大阪社保協FAX通信   1142号 2016.7.13

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門真市が給料日に口座全額差押え!差押え禁止金額を押さえることは違法行為ではないのか?

保険収納課長「全額差押えは納付相談のツール」「口座に入った瞬間に給料・年金は預金債権となるので差押えしてもいい。鳥取判決があるので手当は押さえない」
 620日、門真市が国保料滞納者に対して、給料日に口座残金全額を差押えるという事案が発生しました。この方は、大阪社保協滞納処分対策委員会メンバーである楠晋一弁護士の依頼者であったため、当実すぐに楠弁護士に連絡が入ったため的確なアドバイスのもと、ご本人が市役所保険収納課に行き、「全額差押え解除」を申し入れ、納付相談を約束させられたうえ、即時全額解除となりました。

 

★給料全額が差し押さえられたのだとわかったとき明日からのくらしはどうなるのかと頭が真っ白になりました〜ご本人談

 76日夜に、門真民主センターにおいて、楠弁護士、門真社保協・中橋さん、大阪社保協・寺内事務局長同席のもと、ご本人から聞き取りを行いました。

 その上で、以下の質問と要望書を作成、翌日に77日、門真市に提出しました。

 この方は、門真市に在住しているときの国保料が滞納となっており、その後守口市に転居。仕事上の諸問題でダメージをうけ働くことができなくなり守口市では生活保護を5月末まで受給、6月には保護廃止。620日は全額仕事で得た記念すべき初給料日だったのです。

 

門真市による給与全額差押えに関する質問と要望について

 

 日頃より、門真市における国民健康保険業務を法令順守にて執行いただいていることに感謝申し上げます。

 ただ、残念なことに、2016620日付で○○○さんの給与が入金された預金口座が振込当日に全額差押えられるという事案が起こりました。

 つきましては、以下の内容について質問・要望いたしますので文書にてご回答いただくとともに18の項目については大阪社会保障推進協議会・門真社保協との懇談の場を1週間以内に設定していただきますよう強く要望いたします。

 

【質問および要望事項】

1 督促状ならびに法定外の差押え予告書などの納付を慫慂する書面をいつ、どこに送ったのか、その担当者を明らかにされたい。

2 前住所に納付を慫慂する書面を送った事実はあるか?

  なぜ、そこに送ったのか?住民票の異動は調査しなかったのか?

3 財産調査をいつ、○○銀行門真支店に対して実施したのか。何カ月分の取引履歴を入手したのか。

4 守口市からの入金が定期的に入っていることは把握していたか?

  それが、生活保護費であることは把握していたか?

  守口市からの入金はどういう性質の金銭であるかについて調査したか。

5 2016(平成28)年6月20日に差し押さえを実施すると決定したのはなぜか?

  生活保護が5月末に廃止になったことを把握していたか?

  給料日が毎月20日であることは把握していたか?

6 給料口座を差押えしているが、預金全額の差押えを実施すると判断した理由は何か。

  それが許されると判断した法的根拠は何か。

7 差押え後に○○さんが来庁したときに、職員が○○さんに「いくら要りますか?」と尋ねた事実はあるか?全額返してほしいと希望した○○さんに対して、職員が○○さんに給料の使い道を問いただした事実はあるか。それを問うたのはどうしてか?

8 最終的に、○○さんに対して全額を返還したのはどうしてか?法的根拠は何か?

9 大阪社保協調査によると、門真市では、2015年度に預貯金の差押えを1216件実施しているが、○○さんのケースと同様に、給料日に差し押さえを実施したケースは何件あるか、調査の上回答されたい。

10 同じく、預金全額を差押えたケースは何件あるか、調査の上回答されたい。

11 同じく、給料日に預金全額を差し押さえたケースは何件あるか、調査の上回答されたい。

12 給料以外(例えば年金、児童手当、児童扶養手当など)について、支給日に差し押さえを実施したケースは何件あるか、調査の上回答されたい。

13 同じく、支給日に預金全額を差し押さえたケースは何件あるか、調査の上回答されたい。

14 預金全額の差押えを実施した場合、被差押者はその後どのように生活すると想定しているか答えられたい。

15 差し押さえについて、門真市内部でマニュアルを作成しているか、作成しているのであれば任意に開示されたい。

  なお、今後、大阪社保協では、情報公開請求による資料の開示請求を検討している。そのことも念頭に置いて回答されたい。

以上

 

720日、門真市保険収納課と話し合いで課長から驚きの回答。

門真市からは、事前に「18については○○さんの個人情報にかかわることなので、○○さんが同席出来ないもとではお答えできない」として回答は拒否。

9からの回答については以下です。

 

【回答】2015年度預金口座差押えのうち

9⇒ 給料日の差押えは608

10⇒ 預金全額を差し押さえたのは44

11⇒ 給料日に預金全額を差押えたのは53

12⇒ 給料以外に支給日に差押えたのは  年金66件 児童手当・児童扶養手当0

13⇒ 支給日に預金全額を差押えのは 年金6

 

 

 

 

 

 

全額差押

一部差押

滞納額に満たない全額差押

合 計

給与・売掛金

53

311

244

608

年 金

6

38

22

66

預 金

44

2

496

542

合 計

103

351

762

1216

 

14⇒催告等にも応じず、来庁相談してもらえない場合は、期限内に納付している方との公平性を確保するため、差押を執行しています。差押執行後、来庁し、生活状況を聴き取ったうえで、差押禁止財産の感化をただちにすることにより生活の維持を困難にする恐れがあるときは換価の猶予により生活の維持を困難にする恐れがあるときは換価の猶予により、差押の解除を行います。

 

★門真市のやっていること、考え方

 ・門真市は鳥取の判決もあり、児童手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当、生活保護費のみの専用口座は差し押さえない。

・給与、年金等については、口座にはいった瞬間から預金債権に転化していると考えているので、全額差し押さえる。

・差押えは納付相談に来てもらうための手法、ツールという考え方。

・全額差押を行った半分程度は納付相談に来られ差押は解除している。

・他の市がなぜもっと差し押さえないのか、怠慢ではないかと考えている 。

 

★給与・年金にも差押禁止額が法律に定められている

多くの市町村は門真市のように「差押え禁止財産であっても預金口座に振り込まれた瞬間に預金債権に変わっているので給与や年金は全額差し押さえてもいい」と思っています。

しかし、鳥取児童手当高裁判決はこのように判断しました。

 

一般に、差押禁止債権に係る金員が金融機関の口座に振り込まれることによって発生する預金債権は、原則として差押等禁止債権としての属性を継承するものではないと解される(最高裁平成9(オ第1963号・平成10210日第3小法廷判決)。しかし、・・・・・本件預金債権の大部分が本件児童手当が本件口座に振り込まれた平成20611日午前9時の直後で本件差押えがされた同日午前99分の時点では、本件預金債権のうちの本件児童手当としての属性を失っていなかったと認めるのが相当である。

 

今回の○○さんの口座は619日の残金は殆どなく、620日に給料が振り込まれ、その日の午前中に全額差押えがされていますので、鳥取の事案とほぼ同じ状況です。

給与の差押え禁止額は徴収法76条1項、徴収法施行令34条により以下のように定められています。

 

差押え禁止額=A(給料から天引きされる所得税・住民税・社会保険料)+B(最低生活費相当額(現在は10万+4.5万×世帯主を除いた家族人数))+生活費の加算額((総支給額−A−B)の2割)

 

○○さんは1人世帯のため、少なくとも10万円+αは残さなければなりませんので、門真市は違法行為をしているということになります。その後、全額解除したからいいじゃないかというものではなく、「差押えは納付相談のためのツール」などというのは、とても法令遵守すべき行政の言葉とは思えません。

★今後の焦点〜門真市が大阪府・市町村国保広域化調整会議メンバー、さらな事業運営検討ワーキングチームメンバーでワーキングメンバーであることの意味

かつての門真市の収納率は70%台でしたが、劇的に向上し、現在90%台になっています。大阪では収納率向上の優等生となっており、大阪府内での市町村担当者むけ滞納処分のセミナーでの講師も務めています。

さらには、調整会議メンバーであり、かつ事業運営検討ワーキングのメンバーでもあることから、今後、門真市が行っているような滞納処分が大阪全域的に広がる危険性を孕んでいます。

 

★国保都道府県単位化の動きとからめ、滞納処分の実態をつかむホットラインの早期実施を検討

大阪社保協では、昨年から「クレサラ対協(全国クレジット・サラ金対策・生活再建問題全国連絡協議会)」や被害者の会や中央社保協に対して、実態をつかむための全国一斉ホットラインの開催を呼び掛けてきました。

大阪でも今回、門真市のような差押えの実態が明らかになったわけですから、全国とも連携しながら実態を把握する取り組みに全力を挙げる時だと考えます。

明日、25日の中央社保協総会でも、こうした取り組みの一刻も早い実施を提案したいと思います。

 

大阪市社会福祉審議会高齢者専門分科会が72714時〜浪速区役所で開催。利用者の選択権・ケアマネジャーの裁量を否定する「現行相当サービス判定スキーム案」に反対fax集中を!分科会傍聴を!!

大阪市社会福祉審議会の高齢者福祉専門分科会が7月27日(水)14時〜16時、浪速区役所7階会議室で開催されます。大阪市はこれで総合事業については最終決定とするつもりです。

前号で配信しましたが、来年度から実施される大阪市の「介護予防・日常生活支援総合事業」で「訪問介護員による現行相当サービス利用」は新総合事業移行前に既に介護予防訪問介護を利用している人は「現行相当サービス」が利用できますが、新規利用者は、主治医意見書で@「認知症高齢者の日常生活自立度」ランクU(日常生活に支障のある認知症)以上A「障害高齢者の日常生活自立度」ランクB(ベッド生活中心で車椅子利用)以上の人でないと「現行相当サービス」は利用対象となりません。それ以外の人が「現行相当サービス」(訪問型)を利用するには、「大阪市サービス判定会議」(月1回、事務局大阪市高齢福祉課)の判定を受けなければなりません。これでは、新規の利用者の大半が「基準緩和サービス」しか利用できなくなるものとなっています。

本来は、ケアマネジメントによって、一人ひとりの利用者の状態や希望を踏まえて「最適」なサービスを選択すべきものであるにも関わらず、このような機械的・一律的なやり方で線引きをして、現行相当サービスから排除するやり方は他に例を見ません。利用者のサービス選択権とケアマネジャーの専門性を否定する暴挙と言わざるを得ません。この方法に対する反対fax・メールを集中しましょう。

 大阪市福祉局 高齢者施策部  高齢福祉課 企画グループ 

 06-6208-8026  Fax 06-6202-6964

 E-mail fa0027@city.osaka.lg.jp(組織)

 

2016年7月

 

大阪市社会福祉審議会高齢者福祉専門分科会 委員 各位にお渡しください

 

利用者の選択権・ケアマネジャーの裁量を否定する

「現行相当サービス判定スキーム案」に反対してください

 

来年度から実施される大阪市の「介護予防・日常生活支援総合事業」 について、6月2日の大阪市社会福祉審議会高齢者福祉専門分科会保健福祉部会・介護保険部会において、「現行相当サービスの利用に係る判定スキーム案」が示されています。

この「判定」では、大半の新規訪問型サービス利用者は、大半が現行相当サービスの利用が出来なくなってしまいます。

利用者が希望しても、ケアマネジャーが最適と判断しても、機械的な基準で行政が振り分けるやり方は、利用者のサービス選択権とケアマネジャーの専門性を否定する暴挙と言わざるを得ません。

  貴委員におかれましては、次回の大阪市社会福祉審議会高齢者福祉専門分科会においての「判定スキーム案」が承認されることのないよう反対していただきますようお願いします。

私のひとこと