大阪社保協通信  1167号 2017.10.10

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「大阪府統一国保」問題〜第2回試算(国レベルでは第3)未だ公表されず

先週6日の吹田市役所キャラバンを終え、2017年度大阪府内自治体キャラバンご終了しました。これまでのキャラバンを踏まえ、大阪の国保の最新状況について報告します。

★どこよりも早く「統一国保」検討始めたが・・・

大阪府はどこよりも早く20155月に『大阪府・市町村国民健康保険広域化調整会議』を立ち上げ、さらにその下に「事務運営検討ワーキング」と「財政運営ワーキング」を置き、毎月12回の検討会をするなど、大阪府での統一を目指して検討をしていました。『大阪府統一国保』の背景には『大阪都構想』があります。

★今年の2月から思考停止状態、まったく進まず

しかし、現在「思考停止状態」にあると言わざるを得ません。原因は2月に出された標準保険料率試算です。

http://www.osaka-syahokyo.com/16kokuken/k20170301b.pdf

大阪では統一国保料を目指しているため「標準保険料率」=「統一保険料率」となるのですが、これが恐ろしく高額となり、殆どの自治体の必要保険料(市町村事業費納付金÷被保険者数)が現行保険料よりも値上がりとなるというものであったこと。

そして、私たちから見てもこの試算が大きく間違っていることがわかるようなものだったのです。3月に大阪府担当者を招いて実施した大阪社保協に対する説明会の場で指摘したところ、府もこの誤りを認め、「これは粗い試算です」「当てにならない数字です」「8月に出す試算はもっと制度のが上がり、新たな公費1700億が入るので、これがマックスとなるはず」などと説明していました。

★突然の担当者全員配置転換

しかしその後、昨年度までの大阪府国保担当者は全て配置転換となりいなくなってしまったという驚くべき事態になりました。

★突然の担当者全員配置転換

今年5月6月に実施した「大阪府統一国保問題緊急キャラバン行動」で市町村課長の口から出たのは、「

こんな高い保険料になるとは思っていなかった」「何一つ決まっていない」「大阪府からちゃんとした説明は一度も受けていない」「統一するかどうかでの採決は一度もしていない」という市町村担当課長の戸惑い声であり、「こんなに何にも決まっていなかったのか」とこちらが驚くほどでした。

 さらには、「担当者が一新されて、次の試算を出すことができるのだろうか」という声までも出てくる始末でした。

 

★未だ第2回試算が公表されず〜自治体キャラバン行動でわかったこと

そして10月に入っても、大阪府は第2回試算(全国では3回目)を出していません。もちろん市町村にも示していません。何がおきているのでしょうか。

大阪府の担当者にも何度もメールや電話で問い合わせをしていますが、8月の段階では「システム不調」9月の段階では「国との協議」を理由としていました。

さらにキャラバンでの各市町村の課長からの声やニュアンスを総合すると、以下の事態ではないかと推測されます。

 ■大阪府は試算はしたらしい。

■でも、公表できない。

なぜでしょうか。公表できないような数字が出たのではないか、と考えられます。

★第3(大阪は第2)試算は都道府県に「激変緩和」の予行をさせるため

今回の試算は具体的な激変緩和措置をどのようにするか、都道府県に予行演習をさせることが目的で行われました。

厚生労働省は第3回の試算については公表を前提として通知をだしており、多くのところで既に試算が発表されています。

■岡山県

http://www.pref.okayama.jp/site/presssystem/527301.html

■徳島県

http://www.pref.tokushima.jp/docs/2017060500119/files/29shisannkekka.pdf

 

大阪府の場合ですが、激変緩和措置してもなお高額の保険料となる自治体が多いのではないかとの推測が出来ます。

激変緩和は法定外繰入等の繰入をしないで計算した保険料と比較し、値上がりする試算保険料との差額に対して行われます。例えば、大阪市のように保険料負担を軽減するために法定外繰入をしている場合には激変緩和措置は殆どされないだろうと考えられますので、このあたり、どのような試算となっているのかが注目されます。

★では一体いつ公表されるのか

10月中下旬に大阪府主幹課長会議があるとの情報をキャラバンの中で得ましたので、どんなに遅くともともここでは説明されると思われます。よって大阪社保協に対する説明会は市町村への説明後となります。

★全国レベルでは次の本試算にむけて動き出している

厚生労働省は事業費納付金・標準保険料率策定のための標準システム本稼働版を96日付で都道府県に配布されており、今後は10月下旬をめどに仮係数が示されます。これを受け、2018年度の事業費納付金・標準保険料率の試算が11月に行われることとなります。本来であれば、大阪府もその試算をすでに始めなければならない時期なのです。

919日に国から通知がだされ、2018年度推計を前に都道府県があらかじめ決定すべき係数として@都道府県統一の賦課限度額A都道府県繰入金B特例基金繰入金C高額療養費負担金等・特別高額医療費共同事業負担金等D都道府県事業費E標準的な保険料収納率F審査支払手数料等を示しました。

★国は保険料高騰に危機感〜市町村に激変生じさせない配慮求める

102日付「国保実務」によると、「厚生労働省は激変緩和に関連して30年度に限って保険料率引き上げの上限となる『一定割合』を国が示すことを検討」として調整中であるといいます。

「例えば法定外繰入を削減する影響は激変緩和の対象とならないため、都道府県がマクロの視点から一定割合などの激変緩和措置を講じても、市町村が赤字解消のため急激に保険料を引き上げれば混乱が生じる恐れがある。厚労省は『標準保険料率は保険料算定の参考にはなるが、実際に賦課・徴収する保険料率を決めるのは市町村』として、30年度に関しては被保険者一人ひとりが受け入れられる保険料負担という観点から、法定外繰入のほか、財政調整基金の取り崩し額や保険料の算定方式、応能・応益割合、保険料の賦課限度額、個別の保険料減免などについて、財政責任の一端を担う市町村の立場で激変を生じさせない配慮を求める」と。

つまり、都道府県の激変緩和措置だけでは被保険者が払える保険料とならない可能性(全国的に保険料が高騰する可能性がある)があるため、賦課決定権をもつ市町村にことさら様々な配慮をして欲しいと求めているのだと言えるでしょう。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ お知らせ ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

1019()に予定しておりました大阪社保協第6回常任幹事会は諸事情により中止とさせていただきます。

 

■今後の会議・学習会等企画

1016()大阪市・堺市総合問題検討会議(1900- 大阪民医連)

1019()大東市介護保険総合事業問題現地対策会議(1830-協立診療所)

1023()大阪市介護保険総合事業学習会(1800-大阪民医連)

1024()大東市介護保険総合事業問題第3回実行委員会(1800-大阪民医連)

1031()介護保険抜本見直し検討会議(1900- 大阪民医連)

112() 事務局会議(1400-大阪社保協事務所

              シングルマザーとこどものサポーター養成講座A(1830−ドーンセンター)

116()北河内ブロック会議(1400- けいはん医療生協)

117()河南ブロック会議(1400- 松原民商)

1114()北摂豊能ブロック会議(1400- 吹田さんすくほーる)

1117()大東介護保険総合事業問題現地調査団(1030- 大東市民会館)

1118()3回幹事会(1400- 大阪府保険医協会)

1120()近畿ブロック事務局会議(1500- 大阪社保協)

1127()泉州ブロック会議(1400- 岸和田市内)

1130()滞納処分対策委員会(1900- 彩法律事務所)

127() 事務局会議(1400-)

              シングルマザーとこどものサポーター養成講座B(1830−ドーンセンター)     

1221()大阪社保協第7回常任幹事会(1800- 国労会館2回円卓会議室)