大阪社保協通信

メールアドレス:osakasha@ poppy.ocn.ne.jp  

http://www.osaka-syahokyo.com/index.html 

1261号 2022.11.12

  TEL 06-6354-8662 Fax06-6357-0846

大阪社会保障推進協議会

  

くすのき広域連合来期解散をうけて〜119日「よりよい介護保険をすすめる四條畷の会」発足
 大阪でただ一つの介護保険の広域連合である「くすのき広域連合」(守口市・門真市・四條畷市)が第92024年度に解散し、3市が保険者となることが決定しています。

 大阪社保協では、3市の新しい介護保険運営に対していま地域ごとに取り組みをすすめていこうと726日守口市・門真市、81日四條畷市、921日四條畷市、各地域のみなさんとともに相談会等をすすめてきました。

 四條畷市にはかつて地域社保協がありましたが、長らく開店休業状態となっていました。今回の「くすのき広域連合解散」をうけて、新婦人、年金者組合、大阪12区市民連合、大東四條畷民商、かわち野医療生協、日本共産党がよびかけ、119日「よりよい介護保険をすすめる四條畷の会」(代表 宮田浩・かわち野医療生協四條畷支部長)が発足しました。今後は、市内の介護事業所連絡会や自治会などにも声をかけていくことや、市に要望書を提出していくこと、現在募集中の介護保険策定委員会委員へも応募していくことなども確認されました。

 守口市、門真市ではまだこうした動きとなっていませんが、2024年度新たなスタートをきる3市に介護保険をまともな運営をさせていくためには、住民運動が必須です。

 

負担増、サービス切捨て、保険料引上げ〜介護保険2024年見直し重大局面に

 2024年度介護保険見直し向けた検討が重大な局面を迎えています。10月31日に開かれた厚生労働省の審議会(社会保障審議会介護保険部会)では、給付と負担について7項目について各「論点」が示されました。一方で、11月7日には財務省の審議会(財政制度等審議会財政度等分科会)が開催され、利用者負担の見直し等について財務省の考え方が示されました。

今年の年末に厚生労働省の審議会で「介護保険見直しに関する意見」がまとめられ、来年1月からの通常国会での介護保険法改正が行われることになります。年末までにとくに重大な争点である4つの問題について現時点での厚生労働省と財務省の狙いなどについて表にまとめてみました。

(文・表とも日下部雅喜・大阪社保協介護保険対策委員長)

 

 

ケアマネジメント有料化

財務省は、第9期(2024年度〜26年度)から「ケアマネジメントに自己負担をどう導入すべき」と断定するなど極めて強硬な姿勢を示しています。厚生労働省は @制度創設時と「現在の定着状況」、A利用者負担導入の「影響」 B他のサービスとの「均衡」等並べ「どのように考えるか」としています。財務省の言い分に一部迎合しながらも関係者の反対意見もあり、利用控えなど悪影響も論点に上げていますが、今後どちらにでも転びかねない、まさに予断を許さない事態です。

ケアマネジメントに利用者負担を導入するために来年1月からの通常国会での介護保険改正が必要であり、今年年末までの厚生労働省の審議会の「意見」に盛り込ませないことが重要です。

要介護1.2の訪問介護等の保険外し

要介護1,2の訪問介護・通所介護の総合事業移行については、介護関係8団体がこぞって反対を申し入れたことに示されるように、反対の声が高まっています。そうした中で財務省は「地域支援事業への移行を目指し、段階的にでも…すべきである」としました。2024年度見直しで「完全実施」ができなくても総合事業移行の階段を上ることを執拗に迫るものです。これに対し、厚生労働省は @市町村の意向 Aサービスの質 B介護人材不足を踏まえた必要性 などを並べ「どのように考えるか」としており、総合事業移行の余地を残しています。

要介護1,2の通所介護・訪問介護をすべて総合事業に移行させるためには介護保険法改正が必要ですが、すでに一部対象拡大を厚生労働省令で行っており、警戒が必要です。

2割負担・3割負担の対象拡大

 利用者負担の2割・3割の対象拡大問題は、厚生労働省も財務省も「前のめり」姿勢を示しています。本年10月から後期高齢者医療の患者負担に2割負担が導入されたことを受けて、厚生労働省は「判断基準が、後期高齢者の所得上位30% とされていることとの関係をどのように考えるか」と対象拡大の検討を論点にあげ、財務省は「後期高齢者医療における患者負担割合の見直し等を踏まえ、早急に結論を得るべく、検討していくべき」と強く決断を迫っています。2024年度見直しでは2割負担の対象拡大は、強行される危険性が高い状態であるにもかかわらず、当事者にはほとんど知らされていません。

 介護保険法の規定では、2割・3割負担となる対象は、内閣が決められる「政令で定める」とされており、国会審議抜きで改悪が可能であり、負担拡大の運動が急務です。

介護保険料の大幅引上げも

 厚生労働省も財務省も最近になって唐突に「保険料見直し」を言い出しました。厚生労働省は、介護保険料が高い段階(国の第9段階・所得320万円以上)でも年12万円程度(全国平均)であること対し、後期高齢者医療は保険料上限(賦課限度額)が年66万円であることを「どう考えるか」と論点提示を行い、上限引き上げを狙っています。財務省は「公費の過度な増加を防ぐために…高所得の被保険者の負担による再分配を強化すべき」と公費で行っている低所得者の保険料軽減を「高所得者」の保険料引上げに置き換えようとしています。少しばかりの所得があればさらに高い保険料負担を課す制度見直しは高齢者にさらなる負担を押し付けることになります。後期高齢者医療では66万円の上限額を80万円程度まで引き上げる検討もされており、高齢者の保険料負担を今後大幅に引き上げる動きは極めて重大です。

 

【10月31日社会保障審議会介護保険部会、11月7日 財政制度等審議会財政制度分科会】

 

 「給付と負担」について 7事項のうち 重大4事項

 

項 目

1031日社保審介護保険部会「論点」

117日 財政審

ケアマネジメントに関する給付の在り方

 

・ 制度創設時に10割給付とされた趣旨及び現在のケアマネジメントの定着状況

・ 導入することにより利用控えが生じうる等の利用者への影響や、セルフケアプランの増加等によるケアマネジメントの質への影響

・ 利用者負担を求めている他の介護保険サービスや、施設サービス利用者等との均衡

・ ケアマネジャーに期待される役割と、その役割を果たすための処遇改善や事務負担軽減等の環境整備の必要性

等の観点からどのように考えるか。

○ 利用者が自己負担を通じてケアプランに関心を持つ仕組みとすることは、ケアマネジメントの意義を認識するとともに、サービスのチェックと質の向上にも資するため、9期介護保険事業計画期間から、ケアマネジメントに利用者負担を導入すべきである

軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方

・ 総合事業の実施状況や介護保険の運営主体である市町村の意向

・ 認知症の者も多い要介護1・2の者について、その要介護状態に応じて必要となるサービスの質や内容

・ 今後の介護サービス需要の大幅な増加や、訪問介護サービスで特に顕著である人材不足の状況を踏まえた見直しの必要性

等の幅広い観点から、どのように考えるか。

第9期介護保険事業計画に向けて、要介護1・2への訪問介護・通所介護についても地域支援事業への移行を目指し、段階的にでも、生活援助型サービスをはじめ、地域の実情に合わせた多様な主体による効果的・効率的なサービス提供を可能にすべきである。

「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準

〇 制度の現状等を踏まえ、「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準をどのように考えるか。

〇 その際、本年10月に施行された、後期高齢者医療制度の患者負担2割(一定以上所得)の判断基準が、後期高齢者の所得上位30% (※)とされていることとの関係をどのように考えるか。

(※)現役並み所得者を含む割合

 

 

○ 利用者負担については、2割・3割負担の導入を進めてきたが、今般の後期高齢者医療における患者負担割合の見直し等を踏まえ、

@ 介護保険サービスの利用者負担を原則2割とすることや2割負担の対象範囲の拡大を図ること、

A 現役世代との均衡の観点から現役世代並み所得(3割)等の判断基準を見直すこと

について、第9期介護保険事業計画に向けて早急に結論を得るべく、検討していくべきである

高所得者の1号保険料の負担の在り方

〇 高齢化の進展に伴って、1号保険料水準の中長期的な伸びが見込まれる中で、被保険者の負担能力に応じた保険料設定についてどのように考えるか。

※ 介護保険制度と医療保険制度における保険料については、

・ 介護保険制度においては、合計所得金額が320万円(第8段階・第9段階の境界。年金・給与収入が同程度の場合には収入527万円、年金収入のみの場合には収入468万円に相当)に達すると保険料負担が12万円程度(第8期計画期間の全国平均値で試算)で上限となる。

・ 後期高齢者医療制度においては、保険料賦課限度額を年額66万円(令和4・5年度)と設定していることから、年間所得が698万円(年金・給与収入が同程度の場合、収入996万円、年金収入のみの場合、収入888万円に相当)に達すると保険料負担が上限となる。

○ 今後、高齢化の進展による第1号被保険者数の増加や、給付費の増加に伴う保険料の上昇が見込まれる中で、低所得者の負担軽減に要する公費の過度な増加を防ぐため、負担能力に応じた負担の考え方に沿って、高所得の被保険者の負担による再分配を強化すべき

 

介護保険制度改悪内容を正しく学び地域での運動を進めていくためリアル「学習会」を年内に企画しましょう。

 

2024年度介護保険改悪内容の議論はあまり報道されず、ほとんど知られていないのが実態です。ぜひ地域での学習会を企画しましょう。またすでに企画されている学習会もありますので参加しましょう。

 

各地で開催される介護保険改悪反対学習決起集会のご案内

(講師はいずれも日下部雅喜・大阪社保協介護保険対策委員長、参加費無料)

 

〇豊中市「介護保険改悪をストップさせる学習会」

□日時 20221120()14時〜

□場所 豊中市立中央公民館三階講座室(阪急曽根駅下車・文化芸術センター北側)

□主催 全日本年金者組合豊中支部・豊中社会保障推進協議会

 

〇大阪狭山市「介護する人、受ける人がともに大切にされる介護制度を目指す介護保険学習会」

□日時 2022年11月26日(土)13:30〜15:00

□会場 大阪狭山市さやかホール 2階会議室

□主催 大阪社会保障推進協議会・河南ブロック

 

〇大阪市「介護保険改悪反対学習決起集会」

□日時 2022年12月14日(水)18:00〜19:00

□会場 大阪狭山市さやかホール 2階会議室

□主催 大阪社会保障推進協議会・河南ブロック

 

115日住吉区社保協「国保学習会〜大阪府統一国保の問題点」開催。

1116日に大阪府・市町村国保主管課長会議が招集されていることが自治体キャラバンで明らかになりました。来年度統一保険料の仮算定等が提案される会議だと思います。

この間実施している自治体キャラバン行動でも国保担当課長すべてが「2022年度より値上がりすると思う」と答えています。

115日に行った住吉区社保協「国保学習会」では、会計資料を使いながら「大阪府統一国保」の問題点について以下のように指摘しました。

 

★「大阪府統一国保」の問題点

□全国は「都道府県単位化」、大阪府は「国保完全統一」を2024年度から行おうとしている。

□「国保完全統一」とは、保険料の統一だけでなく、保険料減免や一部負担金減免などの統一のことであり、さらに国保実務の統一(特に滞納処分)も目指す可能性もある。

□しかし、統一したとしても実際の運営(保険料賦課・保険証発行・給付等)は市町村であり、国保会計も市町村単位となる。

□無理やり大阪府で一本にしても、43市町村の事情は全く違う。

□一番差があるのが、医療供給体制。

□大阪府内ではおおむね大阪市と北摂・豊能地域に第三次救急の提供ができる大病院が集中。特に北摂では高槻市・吹田市に、豊能では豊中市に、大阪市内でも24区では差があり、北区・中央区等に集中。

□逆に、河南地域、泉南地域では非常に医療水準が厳しい。

□いくら大阪は一つ、と言われても、例えば河南地域の住民が北摂地域の医療機関に行くことはほぼ無理。

□さらに、市町村会計が別であり、現在松原市以外の市町村は黒字。2017年度までは、黒字であれば黒字分を次年度繰り越しをして次年度保険料を安くすることができた。

2024年度以降はこれができないこととなり、黒字なのに保険料が下げられない。基金積み上げにすることしかできないという状況に。現在も大阪府統一保険料に合わせている自治体はその矛盾した会計状況に陥っている。

 

★各市町村国保担当課長とも意見が一致

特に、「黒字になっても保険料が下げられない。基金に積み上げるしかない」という点については、今期自治体キャラバンの中で、各市町村国保担当課長と意見が一致しています。

大阪社保協としては、仮算定資料をいち早く入手し、各地域での運動に生かせるようにします。また、大阪府国保統一反対学習決起集会等の企画を進めます。

 

 

2022年度大阪社保協第3回幹事会zoomミーティングのご案内

 

★日時 20221119()14時〜1630

★議題 @2022年度自治体キャラバンについて

      A国保・介護・コロナ・物価高に対するとりくみについて

      Bその他

Z00M情報

https://us06web.zoom.us/j/81132431785?pwd=ZEJRZHJXZlp5ZzFyTjU5ejlGS2RmQT09

ミーティングID: 811 3243 1785   パスコード: 944026