大阪社保協FAX通信 第1131号 2016.3.28
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3.24「大阪府統一国保に反対する緊急学習決起集会」に70人が参加、緊急行動を意思統一!
Fax通信1130号(3月17日付)で発信したとおり、大阪府は3月29日の「第3回大阪府・市町村国民健康保険広域化調整会議」において、「統一保険料率」「統一減免」「統一実務」つまり、「統一国保」の方向で「大阪府国民健康保険運営方針」の内容を協議・決定していくことで取りまとめようとしています。
大阪社保協では、1週間しか時間がありませんでしたが、緊急学習決起集会を呼び掛けました。当日、府内各地から70人もの皆さんがかけつけ、その内容について学び、緊急行動について意思統一をしました。
当日のレジュメについては、すでに大阪社保協「国保都道府県単位化問題」のページにアップしていますので、ぜひご覧ください。
http://www.osaka-syahokyo.com/16kokuken/k20160324r.pdf
☆第3回調整会議でまとめようとしている内容
@保険料率・・・・医療費水準の差が比較的小さいことを踏まえ医療費水準を加味せず統一
A市町村の保険料率・・・原則「標準保険料率」で統一
B保険料減免・軽減・・・・H30年度から原則「共通基準」で統一(激変緩和措置として当面は従前基準も可能)「共通基準」の財源は標準保険料率(事業費納付金)で賄う(激変緩和措置、かかる財源は各市町村の責任で一般会計法定外繰入・保険料率―の上乗せで対応)
C一部負担金減免・・・・H30年度から原則「共通基準」で統一(激変緩和措置として当面は従前基準も可能)「共通基準」の財源は標準保険料率(事業費納付金)で賄う(激変緩和措置にかかる財源は各市町村の責任で一般会計法定外繰入・保険料率―の上乗せで対応)
☆「共通基準」とは(3月16日の大阪府レクでの内容)
◆「共通基準」については、「一時的な理由によるものを想定」とするとのこと、一部負担金減免の国の基準である「特別な理由により生活が著しく困難となった場合」で、「特別の理由」は風水害、災害、事業・業務停止、失業などにより「一時的に所得が減少」した場合のみ。
□大阪府内市町村の減免は国保50猶予年の地域での運動の歴史を背景に、@所得減少減免だけでなく多くの自治体がA低所得者減免を設定し、さらにB障害者減免、Cひとり親減免、さらにはD借金減免、E多人数世帯減免などももつ自治体もある。こうした豊かな内容をもつ減免制度を低い「共通基準」に統一することは絶対に認められない。
□「共通基準」の原資を納付金、つまり保険料に求めると言うのも大きな問題。保険料減免
のために保険料が高くなるというのは本末転倒。現在は、条例減免の原資は「保険料」ではなく「一般会計法定外繰入」で賄う自治体が殆ど。なお、「激減緩和措置」は6年のみ、傾斜的に廃止になる。
☆大阪府統一国保への大阪社保協としての反論
大阪社保協として、以下のように反論します。
1.「医療費格差がない」というのは机上の空論である
大阪府は年齢調整(補正)をすると府内医療費格差は1.2だから「格差がない」と言っているが、それはあくまでも机上の計算であり、空論と指摘せざるを得ない。理由は以下の3点。
@1.2=1ではない
1.2が1である根拠が全くしめされていない。
A大阪の医療過疎地域が厳然としてある
そんな計算をしたところで、例えば山間部に都会からの病院が移転するはずもない。大阪府内にも医療過疎地域が厳然と存在し、産科がない、小児科がないという地域(河南地域、泉南地域)がある。
B医療費と医療内容は同一のものではない。
医療費は診療報酬をもとに支払われますが、診療報酬は診療行為に対して支払われるもので、医療内容、及び結果について支払われるのではない。
2. 肝心の保険料がどうなるのかという試算が全くされていない
□現時点においても大阪府は保険料試算をしていない。
□他の都道府県では、試算から検討がはじまっている。
□3月16日のレクでは「10月頃には」とのことだったので、結局仮システムが下りてからと
いうことではないか。
□意図的に試算していないのではないか。
□標準保険料率は一般会計法定外繰入をしない前提で計算するので、現行保険料より高くなるはず。
□全国ベースでも国の新たな支援3400億円が投入されても全国の市区町村による一般会計法定外繰入3900億円(2013年度)よりも少ない。
□現在の一般会計法定外繰入は全額そのまま維持したまま新たな財源を投入しなければ引下げ効果はでない。
□さらに大阪府国保特別会計で1本になり、市町村に交付されるのは特別調整交付金、大阪府特別調整交付金、基盤安定制度負担金、保険者努力支援等のみ。
□前期高齢者交付金が多く交付されている市町村は平準化されてしまうので影響が大きい(別紙一人当り試算表)
3.「一般会計法定外繰入」を赤字というには無理がある
□3月2日中央社保協厚生労働省交渉では、国民健康保険課企画法令係・舟津係長は「一般会計法定外繰入は、なくすように頑張ってほしい。特定健診など、政策的なものは繰り入れても構わない。無くせとまでは言えない。線引きは議論中だ」と回答。
□さらに、全国からこのガイドライン案での「一般会計法定外繰り入れ」については各県から意見が多数だされており、考え方は以下のように変更されるとの情報を得ている。
【ガイドライン案での記述】
@決算補填等目的
○保険料の負担緩和を図るため
○保険料の減免額に充てるため
○地方単独の保険料の軽減額
○単年度の決算補填のため
○累積赤字補填のため
○地方独自事業の医療給付費波及増等
○任意給付に充てるため
○医療費の増加
○後期高齢者支援金
○公債費、借入金利息
A決算補填等以外の目的
○保健事業費に充てるため
○直営診療施設に充てるため
○基金積立
○返済金
○その他
【修正案】
@決算補填等目的
A)保険者判断によらないもの
○単年度の決算補填のため
○累積赤字補填のため
○医療費の増加
○後期高齢者支援金
○公債費、借入金利息
B)保険者判断によるもの
○保険料の負担緩和を図るため
○保険料の減免額に充てるため
○地方単独の保険料の軽減額
○地方独自事業の医療給付費波及増等
○任意給付に充てるため
A決算補填等以外の目的
○保健事業費に充てるため
○直営診療施設に充てるため
○基金積立
○返済金
○その他
□ガイドライン案では、以下のように記載されており、市町村による政策的判断は尊重される。
(財政収支の改善に係る基本的な考え方) ○ 国保財政を安定的に運営していくためには、国民健康保険が一会計年度単位で行う短期保険であることに鑑み、原則として、必要な支出を保険料や国庫負担金などによりまかなうことにより、国民健康保険特別会計において収支が均衡していることが重要である。 ○ しかし、実際には、多くの市町村において決算補填等を目的とした法定外の一般会計繰入や前年度繰上充用が行われているのが現状である。 ○ 法定外の一般会計繰入の内訳についてみてみると、@決算補填等を目的としたもののほか、A保健事業に係る費用についての繰入などの決算補填等目的以外のものがある。 ○ このため、国民健康保険特別会計において、解消又は削減すべき対象としての法定外の一般会計繰入とは、法定外の一般会計繰入のうち上記@を指すものであり、各市町村の政策判断により積極的に行われている上記Aについては、必ずしも解消・削減すべきとまでは言えないものである。 都道府県及び市町村において、財政収支の改善等について検討を行うに当たっては、まずは、こうした解消・削減すべき対象としての「赤字」の範囲について認識の共有を図ることが重要である。 |
4.地方自治の否定〜保険料賦課等決定の権限は市町村にある
□都道府県国保運営方針は法令ではなく、法的な義務はなく、いわゆる「技術的助言」。
□ 技術的助言とは、地方自治法第245条の4第1項等の規定に基づき、地方公共団体の事務に関し、地方公共団体に対する助言として客観的に妥当性のある行為を行い、又は措置を実施するように促したり、又はそれを実施するために必要な事項を示すもの(「総務省における今後の通知・通達の取り扱い」平成263年7月12日付)。その内容は「法的拘束力」を持つものではなく、地方公共団体の自主性と自立性に配慮されたものでなければならない。
□保険料賦課決定の権限は都道府県ではなく市町村。市町村の権限を「方針」で奪うことは許されない。
☆各市町村の地域社保協及び各組織に対して以下の緊急行動提起、確認。
1)大阪社保協として大阪府に対して別紙要望書を3月24日に提出。
2)要望書提出について、各市町村にもfax。
3)調整会議委員の自治体の地域社保協および団体は緊急行動を!!(大阪市、茨木市、泉佐野市、寝屋川市、東大阪市、四條畷市、島本町、堺市、豊中市、羽曳野市、門真市、高石市、岬町、太子町)
4)マスコミにも情報提供を!!
5)大阪府に対しても直接抗議・要請faxを!!
★「拙速なとりまとめをするな!!」の声、いますぐ集中を!
緊急ではありますが、本日中に以下のような意見を大至急大阪府国保課へ寄せましょう!!
□保険料試算もしないで「統一保険料」との結論を拙速に出すな!!
□被保険者の苦しみは「高すぎる保険料」であり、さらに高額になるような統一国保料には絶対反対する!
□統一保険料、統一減免など地域の歴史と事情を無視したとりまとめをするな!
□大阪府に医療格差がないとなぜいえるのか?統一保険料にしたら大阪市・北摂豊能地域にある医療機関が私たちの地域に移転してくるのか!!医療水準格差が歴然としてあるのに保険料が統一など絶対に納得できない!!
□地方自治を尊重し、市町村の裁量権を蹂躙するな!!
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大阪府福祉部国民健康保険課広域化・制度推進グループ
TEL:06-6941-0351(代表)
内線2485,2473
06-6944-7128(直通)
FAX:06-6944-6684
国保への意見メールhttps://www.shinsei.pref.osaka.lg.jp/ers/input.do?tetudukiid=2008100058
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2016年3月24日
大阪府知事 松井一郎 様
大阪府・市町村国民健康保険広域化調整会議委員様
大阪社会保障推進協議会
会長 井上賢二
大阪府「国保統一化」に対する意見と要望
日頃より国民健康保険制度拡充にむけた取り組みにご尽力いただき、お礼申しあげます。
さて、大阪社保協では、これまで大阪府・市町村国民健康保険広域化調整会議及びワーキング資料の内容、及び国のガイドライン案等について注視してまいりました。
3月29日の第3回調整会議にむけて緊急ではありますが、以下のように意見と要望を提出いたします。
【意見】
1.「医療費格差がない」というのは机上の空論である
大阪府は年齢調整(補正)後の医療費市町村格差が1.2以下であり、それをもって「医療費格差がない」ことをと統一保険料計算ができる根拠としていますが、それは以下をもって机上の空論であると指摘せざるを得ません。
(1)1.2=1ではないし、1.2がなぜ格差がないといえるのか、根拠が全くしめされていません。
(2)仮に計算上の格差が1.2であるとしても、例えば山間部に都会からの病院が移転するはずもありません。さらに大阪府内にも医療過疎地域が厳然と存在し、産科がない、小児科がないという地域(例えば河南地域、泉南地域など)があります。
(3)そもそも医療費と医療内容は同一のものではありません。医療費は診療報酬をもとに支払われますが、診療報酬は診療行為に対して支払われるものであり、医療内容、及び結果について評価され支払われるのではありません。
2. 肝心の保険料試算が全くされていない
現時点においても大阪府は保険料試算をしていません。納付金や標準保険料の試算は直近の国民健康保険事業状況報告書(事業年報B表)を活用すれば算定することが可能であり、すでに他府県では試算がされ、その試算から検討が始まっています。
にも関わらず、試算もしないで「統一保険料」との結論ありきでは、あまりに杜撰かつ乱暴ではないでしょうか。
3. 一般会計法定外繰入を「赤字」というには無理がある
大阪府は一般会計法定外繰り入れについて「国が赤字といっている」と2月24日のレクチャーで述べておられましたが、3月2日中央社保協厚生労働省交渉では、国民健康保険課企画法令係・舟津係長は「一般会計法定外繰入は、なくすように頑張ってほしい。特定健診など、政策的なものは繰り入れても構わない。無くせとまでは言えない。線引きは議論中だ」と回答しました。
さらに、国のガイドライン案での「一般会計法定外繰り入れ」についての記述について各県から意見が多数だされており、保険者判断(政策的判断)によるものは引き続き認めるとし、その内容は「保険料の負担緩和、保険料の減免額に充当、地方単独の保険料の軽減額、地方独自事業の医療給付費波及増等、任意給付に充当」等の記述に変更されると聞いています。
4. 地方自治の否定〜保険料賦課等決定の権限は市町村にある
都道府県国保運営方針は法令ではなく、法的な義務はない、いわゆる「技術的助言」です。
技術的助言とは、地方自治法第245条の4第1項等の規定に基づき、地方公共団体の事務に関し、地方公共団体に対する助言として客観的に妥当性のある行為を行い、又は措置を実施するように促したり、又はそれを実施するために必要な事項を示すもの(「総務省における今後の通知・通達の取り扱い」平成263年7月12日付)で、その内容は「法的拘束力」を持つものではなく、地方公共団体の自主性と自立性に配慮されたものでなければなりません。保険料賦課決定の権限は都道府県ではなく市町村にあります。市町村の権限を「方針」で奪うことは法を逸脱しています。
つきましては、以上の点から以下、強く要望いたします。
【要望内容】
1. 保険料試算抜きに「統一保険料」との結論を拙速に出さないこと。
2. 被保険者の苦しみは「高すぎる保険料」であり、保険料負担を軽減するために市町村が独自の判断で実施している一般会計法定外繰入を否定するような取りまとめをしないこと。
3. 「統一減免」など地域の歴史と市町村の権限を無視したとりまとめをしないこ
と。
4. 以上、市町村の権限を一律に否定するような地方自治を尊重しない取りまとめを行わないこと。