大阪社保協FAX通信   1121号 2015.12.22

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来年1月、国保都道府県単位化問題で国・厚生労働省からガイドライン案(納付金・標準保険料率の考え方、都道府県国民健康保険事業計画案等)提示、10月には計算システムにより納付金・標準保険料率の試算可能に!!

★国の動き〜7月から非公開で国と地方の協議進む

今年7月から毎月一回ペースで国と地方との協議ワーキンググループでの議論が始まっているが、この会議は非公開のため国会議員団を通しても資料が公開されません。

★年明け1月には概要が示され3月末には決定、10月には納付金と標準保険料の具体的な試算ができるようになる

930日付厚生労働省事務連絡「国民健康保険改革に係る平成27年度の主な進め方等について(周知)」を発出し、さらに「平成28年度における都道府県・市町村の主な準備事務」について示しました。  

それによると「現在、国保基盤強化協議会の事務レベルWGにおいて、新しい財政運営の仕組み(国民健康保険事業費納付金や標準保険料率等の仕組みの詳細)や、国民健康保険運営方針のガイドライン等に関する議論を行っているところ。これらについては、平成281月頃に各自治体へ改革案を視野に入れ、同WGにおいて協議を行う予定」としているので、来年早々にはガイドライン案が提示され、都道府県での協議は一気に進みだすこととなります。

 

 

930日事務連絡「国民健康保険改革に係る平成27年度の主な進め方等について(周知)

 

(都道府県と市町村の協議の場)

○現在、国保基盤強化協議会の事務レベルWGにおいて、新しい財政運営の仕組み(国民健康保険事業費納付金や標準保険料率等の仕組みの詳細)や、国民健康保険運営方針のガイドライン等に関する議論を行っているところ。

これらについては、平成281月頃に各自治体へ改革案を提示することを視野に入れ、同WGにおいて協議を行う予定であるが、都道府県においては、現段階からも、市町村との議論の場を設置の上、安定的な財政運営や、市町村が担う事務の効率化・標準化・広域化に向けた議論を推進し、その後の都道府県と市町村との協議がより円滑に行われるように取り組むことが望まれる。

なお、(参考1)「都道府県と市町村の協議の場設置参考例」については、今般の国保改革を踏まえて設置された都道府県と市町村との協議の場の具体的な事例であり、こうした取組も適宜参照されたい。

(国民健康保険運営協議会)

○都道府県においては、国民健康保険事業費納付金の徴収(算定方法の決定等)や国民健康保険運営方針の作成等の重要事項について、都道府県の国民健康保険運営協議会の審議を経る必要があることから、平成30年度からの新制度の施行に向けて、平成29年度には国民健康保険運営協議会を設置する必要があるが、地域の実情に応じて、平成28年度から、国民健康保険運営協議会(又はその前身となる機関)を設置し、審議を行うことも考えられる。

そのため、厚生労働省においては、本年中に国民健康保険運営協議会の詳細(委員の構成等)を各自治体に提示することを視野に入れ、今後、協議を行う予定である。

(国保保険者標準事務処理システム)

○新制度に対応したシステムについては、現在、地方の意見を伺いながら詳細設計について検討を進めているところであるが、都道府県及び市町村が当該システムを導入するに当たっては、それぞれの実情に応じて、平成28年度以降、既存のシステムの改修や必要な機器の整備等を進める必要がある。((参考2)及び(参考3)参照。)

そのため、都道府県及び市町村におけるシステムの導入に係る事務が円滑に行われるよう、本年中に、システムの調達仕様書を開示する方針である。

なお、厚生労働省は、平成28年度予算の概算要求において、システムの開発に要する経費(都道府県分、市町村分、国保中央会分)を要求している。

(財政安定化基金)

○財政安定化基金に係る条例準則(基金の設置に係る条例)及び平成27年度における各都道府県に対する財政安定化基金の交付額については、別途通知する予定であり、都道府県においては、今後、当該通知も参照に、遺漏なき対応をいただきたい。

 

★都道府県国民健康保険運営方針ガイドライン案に何が盛り込まれるか

今年5月29日に、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が公布されました。

7条に「都道府県国民健康保険運営方針等に関する事項」が定められ、以下のようにかかれています。

 

1 都道府県は、都道府県等が行う国民健康保険の安定的な財政運営並びに当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の広域的及び効率的な運営の推進を図るため、都道府県及び当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の運営に関する方針を定めるものとする。

2 都道府県は、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県内の市町村ごとの保険料率の標準的な水準を表す数値等を算定するものとする。

 

つまり、その都道府県ごとの保険料だけでなく、事務も含めて国保全体の運営をどこまで統一し、平準化し、そして市町村区ごとに個別に運営していくのかを決めるものとなりますので、ガイドライン案にどのように示されるかが大きな焦点となります。

1月早々には示される予定ということですので、内容が判明次第、詳細をお知らせします。

★厚生労働省・国保連は「標準事務処理システム」を開発中 

これは、希望する市町村に無料配布するソフトで、@納付金や標準保険料の計算が出来る国保事業費納付金等算定標準システム、A都道府県ごとの保険証となるために都道府県と市町村の被保険者データの共有するための国保情報集約システム、B市町村の事務処理機能システム、の三つの機能をあわせもつシステムとなります。

 

【スケジュール】

20161月   標準保険料率等算定ガイドライン案提示

20164月   納付金算定システムと情報収集システムに係るインターフェイス仕様

書を公開。市町村事務処理システムの要件定義書の公開

    20166月までに  標準保険料率算定に必要な600項目データ提示

    2016年夏     市町村事務処理システムの基本設計公開、市町村に導入意向調査

    201610月   納付金算定、標準保険料率等試算システムを都道府県に無料配布

    20144月までに  財政安定化基金、国保事業費納付金に係る現金管理機能システム提供

2015年度からの保険者支援制度の新たな1700億円と2018年度からの財政安定化基金都道府県ごとにシュミレーション作成

以下の表は全国の都道府県ごとの国保被保険者数によって単純按分したものです。@の今年からの1700億円については、低所得者(政令軽減7割、5割、2割軽減の対象者数)によって按分されるので単純シュミレーションとは一致しませんが、A財政安定化基金2000億円については、11月の中央社保協と厚生労働省レクチャーで担当者が「被保険者数で単純配分を考えている」と述べていましたのでほぼ正しいと思います。

被保険者数での単純シュミレーション

 

都道府県名

被保険者数(H25

構成比

@   保険者支援制度1700億円の配分(億円)

A   財政安定化基金2000億円の配分(億円)

1

北海道

1,424,780

4.19%

71.30

83.88

2

青森県

413,599

1.22%

20.70

24.35

3

岩手県

336,869

0.99%

16.86

19.83

4

宮城県

589,428

1.73%

29.49

34.70

5

秋田県

271,056

0.80%

13.56

15.96

6

山形県

280,785

0.83%

14.05

16.53

7

福島県

527,197

1.55%

26.38

31.04

8

茨城県

881,308

2.59%

44.10

51.88

9

栃木県

569,573

1.68%

28.50

33.53

10

群馬県

579,318

1.71%

28.99

34.10

11

埼玉県

2,033,607

5.99%

101.76

119.72

12

千葉県

1,769,597

5.21%

88.55

104.18

13

東京都

3,666,021

10.79%

183.45

215.82

14

神奈川県

2,344,623

6.90%

117.32

138.03

15

新潟県

565,047

1.66%

28.27

33.26

16

富山県

239,252

0.70%

11.97

14.08

17

石川県

277,836

0.82%

13.90

16.36

18

福井県

181,996

0.54%

9.11

10.71

19

山梨県

244,968

0.72%

12.26

14.42

20

長野県

551,996

1.62%

27.62

32.50

21

岐阜県

560,934

1.65%

28.07

33.02

22

静岡県

1,018,990

3.00%

50.99

59.99

23

愛知県

1,866,784

5.49%

93.41

109.90

24

三重県

455,790

1.34%

22.81

26.83

25

滋賀県

324,256

0.95%

16.23

19.09

26

京都府

652,810

1.92%

32.67

38.43

27

大阪府

2,469,595

7.27%

123.58

145.39

28

兵庫県

1,405,236

4.14%

70.32

82.73

29

奈良県

370,746

1.09%

18.55

21.83

30

和歌山県

306,319

0.90%

15.33

18.03

31

鳥取県

143,266

0.42%

7.17

8.43

32

島根県

157,298

0.46%

7.87

9.26

33

岡山県

462,836

1.36%

23.16

27.25

34

広島県

675,561

1.99%

33.81

39.77

35

山口県

355,662

1.05%

17.80

20.94

36

徳島県

185,720

0.55%

9.29

10.93

37

香川県

241,446

0.71%

12.08

14.21

38

愛媛県

382,004

1.12%

19.12

22.49

39

高知県

207,225

0.61%

10.37

12.20

40

福岡県

1,292,458

3.80%

64.67

76.09

41

佐賀県

214,984

0.63%

10.76

12.66

42

長崎県

400,123

1.18%

20.02

23.56

43

熊本県

508,516

1.50%

25.45

29.94

44

大分県

298,858

0.88%

14.95

17.59

45

宮崎県

329,267

0.97%

16.48

19.38

46

鹿児島県

454,086

1.34%

22.72

26.73

47

沖縄県

483,239

1.42%

24.2

28.45

 

合計

33,972,865

 

 

 

平成25年度国民健康保険事業報告より大阪社保協作成

そして、早ければ来年10月に都道府県に簡易システムが配布されます。
それから、納付金や標準保険料率の計算ができることとなりますので、いよいよ、わが自治体の保険料はどうなるのかという具体的な数字が出てくることとなります。

もめますね。当然。

まずどれだけの納付金となるのか。
都道府県の納付金は簡単にでますけど、
問題は市町村ごとの納付金。

納付金は医療費水準の高いところ、そして被保険者の所得水準の高いところにおおく割り当てられます。

さらに標準保険料率計算には一般会計法定外繰入は入れずに計算するので、法定外繰入をしている自治体には恐ろしく高い料率がでるはずです。

 

★大阪府は「統一国保」「統一保険料」目指し突き進んでいる

一方、大阪では法が通る前、525日に「大阪府・市町村国民健康保険広域化調整会議」が立ち上がっており、毎月1回ペースで2つのワーキングが開催されています。

さらに大阪府が作っている資料をみると、厚生労働省とは常に連絡を取り合っていることがわかります。           

525日  第1回大阪府・市町村国民健康保険広域化調整会議

⇒大阪府ホームページにアップ

http://www.pref.osaka.lg.jp/kokuho/iryouseido/h27_tyouseikaigi01.html

72日   第1回財政運営検討ワーキンググループ

79日   第1回事業運営検討ワーキンググループ

          ※両WGとも「議論の方向性について」

86日   第2回財政運営検討ワーキンググループ

811日  第2回事業運営検討ワーキンググループ

          ※両WGとも「国保事業費納付金等の算定方法等について」

99日   第3回財政運営検討ワーキンググループ

911日  第3回事業運営検討ワーキンググループ

          ※両WGとも「標準化に関する検討について」

105日   第4回財政運営検討ワーキンググループ

108日   第4回事業運営検討ワーキンググループ

          ※両WGとも「今後の検討の方向性について」

1027日  第2回大阪府・市町村国民健康保険広域化調整会議

⇒大阪府ホームページにアップ済

http://www.pref.osaka.lg.jp/kokuho/iryouseido/h27_tyouseikaigi02.html

129日   第5回事業運営検討ワーキング

1221日  第5回財政運営検討ワーキング

 

★大阪府の「統一保険料」の根拠〜府内で医療費格差が殆どない

 

大阪社保協では、毎月2つのワーキングがおわった時点で会議資料を公文書公開請求しており、開示の時には必ず30分〜1時間、主査に時間をとっていただきレクチャーをうけています。

1027日の調整会議資料はすでに大阪府国民健康保険課のホームページにアップされているのでぜひみていただきたいのですが、財政運営ワーキング(おもに保険料に関する検討)や事業運営ワーキング(おもに市町村事務に関する検討)の検討内容を見ていただければ明白ですが、すべて「統一保険料をめざす」として議論が展開されています。

 

□財政運営検討ワーキングの検討内容

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/5211/00203264/11_zaiseiWGhoukousei.pdf

 

□事業運営検討ワーキングの検討内容

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/5211/00203264/12_jigyouWGhoukousei.pdf

 

そして、統一保険料率の根拠を「府内市町村の医療費格差は殆どない」からだとしています。国も同様の調整をするのですが、医療費については、高齢者(65歳から74)が多ければ医療費が膨らむので、「どの自治体も仮に同じ年齢構成にするとどうるのか」という年齢調整が行われます。大阪府はすでに試算しており、それが以下の資料です。

 

□年齢調整のイメージ

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/5211/00203264/43_sankou_nenreihoseiimage.pdf

 

□年齢調整後の医療費

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/5211/00203264/44_sankou_nenreihoseigoiryouhi.pdf

 

 この年齢調整後の試算では、大阪府の医療費格差が1.181.9なので、「格差はない」としているのです。

 そして調整会議の議事録を見ると、概ね委員からは「統一の方向性で議論をすすめていく」という声が上がっているというのが現状です。

 

□議事録

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/5211/00203264/30_gijiyoushi.pdf

 

★大阪府は3月取りまとめ?!128日に大阪社保協として学習会開催、224日には大阪府招いて「説明会」も企画

大阪府は20163月には一定のとりまとめをするとしています。

1月には国のガイドライ案もだされますので、その内容と大阪府での議論内容も踏まえ学習会をし、大阪府に大阪社保協としての「意見書」「要望書」を提出したいと考えています。

また、224日には大阪府の主査をお招きしての「説明会」も企画しています。ぜひご参加ください。

 

 

 

 

 

国保都道府県単位化を学びどうたちむかうかを考える学習会

 

2018年度から国保の保険者は都道府県と市町村となり共同運営となりますが、実際には都道府県が財政を握り大きな権限を持つこととなります。

年明け1月早々には、納付金や標準保険料の考え方、都道府県国民健康保険運営方針のガイドライン案などが示され、いよいよ本格的に動き出します。

一方、大阪では全国で最も早く「調整会議」が立ちあがり、「統一国保」にむけてワーキングが会議を開くなど動きが急となっています。

 大阪社保協では標記の学習会を開催し、国及び大阪府の最新情報をもとに、1961年以降大阪で積み上げてきた市町村国保を守るためにはどうすればいいのかを考えます。

 ぜひ参加ください。

 

★と き 2016年1月28日(水)6時30分〜9時

★ところ 大阪府保険医協会M&Dホールhttps://osaka-hk.org/access/

★資料代  500円

  主催 大阪社会保障推進協議会 

fax06-6357-0846 メールosakashapoppy.ocn.ne.jp

  資料印刷の関係上、事前にfaxでお申し込みください。

         

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

201.1.28国保都道府県単位化問題学習会

 

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