大阪社保協通信 第1222号 2019.11.29
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特定処遇加算は平等配分ができます!「労使の話し合いにより、格差なしの柔軟な運用も可能」〜11月1日大阪府が回答、15日に大阪府ホームページ更新で周知
今年10月から「介護職員等特定処遇改善加算」が始まりました。「勤続10年以上の介護福祉士のうち1人は月8万円の賃金改善が必要」「『経験・技能ある介護福祉士』と『その他の介護職員』では2倍の改善格差をつけないといけない」など、複雑な制度に現場は混乱しています。
介護・福祉総がかり行動では、11月1日に大阪府高齢介護室介護支援課と交渉(意見交換)を行い、「労使の話し合いにより柔軟な取り扱いが可能」「合理的理由があれば格差をつけない運用もできる」「2対1の格差をつけなかったからといって加算返還になることはない」などのことを確認しました。
★訪問介護では半数以下の取得率〜複雑さと「格差付け」がネックに
大阪府所管の事業所の10月加算取得率は、施設で73.4%、在宅系全体で61.3%でしたが、通所介護では58.8%、訪問介護にいたっては49.2%と半数以下の取得にとどまっていました。大阪府も加算取得の事務手続きが複雑なこと、配分での職員の格差付けがネックになっていることを認めました。
★Aグループ(経験・技能ある介護福祉士)は設定しなくてもよい場合がある
大阪府は特定処遇改善加算の賃金改善について、「基本は、各平均賃金改善額の比率が2(@経験・技能のある介護職員):1(A他の介護職員):0.5(Bその他の職種の職員)となるよう定められている」と回答。しかし、これには柔軟な運用ができることを認めました。
厚労省の「2019 年度介護報酬改定に関するQ&A」 (平成 31 年4月 12 日)では、「どのような経験・技能があれば『経験・技能のある介護職員』のグループに該当するかについては、労使でよく話し合いの上、事業所ごとに判断することが重要」としており、設定しない理由を記載すれば、「経験・技能のある介護職員」グループを設定しなくてもよいことを明らかにしました。
★Bグループ(他の介護職員)とCグループ(その他の職種)は逆転しなければ平等配分可能
「『他の介護職員』グループと『その他の職種』グループ=1:1とすることは可能か」との質問に対し、大阪府は、「その他の職種の平均賃金額が他の介護職員の平均賃金額を上回らない場合においては、柔軟な取扱いを認め、両グループの平均賃金改善額が等しくなる(1:1)までの改善が可能です」と回答しました。
★「労使の話し合いは尊重する」
私たちは、
A
経験技能のある介護職員グループは設けず一律に賃金改善
Aすべての常勤・非常勤職員が対象
Bすべての職種に「特定加算分」を一律に賃金に加算する
という内容の「労働協約」のひな型を大阪府に示し、見解を質しました。大阪府は、「即答はできないが、矛盾はないと考える」「他の職種の平均賃金が介護職員のそれを上回らないならば問題はない」と返答しました。さらに、労使の話合いを尊重し、それを無視して行政が「格差付け」と指導することはないことを確認しました。
また、結果的に「2:1」の格差を付けなかったことを理由に加算の返還を求めることはないことも確認しました。
★「柔軟な運用が可能であることを周知する」と約束
交渉の中では、多くの事業者が「2:1:0.5の格差を必ずつけなければ加算は取れない」と誤解し、無理に格差を持ち込んで混乱したり、取得を諦めている事例を紹介し、格差をつけない「柔軟な運用」ができることを大阪府として広く周知徹底するよう求めました。大阪府は「こうした柔軟な取扱いにつきましては事業所へ周知していきたい」と返答し、「記載方法についても、東京都のHPに出されており、府としても分かりやすくHPに掲載していきたい」と述べました。
大阪府は、この交渉を受けて、11月15日にホームページを更新し、「柔軟な運用」が可能であることを明記し、Aグループを設定しない1:1のパターンの記入例も公開しました。
大阪府HP特定処遇改善
http://www.pref.osaka.lg.jp/jigyoshido/kaigo/tokuteisyoguu.html
★全介護従事者が全産業平均と遜色ない賃金となるよう国へ要望
今回の特定処遇改善加算では、一握りのベテラン職員の賃金改善分しか財源がないため、全員に配分するとわずかな賃金改善にしかなりません。私たちは、全職員を対象とする処遇改善策について、大阪府として国に要望するよう求めました。大阪府は「他産業と遜色のない賃金水準に早急に到達するよう国に要望します」と返答しました。
解説
大阪府との交渉(意見交換)で可能であることが認められた平等配分1「特定」(A経験・技能ある介護福祉士)は設定しないことができる
⇒告示4の2 イ(1)(一)ただし書き
4月12日Q&A 問5
「『経験・技能のある介護職員』のグループを設定しない理由についても処遇改善計画書及び実績報告書に具体的に記載する必要がある」
「労使でよく話し合いの上、事業所ごとに判断することが重要」
2 介護職員全員を(Bその他の介護職員)として一律に配分できる
3 (Cその他の職種)も(Bその他の介護職員)と 同等の賃金水準となるまで配分できる⇒告示4の2 イ
(1)(三)ただし書き
7月23日 Q&A問11
「柔軟な扱いを認め、両グループの平均賃金額が等しくなる(1:1)までの改善を可能とするもの」
厚生労働省のQ&A 抜粋参考@:2019 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1) (平成 31 年4月 12 日)
問5(答)抜粋
ただし、介護福祉士の資格を有する者がいない場合や、比較的新たに開設した事業所で、
研修・実務経験の蓄積等に一定期間を要するなど、介護職員間における経験・技能に明らかな差がない場合などは、この限りでない。なお、このような「経験・技能のある介護職員」のグループを設定しない理由についても、処遇改善計画書及び実績報告書に具体的に記載する必要がある。
どのような経験・技能があれば「経験・技能のある介護職員」のグループに該当するかについては、労使でよく話し合いの上、事業所ごとに判断することが重要である。
格差配分で職場は分断、「差別だ」と混乱 平等配分で職場の団結保持
A (2) : B(1) :
C(0.5) ⇨ B(1)
: C(1)
参考A:2019 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2) (令和元年7月 23日)
問11 事業所における
配分 方法に おける 「ただし、その他の職種の平均賃金額が他の介護職員の平均賃金額を上回らない場合はこの限りでないこと。」とは どのような 意味か。
(答)今回の特定加算については、介護職員の処遇改善という趣旨を損なわない程度で、介護職以外の職員も一定程度処遇改善を可能とする柔軟な運用を認めることとしており、この具体的な配分方法として、
他の介護職員 の平均賃金改善額については、その他の職種の平均賃金改善額の2倍以上となることを 求めている。
ただし、その他の職種の平均賃金額が他の介護職員の平均賃金額を上回らない場合においては、柔軟な取扱いを認め、両グループの平均賃金改善額が等しくなる(1:1)までの改善を可能とするものである。
大阪府の基本回答(2019年11月1日 大阪府高齢介護室介護支援課)
1 「介護職員等特定処遇改善加算」について、大阪府としての考え方を説明するとともに、現時点の取得・運用の状況について明らかにすること
回答)
○ 「介護職員等特定処遇改善加算」は、介護職員の確保・定着につなげていくため、既存の加算に加えて創設された、全国一律で運用される介護報酬の仕組みです。
○大阪府所管の事業所の取得状況は、本年8月末日現在で施設サービス73.4%、居宅サービス61.3%です。
2 「介護職員等特定処遇改善加算」を活用した賃金改善等については、労働協約等の労使の話合いの結果を尊重し、柔軟な取扱いができるようにすること。また、柔軟な取扱いが可能であることを全事業所、関係団体に周知徹底すること。
回答)
○平成31年4月12日付け老発0412第8号厚生労働省老健局長通知において、「経験・技能のある介護職員」は、所属する法人等における勤続年数10年以上の介護福祉士を基本としつつ、各事業所の裁量において設定することとされており、 また、同省発出のQ&Aにおいて、「どのような経験・技能があれば「経験・技能のある介護職員」のグループに該当するかについては、労使でよく話し合いの上、事業ごとに判断することが重要」とするなど、本加算の主旨を損なわない程度において柔軟な取扱いが認められています。
○このような取扱いについては、上記通知等を府のホームページに登載するとともに国保連からの通知 に同封する等し、周知しています。
3 今回の国の措置については、介護労働者の賃金水準と全産業平均賃金水準との間に「格差」があることを問題にしながら、格差是正については、ごく一部の介護職員しか対象にならず、職場に格差と分断をもたらしかねないものです。したがって、大阪府として、全介護労働者対象に全産業平均の賃金水準まで改善するよう国に求めること。
回答)
○大阪府では、効果検証に基づく処遇改善加算の制度改善に継続的に努め、介護職員以外の他職種を含め他産業と遜色ない賃金水準を早期に実現するよう、機会を捉えて国に要望しています。
(文責 日下部雅喜・大阪社保協介護保険対策委員長)
11月12月「介護保険次期4大改悪を学び動く月間」〜府内各地で学習決起集会展開中!
大阪社保協では11月・12月を「介護保険次期4大改悪を学び動く月間」に設定。各地での介護保険改悪許さない学習決起集会の企画を呼びかけています。
本日開催の河南ブロック学習決起集会では富田林社保協が富田林市内全介護事業所に案内したところ、30を超える事業所から参加申し込みがありました。ぜひこれからの学習会でも同様に地域の介護事業所に案内し、共同行動をすすめていきましょう。日下部さんの「共通パワポレジュメ」は大阪社保協ホームページにアップしていますので活用してください。
https://www.osaka-syahokyo.com/1920kaigo/index_1920kaigo.html
【各地で展開中の介護保険学習会】
■11月19日(火)18:30〜 南河内ブロック学習会(富田林消防署4階視聴覚室80人参加)
■11月20日(水)18:30〜 大阪市内ブロック学習会(大阪民医連会議室40人参加)
■11月26日(火)18:30〜 泉南ブロック学習会(岸和田市総合福祉センター30人参加)
■11月30日(土)14:00〜 交野社保協学習会(青年会館)
■12月1日(日)10:00〜 枚方社保協学習会(枚方市民会館)
■12月11日(水)19:00〜 豊能ブロック学習会(豊中市蛍池公民館)
■12月13日(金)18:30〜 北河内ブロック学習会(寝屋川市職員会館3階大会議室)
■12月14日(土)14:00〜 くまとり社保協学習会(熊取町公民館2階大会議室)
■1月19日(日)10:30〜 いのこの里・吹田社保協学習会(いのこの里)
★☆★☆★☆★☆★☆当面の機関会議・取り組み予定★☆★☆★☆★☆★☆
□12月2日(月)大阪社保協介護保険対策委員会(19:00-大阪民医連)
□12月4日(水)中央社保協介護部会・運営委員会
□12月5日(木)大阪社保協事務局会議(14:00-大阪社保協事務所)
□12月6日(金)「自立支援介護」問題研究会(19:00-大阪民医連)
□12月19日(木)大阪社保協第6回常任幹事会(18:00-国労会館)
□12月26日(木)大東市介護保険現地対策会議
□12月27日(金)大阪社保協仕事納め
□1月6日(月)大阪社保協仕事始め
□1月8日(水)中央社保協国保部会・運営委員会
□1月9日(木)大阪社保協事務局会議(14:00-大阪社保協事務所)
□1月15日(月)河南ブロック会議(14:00-松原民商)
□1月16日(木)大阪社保協第7回常任幹事会(18:00-国労会館)
□1月23日(木)大阪社保協滞納処分対策委員会(18:00-国労会館)
□2月1日(土)2019年度地域・団体活動者会議(14:00-大阪府保険医協会)
□2月5日(水)中央社保協全国代表者会議(10:30-国会議員会館)
□2月6日(木)大阪社保協事務局会議(14:00-大阪社保協事務所)
□2月20日(木)大阪社保協第8回常任幹事会(18:00- 国労会館)
□3月7日(土)大阪社保協第30回総会