大阪社保協通信 第1182号 2018.5.28
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5月13日「どうなる?大東市の介護保険 市民集会」に80人が参加。
5月13日、大東市民会館で「どうなる?大東市の介護保険市民集会」を行いました。
大東市では2016年4月から介護保険・総合事業が開始され、要支援1、2 のホームヘルパーやデイサービスの利用が制限され、「卒業」の強制で、状態悪化や孤立が発生しました。昨年から私たちはその改善を求めて取り組みをすすめ、一定のことを大東市に約束させました。ところが大東市は、今年度から介護保険料を9.6%も引き上げ、地域包括支援センターをひとまとめにしてしまおうとしています。
★報告集「介護保険『卒業』がもたらす悲劇」発行
今回の市民集会ではこれまでの取り組みと成果を記録した本「介護保険『卒業』がもたらす悲劇」(大東現地調査報告書)の出版記念報告もかねて行いました。大東市が失敗した事例を全国に広げてはいけないという思いで出版しています。本には国の介護保険制度が改定され、新たに作られた保険者機能強化推進交付金の資料も添付されており、今後の介護保険に関わる取り組みへの参考書にもなります。ぜひお読みいただき、運動にご活用ください。
★橘田医師〜「介護サービスが受けられるのと受けられないのとでは大きな違いがある」
集会では橘田亜由美(医療生協かわち野生活協同組合東大阪生協病院院長、協立診療所医師)が「介護サービスが受けられるのと受けられないのとでは大きな違いがある」として、事例を紹介しました。自宅で転倒を繰り返し、縫わなければいけない切り傷やあざが絶えなかった患者が、時間はかかったけれど介護サービスを受ける事ができるようになってから生活が安定したそうです。今も転倒される事があるが、そのたびにケアマネやリハビリ専門職が自宅を訪問して本人の状態を観察し、問題点を明らかにして即座に対応するという事が繰り返されています。橘田医師は「同じ転倒するのにも、何の対策もなされずに転倒するのと、そうでないのとでは大きな違いがある」と話しました。
★地域包括支援センターの統合について
第7期総合介護計画で大東市は日常生活圏域を3つから1にすると計画しました。
大東市に基幹型のセンターを置き、ブランチを4つ作るというものです。
大東市が提案しているのはそれぞれの4つのブランチから一人ずつ専門職を基幹センターに出向させて各事業所へのパイプ役になってくださいというもの。
地域包括支援センターには3職種(保健師・社会福祉士・主任ケアマネージャー)を配置しなければいけません。病気や体の心配事などが専門の保健師さん、各種社会保障などの制度が専門の社会福祉士さん、そして5年以上ケアマネの実務経験を積んでいる主任ケアマネージャーがそれぞれの専門性を生かして、チームを組んで一人一人の問題ごとを解決していっておられます。
どうなるか、高齢介護室の説明では、例えば、ある地域で、一気に相談がたくさん入ってきて、手が回らないよ…という時、今までだったら自分たちで何とかしなければいけなかったが、今度からは1圏域にするので、他の事業所から管理センターに出向している専門職が応援に入ることができる事になりますよーという事らしいです。
そして、この仕組みでは予防プランを一定割合、自分の系列の事業所に回すことができることになっているので、公平性にも欠ける問題が発生します。
私は、地域包括支援センター現場に意見を聞きに行ってきました。現場の専門職は口をそろえて「機動性が落ちる」と、言いました。
管理センターに指示を仰がなければいけない事、そして、専門職を一人出向させないといけない事で、即専門職に相談して動きたい案件でもスムーズに動けなくなると話されました。
アウトリーチ(現場に出かけて行って問題を発掘する、認知症カフェなど地域のために奉仕すること)が出来なくなるのではないか。大東市はもっとアウトリーチを重要視して欲しいという意見も出ていました。
現場の職員は利用者の事を考えて日々一生懸命取り組んでいます。しかし、大東市の進めている事とは乖離することが多く、現場職員は板挟みになり胸を痛めておられます。良い介護を提供する現場の方々とも手を取りあい、一緒に良い介護が提供できるような制度に変えていきたいと思います。
「お金がない」なんて理由になりません。社会保障というのは必要な財源をまず確保しなければいけません。今は枠を決めてしまい、その中で社会保障をやり繰りするという方法がとられているから、どんどん悪くなっていきます。介護保険料が年々値上がりしている様に、使う人が増えれば負担も増えるという受益者負担の考えを変えて、本当の社会保障をみんなで作っていきましょう。
★参加者の発言から
大東市問題を取り組むきっかけとなったのは半年で要支援1が要介護5になり、足指切断を余儀なくされたYさんの事例です。
Yさんの事例から大東市の介護についてたくさんの問題点が浮かび上がってきました。退院して回復するまでの一時的な介護サービスのみ認め、継続的な介護サービスを認めないこと。利用者の意見がケアプランに反映されないこと。訪問型Cでは無料でリハビリ士が自宅へ行き元気でまっせ体操を指導するサービス。しかし、医師の指示書はいらないため、医師の意見を反映させるサービスにはならず、連携もできないしくみになっています。この仕組みは全利用者に共通する大きな問題です。
しかし大東市は個別の問題として真摯に向き合おうとせず、一人とその家族の人生が180度変わってしまったことに対する謝罪さえも拒否しました。
現在、Y氏は入院中です。丁寧なリハビリを受ける事が出来るようになり、寝たきりだった状態からようやく数秒立つ事ができるようになりました。しかし、家の構造上、在宅での車いす生活は不可能とされたため、今後は施設での生活となります。「家に帰りたい」という願いをかなえてあげることが出来ません。大東市はしっかりと良い介護サービスが提供できる仕組みに改善してY氏に償いをすべきではないでしょうか。
(新崎美枝・日本共産党大東市会議員)
金につられて市町村の介護保険が激変! 保険者機能強化推進交付金学習会 |
2018年度から保険者機能強化推進交付金制度がはじまり、10月には全自治体が国に「報告」を出すことになっています。
保険者(自治体)による自立支援、重度化防止等にむけた取り組みの推進のために、国が200億円規模での財政的インセンティブを付与するというものです。
インセンティブとは簡単に言うと「ご褒美」ということですが、では一体何に対してご褒美が与えられるのか、そのために自治体はどうなっていくのか・・・・市町村の介護保険運営が激変する可能性があります。まずはしっかりと学びましょう。
ぜひご参加ください。
2018年 6月27日(水)18時半〜
大阪民医連会議室
資料代/500円
講師 日下部雅喜氏 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員長 佛教大学・非常勤講師(福祉行財政論・福祉計画論) ケアマネジャー
主催/大阪社会保障推進協議会
【連絡先】大阪社会保障推進協議会 大阪市北区錦町2-2国労会館内 電話06-6354-8662 FAX06-6357-0846
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