大阪社保協通信  1244号 2021.2.12

 

メールアドレス:osakasha@ poppy.ocn.ne.jp        大阪社会保障推進協議会

  http://www.osaka-syahokyo.com/index.html       TEL 06-6354-8662 Fax06-6357-0846

 

大阪府国民健康保険運営方針改正案に対して市町村から意見続出〜統一延期・激変緩和期間延長をとの声も。

大阪府国保ホームページ1130日大阪府国民健康保険運営協議会の資料の中に府内各市町村からの「法定意見徴集」の内容が出されています。【資料5】市町村意見とりまとめ (osaka.lg.jp)

 

★特徴点

 

□保険料の大幅上昇・被保険者の負担増に対する懸念が多くだされ、堺市・高槻市・藤井寺市・四条畷市・交野市からは統一や激変緩和期間の延期等の踏み込んだ意見も出されている。また、多子減免などについて言及する自治体も多い。

□また、保険料そのものを引き下げるために大阪府独自財源を投入せよとの声も多い。

□激変緩和の変更が今回行われたが、そのことに対して市町村に説明がされないまま実施されたことに対して説明責任を求める強い意見が多数出されている。

□また、かねてより大阪社保協が指摘している統一保険料の最大の矛盾である黒字による剰余金を次年度繰り越しできず基金が積みあがるという問題について多くの自治体が指摘している。

□コロナ禍のもと保険料負担増に対する危機感は我々と同じで、来年度におけるコロナ減免についても継続すべきとの意見が多数出されている。

 

★具体的な意見(原文ママ抜粋)

 

 ○堺市 新型コロナウイルス感染症の影響による将来的な所得や医療費の見通しが立っていない中、次期大阪府国民健康保険運営方針(素案)においては「客観的な指標等により、府内 の国民健康保険事業運営において、重大な影響が生じていると認められる場合には」「本 運営方針の趣旨に沿った対応措置を別途設ける」旨、記載されている。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症により、すでに被保険者における失業、所得減少 等の重大な影響が生じていることから、保険料率の府内完全統一時期の延期も含めた対応を検討することを強く求める。

 ○池田市 国民健康保険制度の現状においては、高齢化の進展や、医療費の増加、被保険者の低 所得化等によって被保険者の保険料負担が重く、とりわけ大阪府においては保険料収納率が非常に低い水準であることなど構造的な問題を抱えています。 こうした状況を改善するためには、大阪府が財政運営の責任主体として、多子世帯や低所得世帯への保険料負担の更なる軽減や、保健事業などの医療費適正化対策に積極的に取り組み、その役割を十分に果たすことが必要であるため、来年度予算等においてその姿勢を明確に示すべきであると考えます。

 ○吹田市 本市は、大阪府国民健康保険運営方針に記載されている保険料率等の府内統一基準の設定について、多子世帯減免を共通基準に設定すること並びに6年間の激変緩和期間中は市の裁量に委ねることを前提に、大阪府国民健康保険運営方針に賛同しています。つきましては、子どもにかかる均等割保険料の軽減措置の創設については、引き続き国に強く働きかけるとともに、軽減措置が設定されなかった場合には、府独自の多子世帯減免を規定すること。制度や納付金算定方法の変更は、被保険者の生活に直結する問題であり、市町村には議会や国民健康保険運営協議会等に説明する責務がある。ついては、議論には十分な期間を設け、制度の根幹にかかわる重要な事項を変更する場合には、ブロック会議ではなくすべての市町村の意見を反映できるよう、適正な行政手続を検討されたい。

 ○高槻市  @ 持続可能な制度設計の構築を目指されているが、被保険者への負担についても十分配慮した持続可能な制度設計とすること A受益と負担の公平性の確保の観点から、同じ所得・同じ世帯構成であれば同じ保険料 額となるよう府内統一保険料率を設定しているが、医療費適正化対策や徴収対策についても公平性が担保される制度設計とすること。

       保健事業費(府内共通基準に係る部分)及び保険料及び一部負担金減免に要する費用 (府内統一基準)については、被保険者の負担軽減に資するため、大阪府独自の財政措置 を講じること。

      大阪府が財政運営の責任主体として各市の事業費納付金の算定を行った平成30年度 以降、府内の統一保険料及び市町村標準保険料ともに増加傾向にある。他府県の事業費 納付金及び市町村標準保険料率の実績等との比較などにより、その要因分析を進めるとともに、大阪府全体の保険料水準を抑制するための制度設計を構築されたい。

       激変緩和措置の期間は6年間とされているが、新制度移行後の大阪府及び各市の決算 や保険料改定等の運用実績を分析するなど、被保険者や市町村への影響を十分検証した 上で、必要があれば、激変緩和期間を延長するなど、柔軟に対応すること。

       保険料の減免にかかる府内統一基準については、過去の裁判の判例等にとらわれず、低所得者に配慮した減免を共通減免として実施し、低所得世帯の負担軽減に努めること

 ○八尾市 国保加入者の保険料の負担感を軽減するために、多人数世帯減免(軽減)もしくは多 子世帯減免(軽減)をセットで運用し、必要な費用は、府2号繰入金等を活用することを検討できないかと考える。現行の大阪府国民健康保険運営方針策定時の「市町村意見に対する府の考え方」の中で、国普通調整交付金で財政調整がなされている旨の説明があった が、財源的には微々たるものであり、保険料率に与える影響は限定的であると考える。 また、【1:β】以外の割合を適用することで、本来下がるべき保険料が下がらなかったり、 逆に上がる市町村が発生するおそれがあるとも説明されているが、これはどこの市町村の どの状態を指しているのか。広域化後には、保険料率の算定方法についても仕組みが一 部変更されていることから、旧政令標準を適用しない有力な理由とはならないと考える。

○富田林市 財政責任を担う立場から国に更なる公費投入を要望していただき、保険料抑制に活用していただきたい

○河内長野市 国からは国保保険料に係る都道府県内の保険料水準の統一という方針が示されているが、運営にあたる市町村の裁量権も一定程度認められるべきである。 現在、市独自で実施している保険料率軽減や保険料減免について、令和6年度以降も決算剰余金を活用するなど市町村の施策として実施できるようにすること。

○松原市 都道府県化に伴う「急激な保険料負担の増加」を抑えるための保険料の激変緩和措置に ついては、所得水準の高い市町村に多く措置されるような仕組みとなっており、財政基盤の脆弱な市町村に対する財政調整機能の観点と、令和6年度に予定されている保険料の完全統一化を踏まえ、運営方針(素案)に示されている激変緩和財源を標準保険料率の抑制 に活用する「府内全市町村への全面拡大」の実現を強く求める。

○大東市 令和6年度の府内完全統一を見据え、基金の使途が限定されていることや大きく収納不足が生じにくいため、各市残高が積みあがっている状況にある。保険料率統一のためにも保険料率引き下げには今後も使用すべきでないと考えられるが、むやみに積み上げるのも市民や被保険者からの批判に耐えられない状況である。府内市町村の財政調整基金の積立て及び繰出しについては、3年後の改定までには大阪府において意見の取りまとめを行っていただきたい。

○門真市 大阪府においては、全国と比べて加入者の所得水準が低いため、応能割(β)の割合が 現行よりも低く設定され、応益割の比重がますことから、低所得者への影響が大きいものと なっております。よって、府独自の軽減制度の創設を図っていただきたい。

       保険料減免の共通基準化について @低所得者減免について ・現在多数の団体において低所得者減免が実施されており、共通基準化されない場合には、低所得者への影響が大きいことから、同減免の共通基準化を図っていただきたい。 A)多子世帯減免について ・大阪府においては、全国と比べて加入者の所得水準が低いため、応能割(β)の割合が 現行よりも低く設定され、応益割の比重が増すことから、多子世帯への影響が大きいものと なっています。よって、子育て支援及び少子化対策の観点から、多子世帯減免の共通基準化を図っていただきたい。 B)新型コロナウイルス感染症の影響に係る減免について ・今年度新型コロナウイルス感染症の影響による減免によって、保険料が全額免除されて いるケースが散見される中で、次年度からいきなり廃止となると被保険者に係る影響が大 きいことから、府独自での共通基準化あるいは激変緩和措置等対応を図っていただきたい。

 ○摂津市 激変緩和措置の見直しについて、必要に応じて大阪府国民健康保険運営協議会で協議するよう明示されていますが、今回の激変緩和措置の全面拡大の実施については、その協議がなされないままに、既に素案となっている状態で情報提供されたにすぎないと考えています。 また、広域化調整会議等においても、現状3年間の激変緩和措置の検証を精緻な資料に 基づき議論することなく激変緩和措置の全面拡大案が決定されました。 激変緩和措置については、過去に対象となったことのある全ての市町村に不利益が生じないよう経過措置のあり方について見直しを含め、引き続き議論することとし、仮にこのまま激変緩和措置の全面拡大を実施するのであれば評価・効果検証を行い、その結果を府 内市町村に公開・提供することで、大阪府として、財政運営の責任主体としての説明責任を果たされることを強く求めます

       協議体制のあり方について (]施策の実施のために必要な関係市町村相互間の連絡調整) 現大阪府国民健康保険運営方針に「意見交換及び連絡調整等を行い、事務運営に十分 反映すべくすべての市町村との合意形成に努める。」とあるにも関わらず、その議論のあり方には疑義が生じています。特に、今回の激変緩和措置の全面拡大については、府内ブロックより代替案が提示されたにも関わらず、同じ机上に乗せることなく、廃案としたことは 見直しの協議が適正に行われたとは言い難く、大阪府の協議のあり方について今後是正すべきであると強く認識しています。改めて、大阪府国民健康保険運営方針の見直しにかかるプロセスや意思決定の過程を府内市町村に公開・提供することを求めます。

 ○藤井寺市 市町村の国保特別会計に剰余金が生じた場合、財政調整基金へ積み立てできることとされているが、基金から繰り出しできる場合の使途については、府内共通基準を上回る保健 事業等の実施など限定されている。事業を継続して実施していく必要があることから、基金 を活用して新たな事業を行うことは困難な状況にあり、剰余金が活用されず積み上がっていくことも考えられる。剰余金のあり方について、大阪府国保運営方針の趣旨から逸脱しない範囲において、検討が必要と考える。

       低所得者減免について運営方針では、4減免(災害、収入減、拘禁、旧被扶養者)のみの設定となっている。「国保 加入者の所得水準が相対的に低い」という構造的な課題に対し、低所得者に対する軽減 措置により一定の配慮はあるものの、低所得者の実情を踏まえ、激変緩和措置期間中に おいて減免制度を維持している市町村も多くある。独自減免制度を解消することは被保険者への影響が大きいため、低所得者減免の共通基準化や独自減免部分の激変緩和措置期間の延長を検討する必要があると考える。 

 ○東大阪市 統一保険料率について インセンティブにより交付される府2号繰入金や保険者努力支援制度等は余剰財源となりえることから、将来的な保険料負担の上昇が見込まれるにも関わらず、各市町村の黒字額ならびに基金保有残高は増加すると予測される。よって、激変緩和措置期間後についても法律に基づく府の一般会計から特別会計への繰入れは継続され、また統一保険料率の全体抑制として活用される府1号繰入金と2号繰入金は相互の流用が可能であり機動的に 1号繰入金と2号繰入金の金額を増減させることができることから、各市町村に交付される府2号繰入金を減額し1号繰入金を増額することにより統一保険料率の抑制に努めていただきたい

       保険料減免については、これまで各市町村の実情に応じて構築してきた経緯がある。府内共通基準への移行による負担増加の影響は低所得者ほど大きく、特に市民税非課税世 帯よりも所得が少し超えてくる世帯(所得に対する保険料が賦課され、保険料の法定軽減の対象とならない境界層の世帯をいう。)の負担が大きいことから、このことを踏まえ、活用可能な財源を充て、低所得者(高齢者世帯・障害者世帯・ひとり親世帯等)に対する減免について共通基準に盛り込んでいただきたい

       一部負担金減免に関して、収入減少による減免要件について、生活保護基準を用いた収入及び預貯金の要件が厳しく、病気等により収入が減少した被保険者に対し、早期に適切な医療を提供し、収入の回復を図る役割が不十分である。 現在、1000分の1155となっている、生活保護基準に対する係数を緩和する事によって、より利用し易い制度としていただきたい。

 ○四条畷市 毎年、統一保険料率が大幅に上昇しており、被保険者への影響は大きく、市町村決算は概ね黒字の中、被保険者に理解が得られないと考えます。加えて、コロナ禍の状況にあり、 先ずは統一保険料率の引き下げや上昇の抑制を重点的に考えた財政運営を行う必要があり、激変緩和措置期間の延長も含めて検討すべきではないか。

 ○交野市 現在、激変緩和措置期間は令和63月末まで、府が実施する激変緩和措置として全体 の保険料収納必要総額を抑制するための対応、抑制効果の低い団体について統一保険料に影響を与えない財源を用いた経過措置を設けることを検討されるとありますが、コロナ渦の影響が考えられる中、保険料抑制のための措置は期間を決めず継続できるよう、検討していただきたい

 ○熊取町 市町村への意見聴取にあたって、素案のみ送付するだけでは、現行の運営方針との相違点、変更理由等を一見して判別できない。短期間での作業になるため、少なくとも新旧対照 表や要点をまとめた概要を資料として添付すべきと考える。 意見聴取は市町村が意見を率直に述べる貴重な機会であるため、今後はご準備いただきたい。

 ○河南町 激変緩和措置の対象を府内市町村に全面拡大とあるが、全面拡大方式の採用の効果が 見えない中で、個別市町村毎の激変緩和措置の縮小は、保険料率の上昇を招く可能性があるため、経過措置の拡大を要望する。また、小規模町村に対して保険料率が大きく上昇しないよう、特段の配慮をお願いする。

 ○大阪狭山市  「国民健康保険は、被用者保険と比べて年齢構成が高く、加入者が減少していく中で、一 人当たりの医療に係る支出は増え続けていく一方」である状況の中、「財政面では、府が財 政運営の責任主体となり」、「保険財政の安定的運営を可能とした」と記載されている。国保財政運営の責任主体としての責務を果たし、国公費の投入拡大を求めると共にさらなる大阪府の繰入金等を投入するなど、大阪府が主体となって被保険者の保険料負担を緩和さ せるための方策を講じていただきたい。

       財政調整基金の繰出しにおいて、運営方針の対象期間においては、「収納不足の場合の事業費納付金への充当のため」「繰り出すことができるものとする」と記載されている。令和 6年度以降においても、財政調整基金に残高があり事業費納付金の不足が生じている場合は、引続き財政調整基金の繰出しを可能とするよう求める。

       「激変緩和措置期間中において」「市町村は、その計画を定めたうえで、府に提出するものとする」と記載されている。令和6年の保険料率統一に向け、被保険者が急激な保険料負担増を強いられることがないような激変緩和計画を立てられるよう、令和6年到達時点での保険料率推計値を示していただきたい。

 

23月議会にむけて〜コロナ禍のもとで国保料の大幅引き下げを求める地域での運動がなによりも重要

 

□なぜなら

@国保料は税・社会保険料の中で一番金額が大きい

A今回コロナで影響の出ている非正規労働者・フリーランス・自営業者は国保被保険者の半数を占める

無職45.4% (年金生活者・病気で働けない人)

非正規・パート労働者32.3% 

自営業・フリーランス15.8%                  (平成30年度国保実態調査報告)

 

□新たに給付金等対策を行うより、国保料引き下げにより実質収入を増やすことが簡単であり効果も高い。

 

□市町村23月議会に対してはコロナ禍の下での国保料引き下げを求める要請・陳情・請願の提出を

 

□市町村国保担当課に対しては要請書提出と懇談の実施を

  

要望書・要請書・陳情書・請願のひな型

 

 【表題】コロナ対策としての国民健康保険引き下げを求める要望(請願・陳情)

 

 【趣旨】

 2021年度は国民健康保険が都道府県単位化、4年目となり、今年度大阪府国民健康保険運営方針の改正も行われます。

 すでに2021年度統一保険料率が算定されていますが、一人当必要保険料額は2018年度に比べ大阪府平均で12%アップ、当自治体は   %アップとなっています。

 一方、コロナ禍の中で、2020年度はいち早く厚生労働省はコロナ対策としての全額国庫負担での保険料減免を打ち出し、大阪全体で      世帯、         円の減免がされました(202012月末現在)

 国民健康保険の被保険者の約半数は、被用者(パートアルバイト、非正規労働者などワーキングプア)と自営業者(フリーランス等)であり、コロナ禍の影響を最も受けている人々であり、国民健康保険料は現行の税・社会保険料の中で最も高額であるため、免除も含め対応をしました。

 2021年度にむけて厚生労働省も何らかの減免を検討しているとは思いますが、いま、保険料そのものを低く設定することが何よりも重要であり、コロナ対策としても有効です。すでに2020年度において大阪でもいくつかの自治体がコロナ対策として国保料値下げを実施しました。

 つきましては、来年度にむけて以下の点について強く要望いたします。

 

 【要望項目】

1.    2021年度国民健康保険料コロナ対策の一環として大幅値下げをすること

2.   国に対して2021年度もコロナ対策として保険料減免を実施するよう意見をあげること