大阪社保協通信   1191号 2018.10.1

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厚生労働省からも批判される「大阪府統一国保」〜大阪府国保課長「統一ありきで進めた」
 822日、「平成30年度全国国保主管課長研究協議会」において「新国保制度施行で見えてきた課題での対応」と題するシンポジウムが開催されました。助言者は厚労省の島添国保課長補佐で、発表者の一人が大阪府健康医療部の山本信行国保課長でした。以下、「国保実務93日付」からの抜粋です。

★「統一ありき」「今後、進み具合、被保険者への影響を見ながら」大阪府国保課長

 「島添課長補佐は大阪府の保険料統一の方針を取り上げた上で『保険料統一の定義が実は曖昧で、これら保険料統一は一体何かということを県と市町村で議論しなければならない。大阪府も統一保険料率とはいえ、国保運営方針をみると直診勘定分は統一保険料率の外に置いており、2号繰入金で医療費適正化のインセンティブを効かせることに関しては、その2号繰入金は保険料率に反映できないということになる。大阪府が考えた保険料率の定義、統一の枠外に置いた費用はなにかを伺いたい』と質問した。

 それに対し、大阪府の山本課長は『大阪府の場合、保険料率統一ありきという形で進めたのも事実。そもそも完全統一という形とは若干ずれている。保険料統一を進める、形とするためにまずは運営しやすい、皆さんが合意していただけるような部分を残して導入した。したがって、運営方針も33年度までという形にしたのが実情』とした。

 その上で、『今後、進み具合や被保険者への影響をみながら、33年度以降の運営方針で統一的なものに進むのか、もう少し遅めにやらなければならないのかといった状況になると思う』と述べた」

★度重なる災害でも使えない「国保料統一減免基準」

今年、大阪は度重なる災害に見舞われています。

618日の大阪府北部地震では、大阪の北摂豊能・北河内地域を中心として、高槻市、茨木市、摂津市、豊中市、枚方市、交野市、大東市などで被災しました。多くは瓦が落ちてブルーシート状態になり、現在もまだ修理が済んでいない所が多々あります。しかし、大阪府「統一基準」(別掲)だと、国保料の減免基準は全壊・半壊のみで、これでいくと阪神淡路大震災レベルの地震でなければ使えないということになります。

94日の台風21号では海沿いの大阪市南部と泉南地域が被災しました。大阪市住之江区・港区、岸和田市、和泉市、貝塚市、泉佐野市、泉南市などで長期停電、屋根や壁、ガラスサッシなどが損傷しました。しかし、このような状態でも大阪府「統一基準」だと減免制度は使えません。(別掲表)大阪府統一基準では以下の4つの減免内容しかありません。

国保料は税金よりも高いため、免除制度がとにかく必要です。高槻市では統一基準ではなくこれまでの独自減免制度が生きており、一部損壊で国保料が半額減額、半壊・全壊で免除となります。「統一ありき」で突き進んできたことを大阪府自らがみとめています。災害などの困難に陥っている今こそ、住民に最も近い市町村が声をあげ、住民のための国保行政に変換するときです。

 

大阪府保険料減免統一基準 減免の対象となる保険料及び減免の割合

 

区分

一 災害

二 所得減少

三 拘禁

四 旧被扶養者

対象となる
保 険 料

応能分及び

応益分

応能分のみ

応能分及び

応益分

応能分及び

応益分

減免の割合

被害の程度に応じて3区分(全壊等100%、半壊等70%、火災による水損又は床上浸水50%)

前年所得からの減少率に応じて、8区分

(減少率が

30%以上40%未満:30%、

40%以上50%未満:40%、

50%以上60%未満:50%、

60%以上70%未満:60%、

70%以上80%未満:70%、

80%以上90%未満:80%、

90%以上100%未満:90%、

100%:100%)

100

所得割10

均等割5割

平等割5割(旧被扶養者のみで構成される世帯に限る。)

対象期間

減免の申請のあった日の属する年度末まで(ただし、必要に応じ、当該申請日の属する年度の翌年度末まで【被災した日が属する月から起算し、最大12月】延期することができる。)

減免の申請のあった日の属する月以降、保険料を納付することが可能となるまでの間(ただし、必要に応じ、当該申請日の属する年度の翌年度末まで延期することができる。)

拘禁されている期間

減免の申請のあった日の属する月以降

 

「大阪府民生活実態調査」続報〜天王寺社保協から

「府民生活実態調査」での各地での取り組み報告が届いています。今回は天王寺社保協から報告が届きましたので以下掲載します。

★天王寺社保協府民生活実態調査経過報告

天王寺社保協は、9月10()2名で小宮住宅100軒に封筒にいれたアンケート用紙を配布し、16()5名で100軒を訪問してアンケート用紙を32軒分回収しました。留守宅も多かったのですが、アンケートを記入して封筒にいれて郵便受けにおいてくれていたところも7-8軒ありました。5名の方が自由筆記をしてくれていましたので紹介します。今後は10月1日()2名で小宮住宅の第2棟80軒にアンケート用紙を配布し7日()に回収します。

□年金額が少ないので(年間100万円)シルバーで働いて足りない分を補っています。身体が動けなくなったら生活ができなくなると心配です。

 □最近2人の子供を続けて亡くし一人になり姉妹も関東に住んでいるので日々むなしい暮らしでいざというときの対応が心配です。

 □困った時はどこかに相談できるものなのでしょうか。

 □年金が2か月で12万円ぐらいです。介護保険料が引かれたらいくらももらえません。介護にかかりたくてもそんな余裕はありません。

 □介護保険額が高すぎる。住宅家賃をもう少し減額してほしい。