大阪社保協通信 第1218号 2019.10.29
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10月22日中央社保協・西日本ブロック主催「国保西日本集会」に140人が参加!(前編)
10月22日、中央社保協・社保協西日本ブロック主催「国保都道府県単位化・滞納処分問題西日本集会」が大阪市内の大商連会館で開催され、愛知県、石川県、大阪府、岡山県、香川県、神奈川県、岐阜県、京都府、群馬県、埼玉県、滋賀県、島根県、千葉県、東京都、徳島県、鳥取県、奈良県、兵庫県、広島県、福井県、福岡県、三重県、宮崎県、和歌山県から140人が参加しました。
この集会は社保協近畿ブロックが企画し、中央社保協および西日本各ブロックに呼びかけ開催したものです。
★第一部 「国保都道府県単位化と2020年度にむけた地域での運動課題」
午前中は、神奈川県職労連 神田敏史さんから厚労省の資料に基づき、標題の講演をいただきました。
@「保険者努力支援制度」におけるインセンティブにマイナス査定が入ったこと。マイナス査定は、特定健診・特定保健指導の受診率や一般会計法定外繰入、赤字解消計画目標達成などについて大きくプラスとマイナスの査定が入ります。しかし、こうしたマイナス査定はもともとこの制度創設議論の中には入っていませんでしたが、「骨太方針2019」の中で突然に示され、それに合わせたものとなっており、全国の自治体から大きな不満や反対意見が出ているとのことでした。
A普通調整交付金の配分方法もこれまでの医療費に対して定率交付であったのが、医療費が高い自治体には交付されない仕組みと変わります。これも骨太方針2019に基づき実施されます。
B
「保険料の統一」についても、
□国保運営方針に具体的な統一時期や検討時期が明記されている都道府県
・平成30年度から統一 大阪府(6年間の激変緩和)
・平成36年度までを目標に検討 北海道(納付金ベースでの統一)、福島県、奈良県、広島県(収納率の差異によるばらつきを容認)、沖縄県
・平成39年度までを目標に検討 和歌山県、佐賀県
□その他都道府県は、時期を明記せず将来的に統一をめざす、医療費水準の平準化・赤字の解消を踏まえ等と成立をしている。
C都道府県国保運営方針の見直し作業が始まる
■2020年度納付金の算定スケジュール
来年度事業費納付金算定スケジュールは別掲のとおりです。すでに、都道府県には仮係数が下りてきていますので、11月中旬には試算が出来上がっているはずですので、いち早く公開させ、今年度の事業費納付金及び標準保険料率との比較をする必要があります。
■問題提起〜として市町村として何が求められているか(神田さんのレジュメより転載)
(1)
高い保険料を下げるために
・他の公的医療保険制度に比べ高い負担を検証。格差解消に向けた国からの公費をさらに増やす
法改正付帯決議・地方との協議確認事項の確実な履行実施。協会けんぽより高い保険料。拡充された公費が保険料負担軽減に確実に結びついているのか。
・国保事業費納付金の算定方法において保険料が上がらないようにする
決算剰余金・基金繰入金・公費が納付金作為においてどう使われているか。
本当に、統一保険料率とすることは必要なのか。
算定方式が、保険料負担にどう影響するのか。2方式でいいのか。
・一般会計からの栗入り金削減が保険料(税)率のさらなる引き上げに結びつかないようにする
一般会計からの保険料軽減を軽減するための繰入は「悪」なのか。
国の「赤字解消計画」は6年間での解消は求めていなかった。
「段階的・計画的削減」「保険料負担の急激な増への配慮」は制度施行時だけのものなのか。
決算補填等目的以外の法定外繰入の考え方。
(2)
誰もが安心して医療機関にかかることができるために
・保険給付の受給権を保障する資格証・短期保険証。限度額認定証の発行
除外要件となっている「特別な事情」の把握は確実に行われているか。「申し出が行われていない」だけでないといえるのか。
通常の被保険者証と異なることから、管理事務が大変な資格証明書等の発行・管理業務。
高齢受給者証との一体化のなかで、限度額認定証を個別発行する困難さ。
・オンライン資格確認とマイナンバーカード利用促進における個人情報管理と医療機関受診
本人の承認抜きに健康医療情報が第三者にわたることはないのか。
子どもから高齢者まで、誰もが医療機関に確実にかかることができるしくみであるのか。
公費の無駄づかい。民間産業振興だけの制度ではないのか。
・地域医療構想に対する本格的な議論を。災害時も含め医療提供体制は本当に充実しているのか。
・保険給付の範囲の見直しで、「国民皆保険制度」は崩壊しないのか。
(3)
厳しい保険料の取り立てをなくすために
・生活困窮により滞納しているものに接することのできる自治体職員体制の充実をはかる。
「ソサエティ5.0」「2040自治体再編構想」など、自治体職員の削減と電子化、民間委託化の動きのなかで、自治体が住民の個別の生活実態が把握できない状態がうまれないか。
・滞納処分の執行停止処分の活用をはかる。国保における不能欠損は違法ではない。
財産調査の結果、無財産や滞納処分で生活困窮となる状況ができた場合の対応。
・生活困窮者に対する対応を確実に行う。減免基準の見直しを行う。
国民健康保険の加入者には、生活保護水準のものが多くいる。
生活困窮者自立支援制度の活用を確実に行う体制の構築を図る。
所得減少だけでなく、生活保護基準を踏まえた保険料減免制度の充実を図る。
・差押え禁止財産の差押え禁止の徹底と差押え禁止範囲の見直し
振込口座の差押え禁止の徹底。
国税徴収法等における「差押え禁止財産」は「10万円」。「10万円」では生活困難。
(4)
国民健康保険事業運営方針の見直し議論
・都道府県内の統一保険利用率の設定
・決算補填等目的の一般会計からの法定外繰入の段階的計画的解消
・一部負担金・保険料の減免基準
・資格証明者・短被保険者証・高齢者受給者証の発行基準
・医療費適正化事業・保険事業の充実にむけた広域的な取り組み
住民のいのちと健康をまねるのは基礎自治体である市町村の役割。
特定健診特定保健指導、糖尿病腎症重症化予防事業、地域包括支援事業など市町村の役割を支援す
る都道府県の役割が発揮できるものに。データ分析等による健康医療産業を支えるだけの都道府県事業であってはならない。
市町村単位、都道府県単位の診療報酬単価見直しは、「国民皆保険制度」の崩壊とならないか。
※国保西日本集会午後の部については、「後編」として後日発信します。
次期介護保険「4大改悪」許さない学習決起集会が11月各地で開催!! まだのところは急ぎ計画しよう!
前号の大阪社保協通信1217号で発信したように、次期介護保険「4大改悪」についての意見取りまとめが行われようとしています。
【次期改定へのスケジュール】
2019年12月 厚生労働省 社会保障審議会介護保険部会 意見
全世代型社会保障検討会議 中間まとめ
2020年 1月〜3月 通常国会へ 法改正案 提出
2021年4月 第8期介護保険事業計画、介護報酬改定
制度改定実施
【狙われる4つの改悪】
@
ケアプラン有料化
A
2割・3割負担の拡大など利用者負担強化
B
要介護1・2の生活援助サービス等の総合事業移行
C
調整交付金のインセンティブ活用
大阪社保協では、この「4大改悪」阻止のたたかいを地域で広げるため、11月を「学び、知らせ、立ち上がる行動月間」と位置づけ、各地域・ブロックでの「学習決起集会」に取り組むこととしています。まだ計画がされていない地域・ブロックはぜひ企画してください!講師派遣については、大阪社保協までご相談ください。
【現時点で決定している「次期介護保険4大改悪許さない学習決起集会」】
北摂豊能ブロック
北河内ブロック
交野社保協 11月30日(土)14:00〜 交野市青年の家(講師:日下部介護保険対策委員長)
枚方社保協 12月1日(日)10:00〜 枚方市民会館(講師:寺内事務局長)
南河内ブロック 11月19日(火)18:30〜 富田林消防署4階視聴覚室(日下部)
大阪市内ブロック 11月20日(水)18:30〜 大阪民医連(日下部)
天王寺社保協 11月17日(日)14:00〜 天王寺民主商工会(寺内)
泉州ブロック 11月26日(火)18:30〜 岸和田市総合福祉センター(日下部)
大阪民医連 11月15日(金)15:00〜 ケアマネ小委員会(日下部)