大阪社保協通信  1205号 2019.2.27

 

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226日「大阪府統一国保問題」に対する懇談実施。2024年までのシュミレーションを出してこそ市町村も「統一するのか、出来るのか」検討できるのではないか?

226日、115日に提出した「緊急要望書」に基づき、大阪府国保課と大阪社保協との懇談が行われました。大阪府国保課からは、健康医療部 国民健康保険課総務企画グループ阪口さん、堀さん、財政運営クループ統轄主査の西村さんが出席、大阪社保協からは、大商連、大阪府保険医協会、歯科保険医協会、大阪自治労連、年金者組合、大阪難病連、吹田社保協、寝屋川社保協から13人が参加しました。

概要について以下掲載します。大阪府国保課のみなさま、大変お忙しい時に時間をとって頂き、感謝いたします。

【要望事項に対する回答】

1. 大阪の国保被保険者にとつて何のメリットもない「統一国保」をやめ、これまで通り、市町村の賦課権限を尊重し、様々なインセンティブを保険料引下げのために使えるようにすることと。

  基本的に保険者努力者支援制度などの財源は保健事業での活用が原則。ただ、保険料の激変緩和の財源確保が当面必要なので6年間の激変緩和期間は市町村の判断にゆだねる。

 

2. 厚生労働省も懸念している大阪府の保険料負担増について大阪府として繰入を増やし、事業費納付金そのものを小さくすること。

  法定外繰入は国保に加入していない住民に対して国のルール以外の税負担を求めることになるので、保険としての持続可能性や住民の税負担の公平性から大阪府としては適切でないと判断している。ただ、保険料が高いという意見はもらっているので、国にさらなる公費の拡充を強く要望してまいりたい。

 

3. 給与や年金が銀行口座に振り込まれた途端に全額差押えをするという違法行為が北河内地域の自治体を中心に横行している。大阪府としてこうした違法行為・脱法行為に対する見解を明らかに、市町村に対し法令順守をするよう文書を発出すること。

  財産等があるにもかかわらず滞納を続ける滞納者については法令の規定に則り適切な滞納処分をすべきだと認識している。ただ、給与については、差押えが出来ない範囲が法に定められており、差押え可能金額を算定の上差押えを実施していると考えている。一般に差押え禁止再建の金員が金融機関に振り込まれることによって預金債権となった場合には原則として差押え禁止財産の属性を継続しないと考えている。振込口座の差押えが違法と言う認識はない。例外的な一定の事情の元においては差押え禁止財産と同じとして違法とされた平成25年の判決があることは承知している。滞納処分の執行に際しては滞納者の収入・生活状況・誠実な納付意識の確認等を適切に行った上で的確な滞納処分を行うことが重要であるという認識に立っている。各保険者は適正な滞納処分を実施するよう国通知を示し指導をさせていただいているところである。

【その上での質疑応答】

○今年度、各市町村とも国保料は大きく値上がりをする様相。大阪府としてどのように把握しているのか

1月末に標準保険料率を示したところなので具体的な激変緩和の状況など掴んでいない。

今年度は調整会議はやっていないが財政ワーキングを開催し、事業ワーキングは本日。調整会議は年度内ぎりぎりとなると思う。

 

○これまで、各市町村の国保料は現状維持や値下げできるところもあったが、なぜこれほどまでに値上げをしなければならないのか、統一保険料率に引きずられている形で上がっている。中央社保協全国大都市保険料調査データによると、来年度大阪府統一保険料は全国一高くなる。この高い国保料に対してどう考えているのか、被保険者の生活をどのように考えているのか。

   我々としても意図的に高い保険料にしたいわけではなく国の推計ツールにもとづき計算した結果。全国的にも同様の伸びの傾向をしていると聞いている。大きくは診療費に占める70歳以上の占める割合が大きくなっており、一人当医療費単価が二倍になっている。全体の被保険者数が減っていく一方で段階の世帯が順次70歳に移行していることで高齢者の割合が増加している。あと、今年度保険料は平成30年度の推計値が実際の28年度は26.27年度伸び率で算出したが、29年度の実績値が判明していなかったので直近の数値が反映できなかったのは反省点。結果的に当日の算定値が過小であったため、今年は高めの傾向がでた。ざっくりというと去年の見積もりは安すぎた。

 

○平均的な医療費増や被保険者数減の予測はでるので、今後2024年までの統一保険料率シュミレーションを出して市町村に説明すべきではないか

  今時点でそれが出せるかと言うと30年度決算もしていないので難しい。来年度末に国保運営方針見直しにむけた検証を行うので市町村と意見交換していく。

 

○激変緩和は統一保険料にむけて徐々に金額を減らしていくものであるが、毎年統一保険料があがっていくのであれば、激変緩和は追いついていかないが。

   年々いろんな要素があるので、シュミレーション通りにいくかどうかわからない。精緻なシュミレーション出せるかどうか・・・。ここで必要であるかどうかお答えできない。

 

8月の全国の国保主幹課長協議会シンポジウムで大阪府の国保課長が「今後、進み具合や被保険者への影響をみながら、33年度以降の運営方針で統一的なものに進むのか、もう少し遅めにやらなければならないのかといった状況になる」と発言しているが

  課長の真意は「36年度統一する過程で心配している」という発言だと思う。

 

○大阪市の来年度の国保料は平均で当初2%アップときいていたが、据え置きとなった。2024年度までに府の統一保険料になるように変えていくと。来年度はこの春に統一地方選挙があるのでこうなったのではないか。

   やがては統一保険料にあわせていただくものと考えているが、大阪市は据え置きされる予定といま聞いてびっくりしている。6年後自然増でも保険料は上がっていくので、今回市町村の判断になるが、突然上がったような印象になると思う。我々は受益と負担の公平性で一般会計法定外繰入は好ましくないと判断している。

 

○大阪府は国保の構造的な問題の解決のためにとか、保険料はさがるところもあるかもしれないと言ってきたが、そうなっていないが。

  一般会計法定外繰り入れに頼らない国保財政をめざしている。  

 

○大阪府統一保険の一番のデメリットは国保料を下げられないことではないか

  そういうわけではない。大阪府二号繰入金を使ってインセンティブも渡す。医療費適正化の取り組みは今すぐに効果はでないが、いずれ医療費そのものを小さくできると考えている。大阪府としてプラットホーム事業などもやっている。

 

○市町村の声をもっと聞くべきではないか、調整会議はブロック代表という認識をメンバーは持っていないが

  調整会議ではそういう部分もあり、前班は固定していたので、今年度から任期を1年ごとにメンバーを変えることとした。就任の際に、ブロックとして意見を徴収してほしい。自分のところと意見が違っていても意見を徴収してもって来てほしいとお願いしている。ブロックごとの温度差があるのは確か。認識している。

 

○統一化すると大きい自治体(大阪市・堺市・東大阪市)でほぼ決まる。町村からは小さいとこが何しても同じ、という意見がでているが

   メリットもある、例えば財政規模の小さい自治体の財政が安定する・・・(それは都道府県単位化のメリットであって統一化のメリットではないとの社保協から指摘)

 

○そもそも大阪の国保は、一般会計法定外繰り入れや大阪府支出金増なしで運営できるのか?

赤字のない健全な国保財政を目指す、本来やってはいけないことだと考えている。6年間激変緩和あるので、計画通り法定外繰入の額減らしていくようにしていただきたい。

 

○多子減免の検討は?大阪府として積極的に進めたいとおもっているのか?

検討すすめているところ。各市町村の意見をきいているところで、導入に向けて来年度ひきつづき議論している。市町村の意見も聞いて大阪府としても判断したい。国の方も検討進めていると聞いているので大阪府としても意見をふまえて検討していく。

 

○北河内地域で横行している「給与・年金振込当日全額差押え」に対する大阪府の考え方は?通知をだして指導してほしい。

  平成25年度の高裁判決のように差押禁止財産が入ったその日に全額差押えするのは違法だと考えている。差押え予告通知をだすことで家族のコミュニケーションのきっかけにしてもらっている(?)という市町村もある。

 

○門真市については、「給与全額差押えはしています」「差押えは納付相談のためのツールです」とはっきり言っている。北河内地域の自治体での差押えについて「給与・年金振込当日全額差押」について大阪府として調査してもらえないか。 ※門真市の差押えに対する考え方「大阪社保協通信1173号」    

http://www.osaka-syahokyo.com/fax/1143.pdf

   検討させてほしい。大阪府に審査会があるので、そこで違法と言う裁決がでてくれば、大阪府として市町村にそう知らせるが、いまのところ出てきていないので。

 

○「給与・年金振込当日全額差押」について大阪府はどう考えているのか

そういうことは市町村はされていないと考えている。市町村の判断のもとに適切に判断して実施していると判断している。明らかな違法行為があれば指導しなければならないが。

 

○差押え・滞納処分については府統一でやっていくのか

事務の統一についても徐々に議論はじめている。徴収方法も市町村からの今後、要望があれば検討していくこととなると思う。長い間かけて市町村が市民とのあいだで作ってきた部分もあるので、調整会議や事業方針の中で議論されていくと思う。

 

○平成31年度統一保険料率本算定資料はいまだに大阪府ホームページに掲載していないが、おかしくないか。検討してください。

   回答なし。

 

 

 

 

 

大阪社保協「第29回総会」のご案内

  1.日        201932日(土)午後12時半開場/1時半開会/5時閉会

  2.場        大阪府保険医協会M&Dホール5階 

  3.報告と議案   (1)報告〜2018年度活動報告、決算報告、会計監査報告

                  (2)議案 

第1号議案 社会保障をめぐる情勢と2019年度活動方針()

                第2号議案  2019年度予算()

                第3号議案  2019年度役員体制(案)

  4.資料代      無料                                     

    ※なお、当日資料配布希望の団体は当日11時半までに80セット会場にお持ちいただき袋詰め作業にもご協力ください。昼食も用意いたします。(事前にお知らせください)

  5.発言の準備について

      当日の総会での発言については「発言通告制」になります。全体討論は1人5分で15人程度を予定しています。発言の準備をお願いいたします。

  6. 今回は「大阪府民生活実態調査」について、研究者の鴻上さん、高倉さんによる報告があります。ぜひお聞きくださいね。