大阪社保協通信  1258号 2022.7.5

 

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2022年度自治体キャラバン行動準備着々〜要望書送付、アンケート集約は大詰めに
 2022年度自治体キャラバン行動の準備を進めています。

 630日に堺市をのぞき、各市町村に要望書を送付しました(地域社保協独自要望がある場合は最後にそのままつけて送付)。現在続々と担当課からのメールがとどいています。

 また、市町村アンケートは今週中に集約を終了し、来週11日に入稿し、19日納品、直ちに各地域社保協と市町村に発送予定です。

 すでに河南ブロックでは事前学習会日程も決定しています。今年度はぜひリアルでの各ブロックごとの事前学習会の企画をお願いします。

 

2022年度自治体キャラバン行動・統一要望書

1.    職員問題

@   自治体職員の削減をやめ、緊急時・災害時に住民救済にこたえられる職員配置をすること。その際は非正規ではなく正規職員での採用を行うこと。

A   大阪社保協調査によると大阪府内各市町村の理事者・管理職等のジェンダーバランスが男性に偏り異常である。社会保障の担い手の多くは女性であり、さらに子育て・教育・介護等の担い手の多くは女性であるため、女性たちのニーズを的確にとらえ政策化するためには、女性の管理職を増やすことが必須である。貴自治体の副首長・理事職以下役職者のジェンダーバランスが偏っている理由を明らかにし、積極的な女性の登用を行うこと。

2.   コロナ対応及び物価高対策

@   コロナ禍で命の危機にさらされている人たちが沢山いる。土日や連休などにも生活相談・医療相談・DV相談等窓口対応ができるようにすること。

A   各自治体独自の現金支給等困窮者対策を充実させること。

B   生活困難者への上下水道料の減免を行うこと。

3.   子ども・シングルマザー・貧困対策関係

@   子育て世代がコロナ禍による失業、休業等で困窮している。新たな実態調査を実施するなどして実態をつかむこと。

A   子ども及びひとり親の医療費助成制度を無料にすること。医療費より負担が重い入院時食事療養費は無料にすること。

B   各市町村独自に地域で活動するNPO、子ども食堂、市民団体等と連携し、フードバンク・フードドライブ・フードパントリー事業を支援すること。自治体独自にまたは社会福祉協議会等と連携して食糧支援を行うなど、困窮する住民や大学生などに食糧が届くようにすること。

C   小中学校の給食を自校式で実施し完全給食とし給食費を無償化すること。休校中・長期休暇中も必要な子どもたちのために安心・安全・おいしい給食の提供を行うこと。保育所・こども園・幼稚園などの副食費を無償化すること。

D   児童扶養手当の申請時及び8月の現況届提出時にプライバシーに留意し人権侵害を行わないこと。特にDVに関連した離婚については詳細な聞き取りを行うことでフラッシュバックを引き起こし最悪乖離等の状況になる危険性もありうるため細心の配慮を行うこと。民生委員による「独身証明書」は無意味であり形骸化しているため廃止すること。

E   学校歯科健診で「要受診」と診断された児童・生徒の受診状況と、「口腔崩壊」状態になっている児童・生徒の実態を調査すること。「口腔崩壊」状態の児童・生徒が確実に受診できるよう、スクールソーシャルワーカーや家庭生活支援員ら第3者による付き添い受診を制度化すること。児童・生徒の口腔内の健康を守るため全小中学校で給食後に歯みがきの時間を設けるとともに、フッ化物洗口に取り組むこと。

F   「ヤングケアラー」の実態を調査し、相談支援体制を整備するとともに、介護・家事・育児などの支援体制をつくること。

G    子どもたちが進学をあきらめずにすむように、自治体独自の給付型奨学金を創設・拡充すること。奨学金制度は年々変わっているため、奨学金についてのわかりやすいパンフレットを毎年作成し配布すること。

4.   医療・公衆衛生

@コロナ感染症で明らかになったように医療供給体制確保が急務である。地域医療構想を抜本的に見直すよう国、大阪府に働きかけること。感染経路を科学的につかむために、国や行政によるPCR検査体制の強化と感染源の追跡・分析する体制整備が必要でありクラスターが発生しやすい医療機関・介護・障害・保育等福祉施設の定期的な無料PCR検査の実施など、いつでも簡単にPCR検査ができるようにすること。

A5波・第6波の中で、大阪の保健所は全く機能しなかったことは周知の事実である。「陽性者に対する検査数」「人口あたり確保病床数」などを比べた各都道府県のコロナ対応ランキング(慶応大学・濱岡豊教授調査)では大阪府は最下位となっている。大阪市・豊中市・高槻市・枚方市・寝屋川市・吹田市・八尾市は市立保健所の機能強化をはかること。それ以外の自治体は保健所機能の強化を行うよう大阪府に強く要望すること。

5.   国民健康保険

@   コロナ禍の被害を受けている自営業者・フリーランス・非正規労働者はすべて国保に加入しており、国保料引き下げは最も効果的なコロナ対策であるという意識を持つこと。こどもの均等割は無料とすること。

A   多くの市町村が単年度黒字を出しながら次年度に繰り入れず基金に積み上げ、保険料の値上げを行なうという事態となっている。大阪府国保統一化により国保被保険者が重大な被害を被っていることをみとめ、2024年度の完全統一を延期するよう大阪府に意見を上げること。

B   国民健康保険傷病手当は被用者だけでなく自営業者やフリーランスにも自治体独自に適用拡大をするとともに国に要望を上げること。傷病手当や減免制度の内容、徴収の猶予、一部負担金減免などわかりやすいチラシを作成し周知を行い申請を促す手立てを工夫すること。コロナ対応保険料減免については2020年度制度より後退し適用件数が減っていることを踏まえ、自治体として国に強く意見を上げること及び独自の減免拡充を行うこと。申請については申請、メール申請ができるよう、ホームページに申請用紙をアップしダウンロードができるようにすること。

6.   特定健診・がん検診・歯科健診等

@   特定健診・がん検診については、全国平均と比較して大きく立ち遅れている自治体については、これまでの取り組みについての分析・評価を行い新たな方策を進めること。

A   歯科口腔保健条例並びに歯科口腔保健計画を策定すること。成人歯科健診は18歳以上を対象に毎年、無料で実施すること。在宅患者・障害者らを対象にした訪問歯科健診、妊婦を対象にした歯科健診を実施すること。

7.   介護保険・高齢者施策

@   高齢者に過大な負担となっている介護保険料を一般会計繰入によって引き下げること。また、国に対し国庫負担の大幅な引き上げと公費による保険料基準額の引き下げについて働きかけること。なお、介護給付費準備基金を過大に積み立てている市町村にあっては、取り崩して保険料引下げを行うこと。

A   非課税者・低所得者の介護保険料を大幅に軽減する減免制度を拡充すること。当面、年収150万円以下(単身の場合)は介護保険料を免除とすること。

B   介護サービス利用者の負担を軽減するため、低所得者について無料となるよう、自治体独自の利用料減免制度をつくること。2021年8月からの介護保険施設・ショートステイ利用者の食費・部屋代軽減措置(補足給付)改定の影響の実態を調査するとともに、自治体独自の軽減措置を行うこと。

C   総合事業(介護予防・生活支援総合事業)について

イ、利用者のサービス選択権を保障し、サービスについて、すべての要支援認定者が「従来(介護予防訪問介護・介護予防通所介護)相当サービス」を利用できるようにすること。また、新規・更新者とも要介護(要支援)認定を勧奨し、認定申請を抑制しないこと。

ロ、「訪問型サービス」の単価については、訪問介護員(介護福祉士、初任者研修終了者などの有資格者)が、サービスを提供した場合は、従来の額を保障すること。

D居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)に対する支援について

イ、「一定回数以上の生活援助中心型訪問介護を位置付けたケアプラン届出・検証」や「事業所単位で抽出するケアプラン検証」などについては、利用制限を行う趣旨でないことを明確にし、ケアマネジャーの裁量及び利用者の希望を尊重した取り扱いを行うこと

ロ、いわゆる「自立支援型地域ケア会議」など、介護サービスからの「卒業」を迫り、ケアマネジメントに対する統制を目的とした運用を行わないこと。

E 保険者機能強化推進交付金については、国の「評価指標」に追随し、実態を無視した「介護予防・重度化防止目標」「給付抑制目標」などは盛り込まず、必要な介護サービスが受けられるようにすること。

F高齢者の熱中症予防の実態調査を実施すること。高齢者宅を毎日訪問し熱中症にならない対策(クーラーを動かすなど)ができるように、社会福祉協議会、事業者、NPOなどによびかけ小学校単位(地域包括ケアの単位)で見守りネットワークづくりなど、具体的施策を実行すること。介護保険の給付限度額の関係で、町の熱中症予防シェルター(開放公共施設)へ介助を得て避難する事が困難なケースへの対策を各自治体が立てること。低額な年金生活者や生活保護受給者の中では、高齢者が「経済的な理由」でクーラー設置をあきらめたり、設置していても利用を控えざる得ない状況があり、「貸付制度の利用」でなくクーラー導入費用や電気料金に対する補助制度を作ること。

G入所待機者を解消し、行き場のない高齢者をなくすために、特別養護老人ホームなど介護保険施設及びグループホーム等の整備について、詳細な実態調査を行い、必要数を明確にしたうえで年次的に整備を行うこと。

H介護人材の不足を解消するため、自治体として独自に処遇改善助成金を制度化し、全額労働者の賃金として支払われる措置を講じること。国に対し、全額国庫負担方式による 全介護労働者が、全産業平均の賃金水準に早急に到達できる処遇改善制度を求めること。

I軽度難聴者への補聴器購入資金助成制度を実施すること。

8.   障がい福祉「65歳問題」と重度障害者医療

@障害者総合支援法7条は二重給付の調整規定であり、介護保険法278項の規定(要介護認定の効力は申請日までしか遡れないこと)との関係から、「できるとき」規定の効力は要介護認定の申請日以降にしか発生しないという法的論拠に基づき運用を行うこと。

A日本の社会保障制度の原則は申請主義であることから、障害者に介護保険への申請勧奨をすることはあっても強制してはならないこと、厚生労働省の通知等でも未申請を理由とした障害福祉サービスの更新却下(打ち切り)は認めていないことを関係職員に徹底し、申請の強制や更新却下を防止すること。

B2007年通知「障害者総合支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度の適用関係等について」・2015年事務連絡「障害者総合支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度の適用関係等に係る留意事項等について」・「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領:令和4年4月)」に明記されている内容にもとづき運用を行うこと。

C介護保険に移行した一部の障害者にしか障害福祉サービスの上乗せを認めない独自ルールを設けている場合はこれを撤廃し、2007年初出の「適用関係通知」等で厚生労働省が示す基準にもとづく運用を行うこと。

D介護保険優先は二重給付の調整であり、「介護保険優先」はあくまで原則を示しているに過ぎない。および、個々の状況に応じて障害福祉サービスの継続も可能な例外があることという事実を、自治体のHPや障害者のしおりなどに正確に記述すること。

E介護保険対象となった障害者が、介護保険への移行をせず引き続き障害福祉サービスを利用する場合においては、現行通りの基準を適用するよう国に求めること

F介護保険対象となった障害者が、介護保険サービスを利用しかつ上乗せで障害福祉サービスを利用する場合の新たな国庫負担基準を創設するよう国に求めること

G障害福祉サービスを継続して受けてきた方が、要介護認定で要支援1、2となった場合、総合事業における実施にあっては障害者に理解のある有資格者が派遣されるようにすること。

H障害者の福祉サービスと介護サービス利用は原則無料とし、少なくとも市町村民税非課税世帯の利用負担はなくすこと。

I20184月診療分より見直された重度障害者医療費助成制度において、自治体独自の対象者拡大・助成制度の創設を行うこと。

 

9.   生活保護

@   コロナ禍の中においても各自治体の生活保護申請数、決定数が伸び悩んでいるその原因を明らかにすること。申請を躊躇わせる要因となっている「扶養照会」は行わないこと。窓口で明確に申請の意思を表明した場合は必ず申請を受理すること。

A   札幌市など全国各地で作成されている「生活保護は権利です」という住民向けポスターを作成し役所での掲示や広報への掲載を行うこと。

 札幌市生活保護ポスター https://www.city.sapporo.jp/fukushi-guide/documents/hogoposter.pdf

B   ケースワーカーについては「福祉専門職」採用の正規職員で、最低でも国の基準どおりで配置し法令違反をしないこと。ケースワーカーの研修を重視すること。各地の受付面接員による若い女性やシングルマザーに対する暴言による被害が大阪社保協に報告されている。窓口で申請者に対して申請権侵害など人権無視の対応は行わないこと。

C   シングルマザーや独身女性の担当は必ず女性ケースワーカーとし家庭訪問も必ず女性ケースワーカーが行くこと。そうでなければ人権侵害であることを認識すること。

D   自治体で作成している生活保護の「しおり」は生活保護利用者の権利性を明記し制度をわかりやすく、必要な情報を正しく解説したものとすること。「しおり」と申請書はカウンターなどに常時配架すること。(懇談当日に「しおり」「てびき」の内容を確認しますので、必ず作成しているものの全てと申請用紙を参加者全員にご配布ください)

E   国民健康保険証なみの医療証を国でつくるよう要望すること。当面、休日、夜間等の福祉事務所の閉庁時や急病時に利用できる医療証を発行すること。また、生活保護受給者の健診受診をすすめるため、健診受診券の発行など周知徹底させること。以上のことを実施し、生活保護利用者の医療を受ける権利を保障すること。

F   警察官OBの配置はやめること。尾行・張り込みや市民相互監視をさせる「適正化」ホットライン等を実施しないこと。

G   生活保護基準は、20137月以前の基準に戻し、住宅扶助基準と冬季加算も元に戻すこと。

H   住宅扶助については、家賃・敷金の実勢価格で支給し、平成27414日の厚生労働省通知に基づき経過措置を認め、特別基準の設定を積極的に行うこと。

I   医療抑制につながる医療費の一部負担の導入と、ジェネリック医薬品の使用の義務化、調剤薬局の限定は実施しないよう国に求めること。生活保護利用者の国保加入については反対を表明し国に意見を上げること。

J  国に対し、大学生、専門学生の世帯分離は、あくまで世帯の意思を尊重することを国に要望すること。