大阪社保協通信  1207号 2019.3.20

 

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大阪府から「2019年度国保激変緩和金額」公開。高すぎる保険料に対して昨年よりも27.7億円多く交付 。

大阪府から「2019年度市町村別国保激変緩和額」が公開されました。同時に公開された被保険者数をいれて一人当金額、そして2018年度金額との比較が出来るように大阪社保協で一覧表を加工しましした。

2018年度の激変緩和総額は約43億円でしたが、2019年は70.7億円と27.7億円(64%)も増えています。

大阪府の説明によると、国からの激変緩和措置金額は2018年度より1/6減額されている一方で大阪府の激変緩和措置金額が大幅に増えています。その額40億円で(2018年度は8億円)で、原資は大阪府第1号繰入金です。

激変緩和というのは、ある目標金額にむけて近づけていくために行うので、毎年その金額が減っていくのが理屈ですが、この激変緩和額は逆に増えているという矛盾がおきており、それは目標金額が上昇してしまったためです。

さらに矛盾しているのは、2018年度は交付されていない市町村は22自治体でしたが、2019年度は12自治体と半減していることと、激変緩和金額が増大していることです。

激変緩和の内容は大阪府国保運営方針によると「市町村ごとに本来あつめるべき一人当たりの保険料が額について、国保事業費納付金等算定標準システムにより算定した新制度における一人当たり保険料額から、現行制度における本来集めるべき保険料額を差し引いて得られた差額を府が実施する激変関措置の対象とする」「決算補填等目的の法定外一般会計繰入金、前年度繰上充用金(単年度分)、市町村基金取崩金(保険料充当分)の廃止による一人当たり保険料額の増加分については、府が実施する激変緩和措置の対象にならない」とされています。

2019年度市町村別国保激変緩和措置

 

 

2018年度

2019年度

金額

金額

被保険者数

一人当金額

1

大阪市

0

0

621,820

0

2

豊中市

780,324,483

945,254,172

79,597

11,875

3

池田市

0

0

20,726

0

4

豊能町

6,978,325

24,482,830

5,457

4,486

5

能勢町

12,378,880

19,785,975

3,147

6,287

6

箕面市

46,647,966

141,247,738

28,363

4,980

7

高槻市

610,955,136

775,165,923

72,317

10,719

8

島本町

0

0

5,903

0

9

茨木市

315,465,994

478,597,639

53,674

8,917

10

吹田市

0

275,117,364

68,031

4,044

11

摂津市

0

31,806,264

18,592

1,711

12

守口市

0

0

31,135

0

13

門真市

225,377,622

276,983,227

30,170

9,181

14

大東市

0

84,567,940

28,066

3,013

15

四條畷市

67,211,552

91,419,279

12,059

7,581

16

寝屋川市

326,378,123

444,430,534

53,841

8,254

17

枚方市

989,395,332

1,067,546,678

83,513

12,783

18

交野市

67,924,338

117,926,051

15,331

7,692

19

東大阪市

0

325,207,144

109,858

2,960

20

八尾市

236,360,268

340,186,382

60,526

5,620

21

柏原市

0

6,628,025

15,477

428

22

松原市

0

19,856,718

28,872

688

23

羽曳野市

199,404,163

244,348,650

26,520

9,214

24

藤井寺市

0

0

14,855

0

25

大阪狭山市

47,649,431

76,898,521

12,322

6,241

26

富田林市

0

9,888,759

25,019

395

27

太子町

28,035,315

35,072,875

3,161

11,095

28

河南町

0

1,712,541

3,812

449

29

千早赤阪村

24,658,811

26,302,651

1,697

15,499

30

河内長野市

0

0

24,758

0

31

堺市

0

673,286,190

182,648

3,686

32

和泉市

137,835,621

251,101,588

39,758

6,316

33

高石市

0

0

12,379

0

34

泉大津市

32,539,361

82,434,063

15,695

5,252

35

忠岡町

0

8,046,360

3,720

2,163

36

岸和田市

0

0

44,064

0

37

貝塚市

127,239,796

172,066,188

18,466

9,318

38

泉佐野市

0

0

21,146

0

39

田尻町

9,858,326

10,996,424

1,650

6,664

40

熊取町

0

0

10,071

0

41

泉南市

0

0

17,940

0

42

阪南市

0

0

12,947

0

43

岬町

2,720,601

8,164,737

4,308

1,895

 

 

4,295,339,444

7,066,529,430

1,943,411

3,636

大阪府提供資料より大阪社保協作成

シンママさんたちがなぜ『生活保護は死んでもいやだ』というのか〜東大阪市中福祉事務所がこの間してきたこと。

220日、東大阪市に住むシンママさんからSOSが入りました。「あすのば進学給付金」を収入認定になるから辞退せよと一方的にケースワーカーから言われたのです。

「あすのば進学給付金」というのは、「公益社団法人あすのば」が毎年、全国の住民税非課税世帯・生活保護受給世帯の子ども、児童養護施設や里親のもとで生活し、2019年4月までに施設退所など自立生活を予定している子どもで、春に小学・中学への入学や、中学・高校などの卒業予定者などを対象に給付しているお金です。https://www.usnova.org/notice/1584

生活保護世帯であっても収入認定されないお金です。根拠は生活保護手帳に「収入として認定しないもの」として「社会事業団体その他(地方公共団体及びその町を除く)から慈善的に恵与された慈善的性質を有する金銭であって、社会通念上収入として認定することが適当でないもの」という部分。この根拠があるからこそ、あすのばは給付金として支給しています。

この件は222日にまず東大阪市役所の課長と話をしたうえで東大阪市中福祉事務所長に直接話をし、31日に福祉事務所にシンママさんとともに直接出向き、撤回されました。

そして、同日、シンママさんは訳あって他都市で三年間暮らしていたお子さんを世帯加入させる申請をしました。この三年間、本当に親子はよく頑張ってきて、やっと一緒に暮らせるようになったと心から喜んでいました。

35日、ケースワーカーからお子さんの保護が決定したとシンママさんに電話が入りました。

しかし、37日、ケースワーカーが「度は扶養照会をしなければ決定できない」と撤回してきたのです。シンママさんは、奈落の底に陥れられた気持ちで、「扶養照会をするのならば、子どもの申請を取り下げたい」とまで思いつめていました。

扶養照会の先は実母ですが、シンママさんには幼少期から実母からずっと暴力、暴言を受けてきた歴史があるからです。

この日、課長に電話をし、このケースは扶養照会の対象にならないのではないかと話をしました。その時の話では12日に家庭訪問をして、お子さんが本当に住んでいるのかの確認と聞き取りをするとのことでした。東大阪市はアポイントを取らず、家庭訪問をすること。女性の部屋に突然に男性ケースワーカーが来るということはどんなに非常識であるか。そして、訪問の際にもケースワーカーがいつもシンママさんを蔑ろにするような発言をすると聞いていたので、この家庭訪問にも同席しました。

12日、家庭訪問当日ですが、ケースワーカーは約束の時間を20分も遅れてやってきました。常識的には遅れるという電話を入れるべきでしょう。この日もケースワーカーは扶養照会が必要だと言い張ります。

しかし、はじめから扶養が期待できない実母になぜ扶養照会をしないといけないのでしょうか。そのためにシンママさんが、精神的に追い詰められ、仕事も手につかない状態になっていることがなぜ理解できないのでしようか。これで「自立した生活」が送れるのでしょうか。

 

申請日から14日後の314日、シンママさんに「扶養照会が必須」「それがなければ決定できない」との連絡がケースワーカーから入りました。シンママさんの落ち込みようは目も当てられないほどでした。

小久保哲郎弁護士(生活保護問題対策全国会議事務局長)にアドバイスを求め、その上で15日に課長に「弁護士と相談しました。文書で扶養照会をしてほしくない理由を提出します。本庁や東大阪市の顧問弁護士に相談した上で回答してください。それまで扶養照会はしないでください」と話しました。その後、課長から私の携帯に何度も着信がはいり、課長は「扶養照会の件はありますが、お子さんの生活保護生活加入の方向で事務を進めます」と。そして、シンママさんの方にも「保護決定しました」とケースワーカーから電話が入ったのです。この急転直下の決定は一体何なのでしょうか。やはり、「文書」と「弁護士」が効いたのだろうとしか考えられません。

その時点でもシンママさんは本当に決定したのか疑っていました。5日にケースワーカーから決定したと電話があり、そのあと撤回されたのですから。

シンママさんには、「実母への扶養照会を拒否する理由」について詳しく書いてもらいました。宛先は中福祉事務所長です。それは、自分が実母から受けたDVを再び思い出し再現するというとても辛くて苦しい作業となりました。

319日、中福祉事務所長宛に「扶養照会をしていただきたくない理由とシンママさん自身が受けてきた実母からのDVについて」という文書を提出し、本庁および顧問弁護士とご相談の上で文書で速やかにご回答いただくよう要請しました。

なぜそこまでしなければ、前に進めないのでしょうか。

お子さんは11日に大阪府立高校を受験し、見事合格を果たしました。心から喜んでいます。

 生活保護を利用している親子は幸せな春を迎えるのが、本当に困難です。「親子が一緒に暮らせるようになって、本当に良かったね」となぜケースワーカーも課長も一緒になって喜んであげられないのでしょうか。このケース、サポートしなければ、「あすのば給付金」ももらえず、お子さんの生活保護世帯加入も果たせなかったであろうと思います。

そして、同じような扱いをうけているシンママさんたちが全国にいるのだろうと思います。

生活保護は憲法25条の具体化です。いま困っている人たちに対して「健康で文化的な最低生活」を国が保障する制度です。制度をゆがめているのは行政です。

シンママさんたちが「生活保護は死んでもいやだ」というのは、こうした間違った運用があるからです。東大阪市中福祉事務所に猛省を要請します。  

(大阪社保協事務局長・一般社団法人シンママ大阪応援団代表 寺内順子)

 

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327()介護保険対策委員会(1900-大阪民医連)

329()河南ブロック会議(1400-松原民商)

3月の常任幹事会はありません

43()中央社保協 国保部会・運営委員会

44()大阪社保協事務局会議(1400-大阪社保協事務所)

413()和泉社保協「相談活動ハンドブック活用講座」(1400-職員会館)

418()大阪社保協第1回常任幹事会(1800- 国労会館)