていることがわかります。

★統一国保の大問題〜黒字でも保険料を下げられない

 このように年々統一保険料が値上がっていく一方で大阪府内43市町村国保特別会計はほぼ黒字であり、それだけでなく基金を大きく積み上げています。大阪社保協「2022年度自治体キャラバン行動資料集」78頁に収録していますが、2020年度大阪府内市町村国保会計決算では、大阪府全体の収支は170億円(一人当9,119)、基金積み上げは242億円(一人当12,952)にも上ります。1人当基金を板版積み上げているのは島本町で94,343円。島本町はすでに統一国保料に合わせていることから、本来は大きく下げられる国保料をとても高く賦課しているために基金を積み上げる結果となっています。

なぜこうした事態となるのでしょうか。これは、都道府県単位化といっても2018年度以降も国保会計は市町村ごと決算がされるためです。単年度黒字が出た場合、通常は次年度繰り越しをして次年度の国保料引き下げのために使われますが、統一国保を目指す場合、統一保険料に合わせるために繰り越しをせず基金に積み上げていくしかないないので「黒字なのに保険料が上がる」という矛盾した状況に陥ります。これは、ただ、ただ、値上っていく統一保険料に合わせるための保険料賦課が行われるということでしかありません。これについては、2022年度自治体キャラバン行動の中でも各市町村国保担当課長とも意見が一致しています。

仮に大阪府国保統一のままで大阪府全体の保険料を下げていくためには、事業費納付金総額を圧縮するしかなく、これに市町村国保会計独自の基金を投入することは不可能であり、大阪府からの一般会計法定外繰り入れしかないと考えます。

★来春の統一地方選挙の大争点とするために

来年度統一国保料率本算定は例年ですと110日の週か16日の週に国保主管課長会議で公表されます。大阪社保協ではその情報を入手次第、大阪府に対して情報公開請求をしますので、1月末にもしくは2月頭には「2023年度大阪府統一国保問題学習決起集会」を開催したいと思います。

その時、もしくは事前に大阪府国保課にその内容についてオンラインで説明をしてもらい、「決起集会」で流せればと考えています。

また、「日本一高い大阪府統一国保料」を前面に出したわかりやすいチラシを作成するとともに、23月大阪府および市町村議会にむけて「請願」行動と地元議員要請を地域での取り組みを提起したいと思います。

 

【別表 モデルケースごと大阪府統一保険料】

@     40歳台夫婦+小学生2人子どもの世帯  A65歳以上75歳未満年金生活夫婦2人世帯  B40歳以上と小学生の子ども2人のシンママ世帯

介護保険2024年見直し反対にむけた各地で学習決起集会開催

2024年度介護保険見直し向けた検討が重大な局面を迎えています。

大阪社保協では各ブロックごとでのリアル学習会を開催し、地域での運動を進めていきましょうと提起しており、以下の日程で開催されています。

◆豊能ブロック・・・1120()14時〜豊中市公民館 豊中社保協・年金者組合豊中支部主催 

講師:日下部さん

◆南河内ブロック・・・1126()14時〜大阪狭山市さやかホール 講師:日下部雅喜さん

◆大阪市内ブロック・・・1214()1800-大阪民医連 講師:日下部さん

◆北摂ブロック・・・1218()14時半-吹田市社会福祉法人こばと会本部) 講師:日下部さん

 

大阪狭山社保協・山野事務局長から河南ブロック学習会の内容について詳細なご報告がありましたので以下掲載します。大阪狭山社保協および河南ブロック各社保協は開催にむけて市内介護事業所訪問に取り組みました。

1126日河南ブロック学習会(河南ブロックニュースより)

11月26日(土)午後1時30分から、大阪狭山市さやかホールで大阪社会保障推進協議会・河南ブロック主催で、次期介護保険改悪についての学習会を開催しました。会場には河南ブロック各地域から超満員69名の参加があり、大阪社保協河南ブロック竹田さんの開会挨拶で学習会は始まりました。講師は大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員長・日下部さん。75ページに及ぶプロジェクターのスライドで改悪の内容と運動の課題について解説していただきました。質疑を終え、大阪狭山社保協会長からお礼のことばと改悪反対の署名の取り組みについて確認し、閉会しました。交流の中で参加者から出された質問・アンケートの感想を含め、学習会で学んだ2024年度改悪内容について簡単に紹介します。

 

2024年度見直し・狙われる改悪内容(日下部さんの資料から)

1、利用者負担の引き上げ(原則2割化、2割・3割の対象拡大)

今の制度で2割負担は、年金収入280万円以上の被保険者です。この年金収入を200万円以上にする方針が示されています。実施されると被保険者の33パーセントが2割負担に該当。総務省「家計調査報告」(2021年)によると、夫婦高齢者無職世帯の家計収支で月1万8525円の生活費不足がデータと

してでている中で2割負担は暮らしと介護を破壊。

 

2、ケアマネジメントに利用者負担導入・有料化の3つの害悪

@介護サービスへの窓口を狭める。

利用者負担は「相談」の段階からハードルが高くなり、困難をかかえる人ほど介護サービスにたどり着けなくなる。

A介護サービス利用抑制に拍車をかける。

ホームヘルパーの2〜4回分、デイサービスの2〜3回分に相当し、経済的負担を増大させる。

Bケアマネージャーの利用者支援に悪影響

ケアマネージャーは柔軟に幅広く支援。「有料」となれば「金を払っているからやって当然」といわれることを恐れて業務範囲を狭めるケアマネが出てくる。利用者・家族の中にも一方的に「言いなりのプラン」を押し付けてくる人も出てくる。

 

3、要介護1,2のヘルパー・デイサービス等の総合事業移行

 総合事業(地域支援事業)のねらいは介護保険の縮小・再編「軽度者」切り捨てによる介護費用削減。要支援1・2は手始め。本命は要介護1,2の総合事業への移行

 

4、介護保険料の負担引き上げ

・補足給付の資産要件に不動産の追加 ・被保険者範囲の拡大(保険料徴収年齢引き下げ)

・老健施設等多床室部屋代徴収・ICT、ロボットの活用「生産性向上」人員配置基準の切り下げ

 

 

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Q 要支援の方の入浴介助加算について(大阪狭山市ディサービス管理者)

ディサービスで要支援1.2の方と要介護1〜3の方が来られている施設で、近年要支援の方の入浴介助の必要性が出ています。ただディサービスを提供していくにあたり、個浴でしていますので、介護職員をつけるとなると要介護の方が優先になります。要支援の方の入浴の要望もあって、頑張らせていただいて入浴している状態です。介護保険料は上がる、処遇改善という介護職員の費用を維持するために、利用者さんからもお金を採るということで、なかなか言いづらいところですが、要支援の方の入浴介助についても加算をつけていただかないと経営がもたないというところがあります。この要支援の方の入浴介助の加算の展望はないでしょうか?          

A 通所ディサービスでは入浴介助加算がある。要介護1で一人入浴介助すれば40単位400円、しかし要支援1は加算無しで入浴、加算無しで同じ手間をかけるのだから赤字。要求としては真っ当。しかし国のレベルでの展望はない。ただ総合事業のいい点は市町村が自由に決めること。大阪狭山市がその気になれば、独自加算としてしても合法。ディサービスのニーズの一番は入浴。要求して取り組まれればと思います。真っ当なご意見ありがとうございます。

 

Q 要支援の質問(介護事業所ケアマネージャー)

ケアマネジメント有料化の問題で質問。要介護のケアマネジメントの報酬単価、要支援の方の報酬も発生してくるのか、費用が掛かってしまうというところで、利用者さんには「ケアマネは何してくれるの」、「電球を代えてほしい」、「買い物に行ってほしい」などと言われるけれども、「ケアマネに費用がかかるなら、相談しない方がいいかな」と現場の不安としてあります。       

要支援の方も予防プランとして費用がかかる。普通のケアプランと違い、地域包括のケアプランの委託をケアマネが受けることになる下請けの形。要介護は1万円、1万4千円だけど、要支援は安く4380円で3分の1。国は一応、要介護、要支援は両方とも有料化の対象。1割負担で要支援も400円ほどの負担増。「お金払うなら来ないで」という人も出てくる。ケアプラン有料化は2010年から出ているが、出てきてはつぶれです。厚労省はやりたくない、財務省は絶対やる、と言っている。どっちが勝つか、お力添えを。

 介護保険料が引き下がることはあるのでしょうか?

介護保険料は掛け捨て保険かつ65歳以上はほぼ全員がとられる保険で市町村ごとに決める。これから3年間、これだけ介護サービスが必要ですよ、それを全員で割ると23%でこれだけになりますよ、と決めて3年間回す。3年間もつ保険料なので1年目より2年目、3年目と増えていくので、3年間見越した保険料と決めていくのでたぶん1年目は余る、2年目がとんとん、3年目は赤字になるけれど1年目の黒字分をもってきたら、ちょうど合う。これが介護保険料として正しかった。もし、これが間違って少なかったら赤字になる。その場合は大阪府から借りる。今、赤字はほとんどないので大阪府はゼロ。黒字は一般的にはいいこと。しかし介護保険の場合の黒字は見込み違いの取りすぎ。普通は取り過ぎれば返すが、介護保険の場合はそれができないので、次の3年間の保険料に充てる、その分、保険料を少なくしますよ。それでガマンしてください。それも問題で3年間のうちに死ぬ人もいる。返すのが普通。しかし、3年で返さない自治体があるのが問題。将来高齢化していく費用としたい・・・これは将来の高齢者の費用を今の高齢者が負担する。給付費準備基金として自治体に積み上がる。そうではなく原則として次期の保険料に回すべきなのに、半分しか回さないとか、9割残す自治体もある。藤井寺市が14年前にした。市民は「ドロボー」と怒って運動し2年目に下げ、画期的な全国唯一の成果。ただ千早赤坂村は十数年分の保険料を貯めていた。太子町は貯めている。3年間の皆さんの保険料は預かりものなのに、それを無視してあげたまま。ぜひ運動して下げさせてください。

 

Q 本当に必要な人が利用し、自立できているのでしょうか?   

A 大雑把なお答えをします。利用できていない人はいると思います。

 週2〜3回施設に行けばとじ閉じこまらない、話もできる、運動し元気になれるのに何らかの事情、いけばお金がかかるしという事などあるが、そこはうまくリードしてサービスに結び付けていくことがケアマネの役割。またできるだけ利用させないでと言う市町村もある。デイサービスでなく、まずは短期集中にいくこと、そこで元気になれば卒業です。

卒業して体操にいけば無料だよ。いろんな意地悪をして行かさない。その方針に合う人は1割、2割はいるでしょうが全員ではないでしょう。短期的には元気になる人もいるでしょう。しかし、その人も1〜2年後には衰えていく。やがていつかは死ぬのが人間の運命。元気なうちはいいけど、卒業生とかいうのは行き過ぎと私は思っています。

 

Q 介護予防と言う観点から質問

河南町の議員です。元気で長生きしたいとの要望はみなさんにある。そのために介護にならないための介護保険のうまい使い方を積極的にアピールすべきでないか。元気で長生きの高齢化社会をどう構築していくか?という視点での介護保険のあり方について先生の考えをお聞きしたい。

A  本当に個々の方の人生を大事にしてなら大賛成。しかし、介護費用の削減という目的があり、元気な人が何人増えたか、要支援認定者が減ることが指標になる。要支援認定基準を厳しくして減らす自治体がある。サービスを利用しなくてもいい人を増やすこと、利用しにくくする。いろいろな指標で要支援者を減らした自治体に交付金を渡す・・・本当の意味での自立支援でなく、財源削減政策ですすめる自治体が出てくるので慎重な判断が必要と考える。事業所も同じで、要介護度が下がると報酬も下がる。要介護度が下がったらご褒美をつけてほしい要望は事業所にもある。それはいいのですが、事業所によっては、よくなりそうな人を集めてお金にする、そのやり方は反対。お金でなく、元気になり有難うと言われるのがうれしい。そこも慎重にというのが私の思いです。