大阪社保協通信  1223号 2019.12.5

 

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大阪市内ケアマネアンケート実施〜9割がケアプラン有料化に反対

大阪社保協では、117日から15日の一週間、大阪市発行「ハートページ2019年版」に掲載されている 984居宅介護支援事業所に対して、介護保険見直しの中で検討されているケアプラン有料化について、居宅介護支援事業所のケアマネジャーがどのように受け止めているか(賛成・反対等)、ケアプラン有料化の予測される影響等について、緊急にfaxでの調査を行い312件の回答を得ました(回収率 31.7%)。

その結果について、概要を報告します。全文は大阪社保協ホームページ「介護保険次期4大改悪たたかうページ」にアップします。

 

1ケアプラン有料化(居宅介護支援への利用者負担導入)問題調査結果 

 

(1)ケアプラン有料化についてどう思われますか。

   〜88.1%が反対、賛成は2.6%

反対

賛成

どちらでもない

275

8

27

88.1%

2.6%

8.7%

 ケアプラン有料化については。「反対」が88%、「賛成」は2.6%、「どちらでもない」が8.7%と、圧倒的多数が反対であった。

 

(2)ケアプラン有料化によって予測されること

〜「過剰要求」(82.1%)、「サービスを削る」(75.3%)、「ケアマネに負担」(75.3%)

ケアプラン有料化によって予測されることはどれでしょうか?(複数回答可)という問いに対しては、最も多かったのは「ケアマネジャーに対し過剰な要求をする利用者・家族が出てくる」(82.1%)であった。「説明、徴収、事務管理などケアマネジャーの負担が増える」(75.3%)、「経済的負担のため他のサービスを削る利用者が出てくる」(75.3%)、が同数の回答で、「ケアプランを断る利用者が出てくる」も73.1%であった。

多くのケアマネジャーは、有料化で利用者との関係性が歪むこと、経済的負担が利用抑制になり、ケアマネジャーの負担もますことを危惧している。

「ケアマネジメントの質が向上する」は9.3%、「ケアマネジャーの処遇が向上する」は6.1%とわずかで、ケアマネジャーの大多数は有料化のメリットはないと考えている。

 

ケアプラン有料化によって予測されること

回答

@ケアプランを断る利用者が出てくる

A他のサービスを削る利用者が出てくる

B過剰な要求をする利用者が出てくる

Cケアマネジャーの負担が増える

Dケアマネジメントの質が向上する

Eケアマネジャーの処遇が向上する

Fその他

件数

228

235

256

235

29

19

25

73.1%

75.3%

82.1%

75.3%

9.3%

6.1%

8.0%

 

 

3)寄せられた声(一部抜粋)

有料化することで、ケアマネジャーの質向上となるという意見を耳にするが、全くもって納得できない。
法定研修や法定外研修を受講しまくって、まだ質を求められるのは憤慨。

介護保険料、一、二割負担の費用が高くなり、利用者様・家族様から費用が高いと苦情が多くあります。

ケアマネの仕事内容がわかっていなく、見えにくいため払いたくないと言われる利用者さんや、要支援の人の場合がどうなるのかわからない。

有料化により、過剰な要求が増える可能性があり、公平中立の立場をつらぬくことが難しくなると予測されます。

介護保険制度の崩壊

一人ケアマネはやってはいけないので、とめるしかありません。

生活保護者のみ据える

断固反対します

有料化することによりケアマネジャーに対して何でもしてくれると思いがちになることが多くなる。

居宅支援事業所の人員整理、倒産が増える可能性

有料化により単品のプランでは事業所がセルフプラン作成代行を施行し、事業所の都合で良いプランになると思われます。

ケアマネジャーの個々のスキルで差が生じる。(現在もそうだが・・・)

困難事例やネグレクト、セルフネグレクトの増加。ケアマネがかかわれなくなる。

内容的にわからなくても有料になることへの反発は大きいと思われる。要求がエスカレートしていくことは考えられる。

本人・家族の「思い通り」にケアプラン作成を要求される懸念がある。
ケアプランの公平・中立の立場が守れなくなるのではないか。

公平な立場が確立しにくい。

自己作成での依頼が増え、ケアマネ、役所の負担が増える。

お金を払っているからと必要以上のケアマネの支援を要求してくる。

利用者集客のため、サービス等業者が付加価値サービスとして、セルフケアプランを行い、結果ケアプラン作成そのものの主旨が変わっていきそう。

ケアマネジャーの研修が大変なので処遇が向上することを希望する。

個人的にはデメリットしか思い浮かばない。

その中立の立場でのケアマネの料金は100%介護保険からと決められたと思うし、他のサービスとの意味が違うと思うので有料化すべきではないと思う。

本来、家族やヘルパーがすることでも、ケアマネに頼んでくる人が多い(わかっていてそうしている)のにケアプランが有料化になったら「お金を払っているからやってくれて当然」となって、そういう依頼が増えると思う。ただでさえ忙しいのに・・・。

有料化を行うことで利用者の私的、個人の都合などの過剰な要求をする利用者・家族が出てくる可能性が高くなると考えます。

ケアプランの実行により要介護認定が改善(例:要介護5→3、要介護→要支援など)されればケアマネのプラン料を上げることができれば、有料化もありだと思う。

有料化には全面的に反対です。

有料化することで本当に受ける必要のある方がサービスを利用しなくなる可能性が高い。

プランを有料化にし利用者が作成した場合はサービス事業所のみ紹介のみの関わりにして欲しい。国の方針が曖昧すぎてどのようにしたいのかわからない。

利用料ケアプランが有料となれば、介護保険を利用できない人が多くなる。金持ちと生活保護の人しか利用しなくなる。介護保険制度の目的と理念が崩れる。

利用者・家族の要求が強くなると思われる。

自己プランをされる方に大阪市がどれだけフォローされるのか、その仕事までCMにとんでくるのはかないません(今は手伝っています)

介護が本当に必要な利用者が経済的な理由で介護が受けれなくなることが起こり得る可能性がある。

介護サービス費でも負担である利用者が多く経済的な負担が増え、必要なサービスを削られる可能性がある。ケアマネの業務が増える。

利用者様のご負担が増え、CMに対しても要求が増え、良い事はないと思う。

今でもケアマネの業務は多忙です。これ以上の負担をかけないでほしい。

どこまでケアマネの負担を増すつもりですか?徴収できないときは何度も催促する必要も出るのでは?このような状態では通常の訪問もしづらくなるのでは?

利用者さんの金銭的負担が増え、サービスを減らす人も出てくると思う。プランを自己作成できる人の方が少ないと思う。質問に来る人で介護保険課が混雑すると待ち時間が長くなるので困る。

 

1119日河南ブロック学習会に85人が参加〜介護保険改悪に怒りととまどい、多数の事業所の声寄せられる

 

大阪社保協河南ブロックでは、1119日(火)富田林消防署会議室で、「介護保険学習会」を行いました。河南ブロックでは、23か月ごとにブロック会議を行っています。その中で松原社保協から提案があり、松原単独ではもったいないので河南ブロック全体で取り組もうということになった次第です。大阪社保協全体としても学習会を取り込むことになり、現在まで7つのブロック・地域で取り組まれました。

河南ブロック学習会には、90名ほどの参加があり、予定していた椅子が足りず立ち見の方まで出るくらい盛況でした。事前に各地域で事業所の方にも参加を呼びかけ、31事業所から40人が参加をされました。

日下部さんからの話に熱心に耳を傾ける姿も印象的でした。質疑・応答も多数だされました。中でも事業所からは切実な実態や苦悩が次々と出され、また当日記入いただいたアンケートからも意見が書かれていました。回収率も高く48人の方が記入いただきました。

 その中から一部紹介をします。 

 

・社会保障費財源を消費税に頼らずに措置すること。納税にふさわしい国公負担制度を!保険料が高すぎます。後期高齢者保険料、介護保険料を下げてほしいです。協会けんぽ並みに。(富田林 特養老人 ホーム)

・特定処遇改善加算は新たな格差を生みます。条件が厳しく加算とれません。どういった層の救済なんでしょうか?(富田林 通所介護)

・結局、何がしたいのかよく分からなかった。財源が限界にきているなら支出を減らすか収入を増やすかしかない。収入を増やす具体的な施策をしめすことができないのなら、支出を減らすしかないと思う。もっと具体的な施策を話し合いたかった。介護保険事業自体が介護保険のみに頼るべきではないと思った。介護保険事業所自体が介護保険に甘えすぎているのではと感じた。講演中に笑ったりしている人が高齢と思う。そういった方々が今まで他人ごとにしてきたから今があると思う。もっと次世代、次世代のことを真剣に考えてほしい。(富田林 居宅介護、訪問介護、訪問リハビリ、通所介護)

・介護保険制度導入の際、国は何と言っていたのか。高齢化の中でどうしても安心して暮らせるようにと言ってごまかしたはず。本当に詐欺だと思う。この制度を廃止してほしい。(藤井寺社保協 構成員)

・資料が黒塗りで見にくかった。福祉現場で働く人たちがモチベーションを維持していけるだけの労働環境の改善が必要だと感じました。無資格のボランテイアではできない仕事だと思います。競争、格差を持ち込むだけの介護職員処遇については改善していかないと未来はないのでは・・・。そして根

本は国が公費を出すべきです。(大阪狭山市)

※資料の印刷がカラーではなかったため申し訳なかったです。

・ケアプラン作成資料の有料化中止、利用料2割負担中止を。現在でも施設利用料の支払いがしんどい人もいます。改善してもらいたいです。(富田林 居宅介護)

・ケアプラン有料化は反対です。ケアマネの給料がどんどん下がっています。加算もありません。仕事量は増えています(富田林 居宅介護支援)

・差し迫っているんやなと思いました。(藤井寺社保協 構成員)

・キーパーソンも高齢になりまた利用者も認知症になって(合併症から)通院や介護の手間が大変になりますが、少しでも安定して利用者が安心して介護保険を利用できるための制度に。(富田林 居宅介護支援)

・介護保険料を払い続けていざ介護を受ける時に受けられない本当に腹の立つことです。国の負担が介護保険制度ができる前には公費負担が100%だったのに公費が50%これをもっと上げていかないと婦介護保険制度あって介護なしの状態になることが良く分かりました。(羽曳野社保協構成員)

・本当にだまっていれば国は制度の存続だけを維持し、中身は私たち利用者(すぐなりそうです)がしんどい思いをするんだわ。何十年も前から高齢社会は来ると言われていました。年を重ねるのが悪いのか!(富田林社保協 構成員)

・やはり小手先の処遇改善費ではなく介護職だけでなく福祉職も抜本的な給料の改善を望みます。年金もそうですがやはり安心して生活ができる社会保障の確立を望みます。(富田林社保協 構成員)

・難しい保険制度もっとわかりやすくしてください。安倍さんの桜見学会費用の明細がなくても咎められないのにケアマネはすぐに減算と言われます。少ない支払から減算されては困ります。ケアマネ研修費高額です。困ります。(藤井寺 居宅介護支援)

・介護保険を必要な方が必要なサービスを受けられるシステムにしていただきたい。利用料1割から2割になれば支払いができなくなる方もいると思います。(富田林 訪問介護)

・みんなが安心して年老いていけるような制度になるよう声をあげていきたいと思います。(富田林 居宅介護支援)

・ケアマネージャーとして勤務していますがケアプランの有料には反対です。(富田林 居宅介護支援)

・低所得者への支援が必要です。(富田林 居宅供託介護支援)

・介護保険がどんどん改悪されていき、おそろしくなります。ケアマネの資格があっても医療現場との給料との格差が有り働くことはありませんでした。安心して利用できる介護保険を要望していきたい。(藤井寺社保協 構成員)

・介護職員の待遇を改善して頂きたい。(富田林 通所介護)

・今、現在でもケアマネは御用聞きのごとく動き回っています。ここでケアプラ料を利用者から取るとなると権利を主張される方が多くなって増々動きにくくなります。総合事業にヘルパー研修を受けないで軽度の研修を受けた方がサービスに参加していただく場合、もし事故が起きた時その保障はどうなるのでしょうか。10%に消費税が上がったならもっと介護保険に導くべきでしょう。ヘルパーに給料アップしてあげたくても「入り」が決まっているので、できない。(富田林 居宅介護支援・訪問介護)

 

(文責 富田林社保協事務局長・河南ブロック代表 竹田雅典)