大阪社保協FAX通信 第1115号 2015.10.08
メールアドレス:osakasha@ poppy.ocn.ne.jp 大阪社会保障推進協議会
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本日、大阪府内通所介護事業所調査報告及び提言をプレス発表。小規模デイサービス(10人以下)は「存続の危機的状態」。大阪府・大阪市にも同時に提出。
大阪社保協では、各地域社保協の協力も得て7月8月に実施した「大阪府内通所介護事業所調査報告」と「通所介護事業所調査を踏まえての提言」を府政記者クラブでプレス発表しました。
ここでは、概要を報告しますが、分析内容など正式な報告書全文は大阪社保協ホームページ⇒大阪府内通所介護事業所調査関連資料のページにアップしておりますのでご覧ください。
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大阪府内通所介護事業所アンケート報告概要
■アンケートの送付・回収状況
@対象 大阪府内の指定通所介護事業所
A時期 2015年7月6日〜8月31日
B方法 大阪社保協及び地域社保協から郵送で送付。
回収はFAXまたは郵便で返送。地域社保協によっては事業所訪問
C件数 1818事業所 返戻 49 実質 送付は1769件 回答数 592事業所 回収率(33%)
■通所介護事業所アンケート集計結果
1 事業所概要
(1)運営主体
株式会社/有限会社 |
NPO法人 |
社会福祉協議会 |
社会福祉法人(社協以外) |
医療法人 |
協同組合 |
その他 |
63% |
3% |
2% |
20% |
6% |
3% |
2% |
(2) 事業所の利用定員
利用定員 |
比率 |
10人以下 |
21.2% |
11人〜20人 |
26.6% |
21人〜30人 |
23.3% |
31人〜40人 |
12.1% |
41人〜50人 |
3.9% |
51人以上 |
12.9% |
(3)利用者数(要支援・要介護別)
要支援1.2 |
要介護1-5 |
合計 |
2,308.7人 |
8,980.9人 |
11,289.6人 |
20.5% |
79.5% |
|
(4)お泊りサービス実施状況
お泊りサービス実施 |
お泊りサービス未実施 |
43 |
506 |
7% |
85% |
(5)介護報酬改定前と比べて事業所の収入の変化
収入増 |
増収率(%) |
ほぼ同じ |
収入減 |
減収率(%) |
3% |
10.5
% |
21% |
71% |
-11.7
% |
(6) 減収事業所の 減収率
減収率 |
比率 |
30%以上 |
4.7% |
20〜29% |
11.4% |
10〜19% |
47.8% |
10%未満 |
36.1% |
(7)事業所規模別の「介護報酬改定前と比べて事業所の収入の変化」
定員 |
増 |
増収率(%) |
ほぼ同じ |
減 |
減収率(%) |
10人以下 |
3.3% |
18.2 |
14.1% |
85.1% |
-12.2 |
11人〜20人 |
1.3% |
19.7 |
17.1% |
75.7% |
-12.6 |
21人〜30人 |
3.0% |
4.7 |
27.8% |
61.7% |
-11.2 |
31人〜40人 |
0.0% |
|
32.9% |
60.0% |
-9.4 |
41人以上 |
6.9% |
4.9 |
20.7% |
69.0% |
-11.3 |
(8)加算取得の状況
加算種別 |
個別機能訓練加算T |
個別機能訓練加算U |
認知症加算 |
中重度ケア体制加算 |
延長加算 |
若年性利用者受け入れ加算 |
栄養改善加算 |
口腔機能向上加算 |
サービス体制強化加算 |
その他の加算 |
取得率 |
20% |
39% |
5% |
17% |
12% |
6% |
2% |
7% |
47% |
7% |
(9)加算取得の状況(事業所規模別)
|
個別機能訓練加算T |
個別機能訓練加算U |
認知症加算 |
中重度ケア体制加算 |
延長加算 |
若年性利用者受け入れ加算 |
栄養改善加算 |
口腔機能向上加算 |
サービス体制強化加算 |
その他の加算 |
10人以下 |
14.9% |
33.9% |
3.3% |
2.5% |
14.0% |
5.8% |
0.0% |
4.1% |
27.3% |
6.6% |
11人〜20人 |
17.1% |
36.2% |
5.3% |
18.4% |
6.6% |
3.3% |
0.0% |
8.6% |
46.1% |
7.9% |
21人〜30人 |
14.3% |
36.1% |
7.5% |
25.6% |
5.3% |
2.3% |
1.5% |
7.5% |
61.7% |
5.3% |
31人〜40人 |
31.4% |
51.4% |
8.6% |
28.6% |
2.9% |
8.6% |
0.0% |
8.6% |
65.7% |
4.3% |
41人以上 |
31.0% |
43.1% |
2.6% |
15.5% |
7.8% |
2.6% |
|
8.6% |
41.4% |
7.8% |
(10)介護職員処遇改善加算取得状況
処遇改善加算T |
処遇改善加算U |
処遇改善加算V |
取得していない |
70% |
17% |
1% |
10% |
(11)介護職員処遇改善加算取得状況(事業所規模別)
|
処遇改善加算T |
処遇改善加算U |
処遇改善加算V |
取得していない |
10人以下 |
63.6% |
15.7% |
0.8% |
15.7% |
11人〜20人 |
65.1% |
21.7% |
0.7% |
10.5% |
21人〜30人 |
77.4% |
12.0% |
0.8% |
6.8% |
31人〜40人 |
78.6% |
12.9% |
0.0% |
7.1% |
40人以上 |
69.0% |
19.8% |
0.0% |
9.5% |
(12)処遇改善加算を取得している事業所の賃金改善の方法(複数回答)
基本給改善 |
手当の新設・改善 |
賞与・一時金支給 |
その他 |
26% |
35% |
51% |
0% |
(13)報酬改定への事業所としての対策(複数回答)
サービス提供形態見直し |
利用者数を増やす |
人件費削減 |
その他の経費削減 |
要支援者受け入れを控える |
利用者負担増 |
報酬以外の収入増 |
21% |
74% |
26% |
49% |
11% |
7% |
5% |
(14)新総合事業についての自治体からの情報提供
かなり情報を得ている |
少しは情報を得ている |
ほとんど得ていない |
1% |
32% |
63% |
(15)新総合事業についてどう考えているか
|
大変心配している |
心配なことはある |
あまり心配していない |
率 |
37% |
47% |
12% |
(16)新総合事業への移行で心配なこと(複数回答)
|
報酬が下がって経営困難に |
職員確保が困難 |
ボランティア・無資格者で利用者に対応できるか |
利用者の生活に支障 |
率 |
70% |
29% |
32% |
53% |
(17)「多様なサービス」(基準緩和サービス・住民主体サービス)への参入
積極的に参入を検討 |
参入してもいい |
参入は考えず |
5% |
28% |
45% |
(18)今後の事業展開
事業から撤退 |
事業所の整理・縮小 |
事業所の規模拡大 |
障害サービスなど新たなサービス追加 |
4% |
17% |
27% |
16% |
(19)今後の事業展開(事業所規模別)
|
事業から撤退 |
事業所の整理・縮小 |
事業所の規模拡大 |
障害サービスなど新たなサービス追加 |
10人以下 |
9.9% |
19.0% |
19.0% |
22.3% |
11人〜20人 |
3.9% |
21.1% |
23.7% |
18.4% |
21人〜30人 |
1.5% |
13.5% |
28.6% |
11.3% |
31人〜40人 |
|
11.4% |
24.3% |
11.4% |
40人以上 |
2.6% |
17.2% |
37.1% |
16.4% |
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地域の大切な社会資源・デイサービスを守り発展させるために
通所介護事業所調査を踏まえての提言
2015年10月8日 大阪社会保障推進協議会
1 デイサービス調査で明らかになったこと
〜大幅減収で経営悪化、このままでは、縮小・撤退の危険
大阪社会保障推進協議会は、本年7月〜8月に大阪府内全域の通所介護事業所(デイサービスセンター)1818ヶ所に2015年度介護報酬改定の影響等についてのアンケート調査を実施し、592事業所から回答を得ました。
その結果、以下のようなことが明らかになりました。
第1に、基本報酬の大幅なマイナス改定により、7割以上の事業所で収入が減収しており、その平均減収率は11.7%に及んでいます。とくに、利用定員10人以下の小規模事業所の場合は85%の事業所が収入減少と答えており、事業所運営や利用者サービスへの悪影響が懸念されます。
第2に、こうした状況は、事業の存続にもかかわり、今後の事業展開について、事業所の「整理・縮小」(17%)、「事業からの撤退」(4%)と全体の2割以上が撤退・縮小を志向しています。とくに、定員10人以下の事業所では約1割が「事業からの撤退」、2割が「整理・縮小」を志向しています。これまで増加・拡大を続けてきた通所介護事業所が、一転して「減少」局面に入ることさえ危惧されます。
2 要支援サービスの見直し(新総合事業へ移行)でさらに大きな影響
〜大幅に低い「基準緩和型サービス」移行
介護保険制度改定により、2017年度までに、要支援1,2のデイサービス利用者は全国一律の保険給付(予防通所介護)から、市町村事業(新総合事業)へと移行することになっています。
現行のデイサービスセンター(通所介護事業所)は、事業移行後は「現行相当サービス」として残ることになっていますが、新たに「基準緩和型サービス」「住民主体型サービス」などを市町村が創設することになっています。
大阪府内の大半の市町村は、2017年度に新総合事業を実施する動きですが、先行しているいくつかのところでは、既存のデイサービス事業所に「基準緩和型サービス」への参入を画策しています。示されている案では基準緩和型サービスの報酬は現行の「7割程度」まで切り下げるものです。
大阪社保協のデイサービス調査でも、「基準緩和型」などの多様なサービスへの参入については、積極的参入意向を示している事業所はわずか5%、「参入してもいい」を加えても3分の1程度にとどまっています。70%の事業所が「報酬が下がって経営困難になる」ことを心配しています。
回答事業所の利用者の約2割を占める要支援1,2の利用者は、改定により、2017年度中にはすべて保険給付から市町村ごとの「新総合事業」に移行します。今後、市町村が、大幅に報酬の低い「基準緩和型」への移行をすすめるならば、多くのデイサービス事業者が、経営が成り立たず、撤退していくことになりかねません。
3 地域の貴重な資源・デイサービスを守り発展させるための提言
在宅の要介護・要支援の高齢者が、日々通い、交流し、リハビリや多様なレクレーション活動など、豊かな「介護文化」を作りしてきたのがデイサービスです。要介護高齢者が増大する2025年に向けての「地域包括ケア」の中でも地域の「拠点」としての役割も期待されています。
ところが、デイサービスは介護報酬マイナス改定と制度改定のなかで危機的な状況を迎えています。
私たちは、地域の貴重な資源となっているデイサービスを守り発展させるために、以下のことを国及び大阪府、各市町村に提言します。
1 国は、次期改定を待たず、早急に通所介護の介護報酬を見直すこと
@基本報酬の削減分を回復すること
A人材確保困難を解消し従事者の賃金・労働条件の改善のための交付金を報酬とは別枠で国庫負担により創設すること
2 大阪府は、緊急に大阪府内の通所介護事業の実態調査を行い、その事業が維持発展し、利用者サービスが向上する報酬が確保されるよう国に働きかけること
3 大阪府及び各市町村は、要支援者の新総合事業移行にあたっては、現行の通所介護の利用を保障すること
@低報酬で低水準の「基準緩和型サービス」については導入しないこと
A現行予防通所介護相当サービスについては、すべての要支援認定者にその選択による利用を保障すること
B現行予防通所介護相当サービスの事業所には予防給付以上の報酬額を保障すること
★地域社保協の活動によって得た回答を再度事業所にご報告ください!!
今回、1818事業所(返戻49のため実質送付は1769事業所)にアンケートを届け、592事業所からの回答を得ることができたのは(回収率33%)、まさに地域社保協のみなさんの活動あってこそです。
一部報告をいただいていないところがありますが、熊取町100%を始め、大阪市中央区90%、北区71%、松原市67%、富田林市53%、大阪市生野区47%、城東区43%など大変高い回収率となっています。郵送だけでなく訪問し懇談した地域社保協が数多くあったことが、全体で33%という高い回収率に結びつきました。大阪社保協ホームページにアップしている報告書には事業所の生の声を全部掲載しています。ぜひプリントアウト増刷し、再度地域の事業所にも届けていただくようお願いいたします。
地域で新総合事業にいかにたちむかうかを考え動き出すために〜10.23新総合事業学習会に全地域から参加を!!
10月5日大阪社保協介護保険対策委員会を開催し、10月23日開催する「新総合事業学習会」の内容を検討しました。
9月11日には新総合事業先行自治体である箕面市(2015年4月実施)、大東市(2016年4月実施)、羽曳野市(2016年10月実施)を訪問ヒアリングも行い、引き続き茨木市(2016年4月実施)や大阪市(2017年4月)にもヒアリング実施を要請しています。
また、大阪社保協介護保険対策委員の日下部さんは全国各地の介護保険学習会の講師をしており、先行自治体の状況を把握しています。こうした内容も報告しながら、地域での運動提案をしますので、全地域からの参加呼びかけます。
介護保険新総合事業に地域でどうたちむかうか 大阪府内デイサービス調査・先行自治体ヒアリング結果をふまえて |
★と き 2015年10月23日(金)6時30分〜9時
★ところ 大阪府保険医協会M&Dホール
★内容
@大阪府内通所介護事業者調査報告
寺内順子 大阪社保協 事務局長
A新総合事業先行自治体ヒアリング等報告
〜箕面市、大東市、羽曳野市以外全国各地の先行市の状況について
日下部雅喜 大阪社保協介護保険対策委員
B各地域からの報告〜箕面市、大東市、堺市などから
C運動提案〜地域でいま何ができるか、どうたちむかうか
★資料代 1000円
★資料作成の関係上、必ず事前申し込みをお願いします。
氏名、団体・地域を明記の上、fax06-6357-0846
またはメールosakasha@poppy.ocn.ne.jpにお送りください
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大阪社保協第5回常任幹事会のご案内
■ 日時 2015年10月22日(木)午後6時〜8時
■ 会場 国労大阪会館2階円卓会議室
■ 議題 1.2015年度下半期のたたかいについて
@ 大阪市内・堺市内キャラバン行動A介護保険新総合事業
B国保都道府県単位化問題 他