大阪社保協通信   1192号 2018.10.11

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大阪府内自治体キャラバン行動最終版へ〜これまで800人参加。

 7月25日島本町からスタートした今年度の自治体キャラバン行動は38市町村との懇談を終えました。堺では7区役所キャラバンも始まり、大阪市内は11月からのスタートになりそうです。最新のスケジュールは大阪社保協ホームページに随時アップしていますので、ご確認ください。

いくつか特徴的な自治体を紹介します。

★箕面市〜いまでも医療費水準加味しない国保統一保険料率には反対と明言

 箕面市は特定健診・がん検診とも大阪府内一の充実した内容、かつ無料で実施されており、受診率も府内トップクラスです。そして、予防と早期発見早期治療で一人当医療費は平成29年度全国平均345,000円に対して箕面市は296,000円という結果となって表れています。(大阪府データによると平成28年度の府内平均は367,280)

 昨年の自治体キャラバン行動でも箕面市は「医療費水準を加味しない統一保険料率には反対」と表明されていました。昨年度中には箕面市として4回大阪府に対して意見表明をしたとのことです。そして、今年度の自治体キャラバン行動でも昨年度同様であると明言されました。

★豊中市〜これまでの充実した特定健診内容を統一基準のみに

 豊中市は昨年までの充実した検診内容を改悪し、統一基準のみの追加項目にしてしまいました。統一基準とは、@血清クレアチニン検査(eGFR)A血清尿酸検査B血糖検査(HbAlc)のみです。去年までは、さらに心電図・眼底検診・白血球血症版検査・総コレステロール検査がありました。これでは循環器系疾患等は全く発見できない健診となります。

 大阪社保協では、これまで「統一基準にしたら必ず健診事業を後退させる自治体が出てくる」と警鐘をならしていましたが、最初に行ったのが大阪府市町村広域化調整会議メンバーで「統一推進派」の豊中市だったというわけです。

★東大阪市〜今後どうしていくのか「いまは答えられない」

東大阪市は毎年保険料を引下げてきました。そして減免制度も充実しており、とりわけ一部負担減免制度は日本一で、昨年度も4065件の減免がされています。こうした高い水準の国保行政を進めてきた東大阪市は、今年度は全く統一に合わせていません。そして、「今後どうされますか?」という問いに対して、「うーん、答えられません。来年度もどうするか検討出来ていません」とのことでした。

★大阪狭山市〜今年度ぴか一の「生活保護のしおり」

昨年の小田原市の「生活保護なめんな」事件以来、全国の自治体が作っている「生活保護のしおり」を検証しようという動きが起きていますが、大阪社保協は2011年以来、毎年の自治体キャラバン行動で必ず懇談の場で参加者全員に配布してもらってその場で意見を言うという取り組みを続けてきました。それによって、私たちの意見を反映して毎年更新するという自治体が増えてきました。

これまでは豊中市の生活保護のしおりが正確かつ親切な内容であるとの評価をしてきましたが、今年の一番は大阪狭山市です。

大阪狭山市の「生活保護のしおり」の優れた点、まずは生活保護制度について「生活に困った国民に対して生存権の保障を規定した日本国憲法第25条の理念に基づき困窮の度合いに応じて、国の責任で、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに自分で自分のくらしを支えられるよう支援することを目的に生活保護法に基づいて行われる制度です」と明記。そして「申請の時に用意した方がいいもの」、「保護申請の手続きと保護決定までの流れ」、生活保護費計算の仕方や保護の種類(扶助だけでなく加算、一時的扶助)が正しく説明されています。そして、大阪狭山市のしおりが初めてだと思いますが、「最低生活費の実際の支給例」としてモデル世帯の最低生活費計算と収入を引いて、さらに控除などについても説明しています。さらには、(こんなお得なことも)として、生活保護を利用した時と利用しない時の比較表もあります。この大阪狭山市のしおりについては、他の自治体に対しても「ぜひ参考に」と紹介しています。

★河南町〜学校給食費無料化めざす

河南町の文書回答には「給食の無償化については町全体の予算バランスをふまえつつ、その可能性について研究してまいります」と書かれていますが、キャラバンではさらに踏み込んで「無償化については町長の公約でもあり、小学校統合・認定こども園の次の課題であり、前向きに取り組んでいきたい」との回答でした。

★田尻町〜学校給食費助成

田尻町の文書回答には「無償化とはなっていませんが、町が一部負担させていただくことにより保護者の皆さまの負担軽減を図り、学校給食を長期的かつ安定的に行っているところです。また、給食の品数につきましても、平成30年度より4品目から5品目へと1品目を増やしております。1品目増とした分についても保護者負担ではなく町負担として学校給食の充実に取り組んでおります。」と書かれています。無償化ではありませんが、助成という形で負担軽減を図っている自治体です。

★能勢町〜「子どもの居場所」「高齢者の居場所」づくり

能勢町は2016年に「子どもの生活実態調査」を町村としてただ一つ実施した自治体です。世帯平均所得も大阪府内で低く、当前経済的に厳しい家庭の子どもたちが多くいます。

載せ地洋では子どもが歩いて行けるところ(合併前の旧6小学校区単位)に、学校以外の場所で土日と長期休暇に子どもたちが来れる「居場所づくり」を施策化しています。社会福祉協議会と5カ所の福祉法人などに協力を求め、@こども食堂的な取り組みA生涯学習的な調理活動B地域の交流スペースC学習支援Dカフェなどの機能分担をして取り組んでもらっています。こうした居場所に全小学生320人のうち120人が参加しています。

また、高齢者も44区のうち40区でいきいき100歳体操もやりながらそれだけでなく「居場所」としての機能も持てるよう取り組んでいます。課題はリーダーをどう育成するか。いずれは子どもの居場所ともドッキングした取り組みなども考えていきたいということでした。