大阪社保協通信  1211号 2019.7.1

 

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621日「介護保険と障害福祉サービス学習会」に141人が参加

 6月21日に行われた「介護保険と障害福祉サービス学習会」は、障害当事者・介護保険及び障害福祉事業者・地域運動をしている人たちなど140名を超える参加がありました。岡山・浅田訴訟高裁判決確定(2018年12月)を受けて、これからの運動を展望していく上での大変意義深いものになりました。

 

 その第一は、参加者の多さと様々な立場からの参加があったことです。

介護優先原則を考えるテーマに掲げた学習会としては初めての呼びかけでしたが、会場がほぼいっぱいとなったことでこの問題への関心の高さを示しました。また主催団体(大阪社保協・障連協・きょうされん大阪支部)関係だけでなく、大阪市内の介護保険事業所へのFaxやHPでの案内などを行いましたが、一定数の申込みとこれまでつながりのないところからの参加がありました。

介護保険関係者が日常支援やプラン作成など障害福祉に関わる場面は増えていますが、障害への理解や実際の制度内容・65歳以上であっても障害福祉サービスの利用が出来ることを知らされていないなどが多く存在しています。感想の中では、「普段の仕事(介護)では全く知らない話だった」「法律の違いが少し理解できた」「障害当事者の意見を聞いて考えさせられた」などが出されていました。また、ヘルパー不足や報酬の違いなどから来る事業所の厳しさについて、両制度にまたがる共通課題としての認識が広がったと思います。

 

第二に、学習会の目的である「浅田訴訟高裁判決」の成果について参加者とともに共有できたことです。

広島高裁岡山支部は、判決の中で「介護保険を申請しなかったことでサービスをすべて打ち切った岡山市の決定が間違いであること」「(障害者総合支援法第7条は)障害福祉サービスを利用していた障害者が介護保険サービスの利用を申請した場合に生じうる二重給付を避けるための調整規定であり、介護保険制度に申請していない場合この調整規定は採用されないこと」を明瞭にしました。

障害がなく高齢者になった場合の介護保険利用は、介護が必要になった段階で申請し介護認定されてから利用する仕組みです。これは障害者も同様であり、介護保険を申請しないことによるサービスの打ち切りは違法であることが、今後「判例」として扱われることになりました。感想の中では、「浅田訴訟の成果を感じることができた」「介護保険を申請しないという選択肢があることを理解できた」「判決確定以降に何の対応もしない国に疑問を感じる」などの意見が出されていました。浅田訴訟と同じように裁判を闘っている天海訴訟(千葉市)への影響や今後65歳を迎える障害者にとってこれからサービス利用について考える機会になったと思います。

 

第三に、高裁判決を踏まえた今後の地域での運動を提起し、その一歩を踏み出す場になったことです。

 学習会の最後におこなった行動提起は以下の通りです。

 

【行動提起】

(1)    リーフレットを活用し浅田訴訟の到達点を学び広げましょう。そのために学習会を開きましょう。

(2)    各地域で関係者が連携し、各自治体対し改善を働きかけましょう

 要求の例

@     「浅田訴訟判決」(2018年12月13日広島高裁岡山支部、判決確定)を踏まえ、65歳に年齢到達された方を一律「介護保険優先」とする取り扱いを是正し、本人の意思でどちらを利用するかを選択できることを明確にすること。

A     障害福祉サービスの給付決定を65歳年齢到達前までにする扱いや65歳以降は支給決定期間を短期間にするなどの不当な扱いを是正すること。

B     介護保険サービスとの「併用」については、不当なローカルルールによる制限を付けないこと。

C     65歳以上の方でも障害福祉サービスが利用できることを自治体として被保険者とケアマネジャー等関係者に周知徹底すること

D     要介護認定の申請を行うかどうかは本人の選択と権利であり、障害福祉サービス利用者に要介護認定申請を強要しないこと。

(3)    当事者を孤立させず、支える取り組みを各地で共同して行いましょう。

 

 

(1)にあるリーフレットは、今回の学習会に向けて作成したものです(大阪社保協HPにて公開…準備中)。浅田訴訟の成果を踏まえ、「介護保険を申請しない」という選択ができることや基本的な考え方・現在すでに申請したあるいは利用している場合に想定されることを明記しています。障害当事者の願いに寄り添いながら、事業者・支給決定権者である自治体への制度理解への呼びかけになっています。

(2)は自治体に働きかける際の具体的な提案ですが、特にローカルルールの撤廃等をもとめていくことを呼びかけています。

介護保険を利用している障害者が、介護保険だけでは従来の生活を維持できない場合に障害福祉サービスの上乗せをすることが可能となっています。しかし大阪社保協自治体キャラバンで明らかになっていますが、府内自治体の中には要件を設定し該当しない場合は上乗せ分の支給をしないという基準を設けているところがあります。仮に該当しない場合は生活が維持できなくなるということであり、様々な影響が出てくることが想定されます。不要なルールを無くし、安心して使える制度に近づけていくということを求めています。

(3)は介護保険を申請しないという選択をした障害当事者に対しての支援を呼びかける内容になっています。

学習会での発言がありましたが、介護保険を申請しないという選択をした65歳を迎えた府内H市に住む障害者に対して、市は障害福祉サービスで認めてきた重度訪問介護(常に介護を必要とする方に対して、入浴、排せつ、食事などの介護、掃除などの家事、生活等に関する相談や助言など、生活全般にわたる援助や外出時における移動中の介護を総合的に行うもの)440時間をそのまま継続して支給するという決定をしました。それ自体は本人の主張を認めたものですが、通常1年である決定期間を半年として、「介護保険利用に関して働きかけを続けていく」としました。市の裁量で行われることではありますが、障害者が孤立しないようにすること・説明を受けないままに進められることも考えられ地域での連携が必要ということを呼びかけています。

学習会に岡山から駆け付けてくれた浅田訴訟原告・浅田達雄さんは、「裁判を諦めようかと思ったこともありますが、初心に返って思い直して勝利することができました。私の裁判は終わりましたが、私たちが暮らしやすくなるまでみなさんと共に頑張って行きましょう」と呼びかけ大きな拍手が起きました。また発言の中では、40歳〜64歳までの特定疾病と認定された場合の介護保険優先原則に関わる問題も提起されました。

介護保険と障害福祉は同じように見える部分も多くありますが、法の目的や区分に関わる尺度の位置づけなどからみても明らかなように両制度は違うものです。両制度とも実態に見合った内容にすることと、本人の希望・選択(意思決定)に基づくという福祉制度利用に関わる大前提が貫かれることが大事です。

 今後も多くのみなさんと共同して、取り組んでいきたいと思います。

(きょうされん大阪支部 事務局長 雨田信幸)

2019年度自治体キャラバン行動準備進む。事前学習会に各地からご参加を!

 2019度自治体キャラバン行動は729日スタートです。最新スケジュールは以下のようになっていますので、各地域のみなさんはご準備ください。今後も市町村のご都合で大きく変更される可能性があります。なお、最新スケジュール、文書回答等は大阪社保協ホームページ「2019自治体キャラバン」のページに随時アップしていきますので、必ずチェックしてください。2019自治体キャラバン資料集は710日頃発送予定です。

 

2019自治体キャラバン行動スケジュール案 20190630現在

 

@   1000-1200 A1400-1600  かこみは確定

 

729()   @交野市   →  Aくすのき広域連合

730()   @茨木市   →  A田尻町

731日(水)               A池田市 

81()    @岸和田市

82日(金)    @箕面市  →  A守口市

85日(月)   @熊取町 (930-1100) 

86日(火)   @太子町  →   A河南町

87()                A泉大津市

88()                 A大阪狭山市

89日(金)   @門真市   →   A寝屋川市 

816()   @堺市

819日(月)  @摂津市 

820()   @東大阪市 →   A松原市

821日(水)  @四条畷市   →  A泉佐野市 (1500-) 

822()   @吹田市  →    A豊中市

823日(金)  @八尾市  →    A柏原市

826日(月)  @藤井寺市  →   

827()                 A能勢町

828()   @千早赤阪村 → A羽曳野市

92日(月)   @高槻市  →   

93()    @和泉市  

96日(金)   @忠岡町  →   A岬町

99日(月)   @泉南市  →   A阪南市

910()                A大東市

912()                A豊能町

913()                A枚方市   

 

※富田林市は813()10時〜、13時〜、15時〜または19()10時〜、13時で調整

※河内長野市は107()@A、9()@、10()@Aで調整

※高石市は今後日程調整

※貝塚市は今後日程調整

※島本町は104()@A、8()@A、11()@Aで調整中

 

2019自治体キャラバン行動・事前学習会

 

712()北摂・豊能ブロック事前学習会(1830-茨木市クリエートセンター304号室)

716()泉州ブロック事前学習会(1830-岸和田市立総合福祉センター)

719()北河内ブロック事前学習会(1830-けいはん医療生協本部)

81()中河内ブロック事前学習会(1830-東大阪生協病院4階大会議室)

82()河南ブロック事前学習会(1830-富田林市職労会議室)

85()北摂・豊能ブロック事前学習会(1500-吹田さんくすほーる)

819()河南ブロック事前学習会(1830-松原テラス)

 

★☆★☆★☆★☆★☆当面の機関会議・取り組み予定★☆★☆★☆★☆★☆

73()中央社保協国保部会・運営委員会

74()大阪社保協事務局会議(1400- 大阪社保協事務所)

75()「自立支援介護」問題研究会(1900- 大阪民医連)

710()生活援助ケアプラン届出問題に関する大阪市との懇談(1400-大阪市役所本庁舎地下1階第1共通会議室)

介護保険対策委員会(1900- 大阪民医連)

718()大阪社保協第3回常任幹事会(1800- 国労会館)

722()滞納処分対策委員会(1800- 大阪社保協事務所)

723()社保協近畿ブロック事務局会議(1500- 大阪社保協事務所)

724-26日「全国地方議員社会保障研修会」(1000-1700大阪府保険医協会 MDホール)

729()自治体キャラバン行動スタート

83()中央社保協総会

817()2回幹事会(1400-大阪府保険医協会)

829-31日 中央社会保障学校(金沢市)

94()中央社保協国保部会・運営委員会

95()大阪社保協事務局会議(1400-大阪社保協事務所)