大阪社保協FAX通信   1129号 2016.3.10

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35日「大阪社保協第26回総会」に70人が参加。

35日、「大阪社保協第26回総会」を開催、70人が参加し、活動を交流しあい、2016年度の活動について意思統一しました。以下概要を紹介します。

★井上賢二・大阪社保協会長あいさつ

 一億総下流社会ともいわれている状況の中、安倍内閣は国民無視、大企業優先の政治を行い、軍事国家、社会保障解体路線を突っ走っています。2025年団塊の世代が75歳を迎える高齢社会を見据えて、病院から地域へ、(川上から川下へ)中学校区単位で生活、住まい、医療、介護、予防を重視した構想を出しています。地域包括ケアー構想です。そこでは自己責任、安上がりの社会保障を目指しています。しかし、高齢者は生活を支える年金が少なすぎます。その少ない年金から、介護保険料が天引きされ、国保料は払いたくても払えない状況です。

私の見ている患者さんの中でも、一人暮らしで認知症があり、毎日診療所に来る人が3人もいます。相手をするのに30分は手を取られます。毎日同じ話を根気強く聞いてあげると安心して帰られます。80すぎの男性は子どもからは火事が怖いのでガスはとめられ、コンビニでの配達弁当を1日1食食べて生活しています。たまには温かいものが食べたいと言っています。年金10万円ちょっとの老夫婦は家賃5万円払うと生活だけで精一杯で、入れ歯がいれられずに困っています。家賃補助2万円でもあれば入れ歯が入れられるのにと思います。例を挙げればきりがありませんが、あと10年後には大阪府では75歳以上の単身世帯は40万人(1.9倍)認知症老人46.7万人(1.5倍)に増えます。生活の保障や居場所の検討が必要です。

 

こうした人たちを支えるべき介護保険は1昨年の改定で報酬が下げられ、小規模事業所や施設はつぶれていっています。さらに追い打ちをかけるように、要支援者は自治体の総合事業に移行し、その事業をこれまで道理やっていても収入は3分の2に減らされる計画です。これではやっていけません。入所では要介護V以上でないと入れません。特養待ちは依然として52万人を超え、減ることはありません。

 

大阪社保協ではこのままの介護保険制度では保険料はとられるが利用できず、国家的詐欺と言われている介護保険の抜本的見直しを提言できるよう今年1月にプロジェクトチームを立ち上げました。1年かけて検討していきます。

もう一つはある地域を設定して貧困状況の実態を調査し、マスコミに発表し政策提言をしたいと考えています。もう一つは住民が中心になり、協同組合をつくり、技術の集積、文化を守り、創造都市と言われているイタリア、ボローニヤの視察旅行を企画しています。国の社会保障の充実と同時に地方自治体の役割は何か改めて考える機会にしていきたいと考えています。

 

そうは言っても、住民の要求は待ったなしです。シングルマザーから生活保護受給をことわられ明日の生活が見えない切実な声も寄せられています。子どもの貧困も深刻です。この人たちに手を差しのべるためには、地域で運動する団体が情報を共有し、互いに助け合うネットワークづくりが必要になってきています。大阪の地域社保協もブロックの連携が進んできています。一つの地域社保協だけで解決できないことはこのブロックで助けあって活動するスタイルにかえていきましょう。事務局長が4人増えることになります。

3人いたら地域社保協ができると言ってきましたが、行動起こす社保協にするには15人か20人ぐらいの人数が必要です。3人では1人が都合悪くなれば2人では活動になりません、20人ぐらいになると、1人や2人、都合が悪くなっても行動できます。そうすると隣近所の地域社保協が「地域の枠」をこえて、連携し援助する必要があります。大阪的な行事は全府下からの力の結集が必要です。それぞれの組織は自分たちの要求で精いっぱいで、社保協どころではないと思います。「組織の枠」をこえ、他の組織の運動を支援する中で、自分ところの運動の展望も開けると思います。同じ方向を向いて活動する仲間同士が一緒になって、楽しく活動していきましょう。以上で挨拶といたします。

  2016年度の活動の柱

1)介護保険抜本見直し提言づくり(20161月からスタート)

2000年に「社会保障改革のフロントランナー」として始まった介護保険制度は今、社会保障解体攻撃の中で制度全般に及ぶ大改悪が始まりました。当面は、この制度改悪を許さない運動の構築が課題となります。

大阪社保協は1990年代後半、大阪労連とともに、全国で唯一、介護保険制度導入に最後まで反対した組織で、「保険あって介護なし」というスローガンは私たちが掲げたものですが、いま、残念ながらまさにその言葉通りの事態となっています。

警察庁によると、無理心中を含む、介護、看病疲れを動機とする殺人事件は2012年に全国で計40件発生。統計を取り始めた07年は30件で、年間50件前後で推移し、6年間で計246件起きています。

最近では、201511月に熊谷市で起きた事件は長年介護をしていた娘が81歳の認知症の母親と74歳の父親 を車に乗せ利根川に飛び込んだというもの。生活苦と介護疲れによる心中殺人事件と報じられました。

また、障害者が65歳になったとたん、本人の意思には関係なく介護保険優先となり、障害者サービスが使えなくなることで様々な生活困難を引きおこしている「65歳問題」は、介護保険そのものの問題点を障害者側から提起されていると言えるでしょう。

大阪社保協では、今年度1年をかけて、総合社会福祉研究所の協力も得ながら、国民の「介護保障」要求を実現するために、介護保険制度そのものが有している問題点を明らかにし、さらに現行制度の枠内にとどまらない抜本的な見直しに向けたオープンな議論を行い、提言を発表します。

2)生活実態・貧困調査に取り組む(どこに住み、何を食べ、どうくらし、どんなことに困っているのかを聴き取る)

大阪社保協では、200910月に2日間をかけて「門真国保実態調査」を実施しました。これは国保と貧困の実態調査であるとともに、単なる学術調査ではなく、アクションリサーチ(はたらきかける調査)、調査によって国保問題を世に問う、という取り組みでした。2日間で述べ500人を超える調査員がボランティアで参加し対面調査を行い、855件のアンケート回答が集約されました。多くのマスコミが殺到し、取材・報道しました。まさに私たちのこの調査が国保料の高さを社会問題化したのです。

あれから7年。安倍政権と橋下大阪府・大阪市行政のもとで、大阪の人々は2重苦を抱え、貧困はさらに広がっていることは前述したとおりです。

高齢者の貧困、子どもの貧困など実態は深刻ですがそれを統計的に表すデータがありません。例えば大阪市が3年に一度介護保険事業計画策定の準備段階で取り組む高齢者調査では、肝心の収入把握がありません。さらに子ども調査はまだ殆ど実施されていません。

どこで、どのような形で実施するのかはこれから地域調査の若手の専門家・研究者の協力も得て検討し、企画を立てますが、声なき声を聞き、代弁する調査活動に取り組みたいと思います。

3)生活実態調査も踏まえて大阪での地域包括ケアシステムを考える

大阪府保険医協会・大阪民医連など医療関係団体や学者研究者とともに、所謂「川上から川下(病院から、施設から地域へ)」の実態をつかみ、さらに生活実態・貧困調査での実態をふまえ、大阪での現状を浮き彫りにしたうえで、政策提言を行います。

4)大阪社保協再建25周年記念イタリア・ボローニャ視察旅行(2016108日〜1015日)

大阪社保協ではこれまで1992年にデンマーク・スウェーデン、2001年オランダ・スウェーデン、2010年フランスを訪ね、その国の社会保障制度や考え方、たたかいについての視察旅行を実施し、大阪社保協運動に活かしてきました。

2016年度は「再建25周年」企画としてイタリアの一都市であるボローニャを訪ねることとします。ボローニャは「創造都市」と呼ばれ、「自主独立、共生、トレランス(自分と異なる意見や生き方の人々を受け入れようとする意思)をはるか昔から体現している街である」(「ボローニャの大実験」星野まりこ著より)

今回のボローニャ視察は地方自治体を視察する旅となります。故平井正也前会長が常におっしゃっていた「Think  Globally  Act L Ocally (地球的規模で考え地域で活動する)」をまさに具現化する企画になります。

 

1.  具体的な活動方針(骨子のみ、詳しくは大阪社保協ホームページで)

(1)全地域での社保協結成と全ブロックでの活動をめざそう

  (2)いままでつながりのなかった団体・個人との連携をひろげよう

  (3)自治体キャラバン行動のレベルアップをしよう

  (4)具体的な相談活動・支援活動を地域ですすめよう

  (5)要支援・要介護1.2を切り捨てさせない運動を

  (6)正念場となる国民健康保険・医療のたたかい

  (7)いのちまもる生活保護・年金に

  (8)シングルマザーと子どもの貧困解決を重点課題に

  (9)地域・小単位での学習会を、さらに「議員向け研修会」を開催

  (10)中央社保協・近畿ブロックとの連携をさらにすすめます

  (11)財政・組織問題

 

 

 

17の団体・地域社保協から活動のご報告をいただきました(主旨)

 

@大商連「生野区児童手当差押え問題について」

A引下げアカン!大阪の会「生活保護基準引き下げ違憲訴訟について」

B大阪自治労連・府職労「大阪府立病院の状況報告」

C大阪民医連「経済的事由による死亡事例調査について」

D大阪府歯科保険医協会「2015年学校歯科治療調査の報告」

ENPO法人大阪難病連「社会保障(とりわけ医療分野)の切り下げ攻撃について」

F福祉保育労大阪地方本部「社会福祉法等改正問題及び福祉人材問題について」

G富田林社保協「ブロック会議の役割と富田林の状況について」

H茨木社保協「茨木社保協の活動について」

I介護保険料に怒る一揆の会「介護保険をめぐる動きとたたかいの課題について」

J年金者組合大阪府本部「年金削減違憲訴訟と支援のおねがい」

K住之江区社保協「住吉市民病院存続の闘い」

L堺社保協「初めての区役所キャラバンの取り組みと国保・介護問題の取り組みについて」

M西淀川社保協「大阪市国保料差押え問題について」

N松原社保協「子ども医療費助成問題について」

O大阪狭山社保協「大阪狭山社保協結成といままの運動について」

P大阪府保険医協会「大阪府地域医療構想について」

 

 

大阪社保協第26回総会アピール

日本社会に貧困が蔓延しています。6人に1人が貧困に苦しみ、子どもの貧困率はOECD加盟国34カ国で最悪の状態と指摘されています。とりわけ「ひとり親家庭」の子どもの貧困率は50%を超え、深刻な問題となっています。

ひとり親家庭、雇用の不安定と非正規雇用など格差と貧困の問題は現役世代だけの問題ではありません。厚生労働省が行った平成24年の「国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯の5割以上が「生活が苦しい」と訴えています。家賃を払えばほぼお金が残らない貧しい国民年金制度。そして一旦医療や介護が必要な事態になれば、一定の収入があった高齢者にも「老後破産」「下流老人」はいつも隣り合わせの状況であり、今の日本はいつ誰が「貧困層」に堕ちても不思議でない状況です。

 

来年度予算案では、大企業の儲けを優先した減税や、憲法違反の安保法制のもと5兆円を超える軍備費の拡大が目を引きます。一方で、消費税10%増税を前提とした議論を進め、社会保障分野には大鉈を振るっています。

政府の「骨太の方針2015」では、1兆円といわれる社会保障費の自然増分を毎年5000億円に押さえ込む方針を示しています。厚労省は社会保障費の来年度概算要求で自然増分を当初6700億円としていました。しかし、財務省が5000億円までの圧縮を求めた結果、今回の診療報酬改定では1500億円も削減されました。そして、この夏の参議院選挙後にはさらなる患者負担増計画を打ち出そうとしています。

 

一方大阪では、昨年のW選挙で「おおさか維新の会」の知事と市長が当選しました。多くの府民は暮らしの安定を求めています。しかし、今の“維新政治”は、府民の施設や施策を潰す一方で、一兆円を超える巨大開発を進めています。国保の「統一保険料」を目指した動きもあり、住民運動と自治体が50年以上かけて培ってきた独自の減免制度や様々な事業が「平準化」されることが危惧されます。また、介護分野では、介護保険給付から要支援者を外し、自治体の「新総合事業」に移管させられることによって、今まで通りのサービスが受けられない危険性も出てきています。

 

今日本の政治がやらなければならないことはなにか。

300兆円を超えるといわれる大企業の内部留保を活用し賃金を上げ、雇用を拡大すること。そして不要不急の防衛装備の過剰な拡大をやめ、その分を社会保障費に使うこと。これだけで、国民の暮らしは大きく改善されます。

 

大阪社保協はこれまで、貧困と格差に苦しむ人たちの相談活動をすすめ、その実態を告発するとともに、地域の医療・福祉の改善に取り組む団体や住民の方々と連帯し、住民の命と暮らしを守る活動を進めてきました。そして自治体キャラバンなどを通して、自治体からの支援を勝ち取ってきたことが、あらたな医療・福祉制度の改善運動につながっています。こうした活動に確信をもち、大阪社保協の活動を更に大きく発展させ、社会保障の拡充を実現させましょう。

 

2016年3月5日

大阪社会保障推進協議会 第26回総会

 

★祝電・メッセージをありがとうございました!!(敬称略でご紹介します)

【自治体首長】

泉南市長 竹中勇人  寝屋川市長 北川法夫  羽曳野市長 北川嗣雄  岸和田市長 信貴芳則  貝塚市長 藤原龍男  和泉市長 辻みちひろ 茨木市長 木本保平  吹田市長 後藤圭二 

大阪狭山市長 古川照人  枚方市長 伏見隆  豊能町長 田中龍一  熊取町長 藤原敏司  

田尻町長 栗山美政  岬町長 田代尭  島本町長 川口 裕

 

【議会議長】

堺市議会議長  東大阪市議会議長  八尾市議会議長  富田林市議会議長 和泉市議会議長  

田尻町議会議長  能勢町議会議長   

 

【地方社保協】 

長野県社保協  神奈川県社保協  東京社保協  茨城県社保協  福島県社保協  兵庫県社保協  滋賀県社保協  青森県社保協  埼玉県社保協  岡山県社保協  大分県社保協  徳島県社保協  京都社保協  三重県社保協

 

【友誼団体】 

全国クレサラ・生活問題再建対策協議会  全国クレサラ・生活再建問題被害者協議会

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★当面の会議・取り組みのご案内☆★☆★☆★☆★☆★☆★

317日(木)2016年度第1回常任幹事会(18時〜 国労会館)

322日(火)社保協北河内ブロック会議(14時〜 けいはん医療生協本部)

328日(月)社保協河南ブロック会議(14時〜 松原民商)

324日(木)介護保険対策委員会(19時〜 大阪民医連)

42日(土) 第2回滞納処分差押え問題西日本集会(岡山市内)

47日(木) 大阪社保協第1回事務局会議(14時〜 大阪社保協事務所)

        泉州ブロック会議(18時半〜 岸和田市総合福祉会館)

418日(月)滞納処分対策委員会

※北摂・豊能ブロック会議についても、今後日程調整いたします。