大阪社保協FAX通信   1084号 2014.12.2

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1115日「介護なんでも無料電話相談」に60件の介護保険の悩み、不安、怒りが寄せられる

1115日、大阪ヘルパー労組連絡会と大阪社保協共催での「介護なんでも無料電話相談」を実施、5台の特設電話、のべ10人の相談員のもとへ60件の相談が寄せられました。

マスコミでの告知はABCラジオ「おはようパーソナリティ道上洋三です」とNHKでした。

年齢層は60歳以上が6割で、80歳以上が25%を占めるなど、年齢層の高い方、つまり介護問題まっただ中にいる方からの切実な相談がよせられたことを示しています。

相談内容も、介護保険サービスを使っている方からの相談が7割を占め、介護保険サービスを利用していてもなお問題が解決しない、誰にどう相談していけばいいのかわからないという相談が多かったことが特徴です。さらに、現在介護保険を使っているだけに、来年からの利用料2割負担について問う声も多く寄せられました。以下概要と相談員からの声を紹介します。

◆概要

 1.相談者の年齢〜70歳以上が3割を占める

年代

人数

構成率

 50歳代

1

1.6

 60歳代

17

28.3

 70歳代

5

8.3

 80歳代

13

21.6

 90歳代

2

3.3

 不詳

23

 

 2.相談内容(重複もあり)〜7割が介護上の悩み

相談内容

件数

構成率

 介護上の悩み

43

71.6

 施設に入りたい・入れたい

3

5

 保険料について

4

6.6

 利用料について

13

21.7

 要介護認定について

3

5

 介護保険制度について

15

25

 医療について

2

3.3

 その他

3

5

 3.何で電話相談を知ったか

何で

人数

構成率

 テレビ

28

46.6

 ラジオ

10

16.7%

 不明

22

36.7

 

◆相談員からの声〜繋がり合い、寄り添い方の相談活動へ

11月15日の介護なんでも相談の相談員として昼頃から参加した。この日は朝からNHKが取材し、昼のニュースでその模様が流されてからは、予想通り電話が鳴りやまぬ時間が過ぎました。また寺内さんが事前に朝日放送の「おはようパーソナリティー・道上洋三です」に出演されて介護保険改悪の中身と同時にこの日の「110番」のPRをされていたこともあり、10時のスタート以前からの相談電話も多数あった。

やはり、介護保険・介護問題については当事者のお年寄りだけでなく家族である若い方もおおいに関心をもっていることを改めて認識した次第です。土曜日とはいえ10時から17時までの時間帯だったが、全体で60件の相談が寄せられた。

のべ10人以上の相談員が対応し、私が受けた内容を中心に簡単に報告するが、多くは「この悩みを誰かに聞いてほしい」という方が多いことが特徴だったように思った。

 

@          テレビでみたという兵庫県の山間部に住む90歳の独り暮らし女性。夫に先立たれても小さな酒屋を営んでいたが、橋を通すのに長年なじんだ土地を提供し代替地に住んでいるが、固定資産税も保険料も規定どおり取られ、生活の糧は国民年金だけ(商売はほとんど成り立っていない)なので、町に協力した分何らかの支援措置をとってほしい。旧知の町会議員(保守系)に頼んでもなかなか町との話し合いに応じてくれない。これは公共事業絡みの個別案件なので、後日、他の町会議員さんにも確認をとってみる必要がある。

A大阪府下に住む頸椎の狭窄症等をかかえる女性。整形外科の主治医が脊柱管狭窄の難病申請してくれない。医師を恨んでいるわけではなく、介護の問題ではないが、医療費が高ので何とか公費の制度を使えないかの相談。難病の適用条件を確認したうえで再度相談を受けた。以前に内科の医師が紹介してくれた最寄りの公的病院(済生会)でまず相談室へ行ってMSWに相談し、無料低額含めた制度適用を検討することを勧めた。相談室があることは知っていたが、そこは何をするところかはよく知らないということだったが、まずは新しいルートへ繋ぐことができた。

 

どちらも資料調べ含めて30分以上かかる相談だったが、どんな者かわからない相手にきちんと対応してくれたことに感謝された。

だが電話を受ける私からみると、これまでの各種相談事例と同様、本人さんたちが普段の情報収集も含めて頼りにしている方が身近におられるのか、地域とつながっておられるのかどうかも判断しないと、先の対応に困ることが多々ある。今回のような電話相談は、マスコミを通じて初めてかけて来られることから、普段の人間関係が希薄か無い方だと思われる。いま話題になっているサイレントプア―がようやくスクリーニングされたという感じである。

社保協加盟の医療・福祉系の団体は、各々に大きな力量をもっている。プライバシーの問題もあって住所、氏名、電話、家族関係などをすべて聞き込めないことが多いが、今回のような電話相談をするにあたっては、資料調べも含めてすぐに動ける機動力を確保しておく必要がある。

今回は介護110番だったので、ケアマネさんが多数相談員になっていただいたことは心強いが、医療や周辺の制度を周知してつなぐ場面も多々あった。とくに民医連や保険医協会からはMSWや医事職員が複数関わっていただくことを希望する。相談内容が一人の方から多領域の問題が舞い込むことは多いので、福祉制度や社会保険だけでない多方面に対応できる力が不可欠であるし、「士業」といわれる方々も専門性を生かしてボランティアではあるが是非とも参加してもらいたい。

労働組合の皆さん、とくに自治体労働者には、今回のような土曜日の相談について、土日で緊急対応が生じた場合の緊急連絡体制を出先機関含めて携帯等でいくつかの拠点で繋がり合っていただくことも検討いただきたい。

この相談会の後日、私が関わっている小学校区で地域包括支援センターの協力で居宅介護についての講座を開催した。普段は当事者のお年寄りが来ることが多いのだが、今回は自分自身と配偶者、自分の父親・母親、義父母の直面する介護相談を兼ねた受講が目立った。官製団体では保険料のことはあまり出ないが、「一部負担金が2倍になる」人が増えるというと反応が大きい。多くの方は、施設や在宅のサービスといっても、どこが何をしているのか何もわからない、要介護認定といってもその基準を教えてほしいといった質問が目立った。

介護保険は日常茶飯事の問題としてはマイナーかもしれないが、今回の法改正のポイントである「要支援はずし」でその認定さえもされない現実がおこれば、どこの家庭でも日常茶飯事のメジャーな話題となる時代が間違いなく来る。

今回の相談会を通して、私のようなOB含めた「業界」にいる人たちが、個別の相談を積極的に受け止めることで援助活動を広げ、繋がりを生かした集団援助力を高め、できるだけ小地域で繋がり合い、寄り添っていく運動構築の必要性を痛感した。

(大阪社保協介護保険対策委員 個人会員 奥村慶雄)

 

◆相談員からの声〜いただいた声を知らせる活動が必要

事前の告知もあり、10時前から相談が入り、12時にNHKで放送されてからは、17時まで相談が続いていた。(5台の電話が詰まっていたこともあり、次の日も電話が鳴っていた様子。)

相談者は、高齢者本人、家族、兄弟がほとんど、8090歳以上で独居も多かった。利用している方は、必要な介護が受けられない不満があり、家族は精神的にも追い詰められていると感じた。(電話でメンタルだと感じる人も多かった。)

制度改正についての質問も多く、1割から2割になるなど、年金が減らされる中でこれ以上負担が増えることへの不安の声や、なぜそんなことになるのかという怒りの声も多かった。視覚障害者で65歳から介護保険に切り替わった方からは、要支援がボランティアになることへの不満と「弱者の意見をとりあげてほしい。」との切実な声もあった。

不満があっても声を上げることができない状況があり、自分たちの思いを国や行政に伝えてほしいと「頑張ってください」と激励された。出来る限り知らせる活動が必要だと感じた。

(大阪労連・嘉満)

西日本介護保険運動交流集会

介護保険料引き上げ、要支援はずしにどう立ち向かうか

 

★2015年2月1日()午前10時半〜16時半/大阪府保険医協会M&Dホール

午前の部(10時半〜正午)基調講演 日下部雅喜・大阪社保協介護保険対策委員

  午後の部(13時〜16時半新総合事業モデル事業の実態報告ほか

★主催  社保協近畿ブロック (現地事務局大阪社保協 osakashapoppy.ocn.ne.jp)

★規模  150人(完全事前申込制 会場のキャパを超えればお断りをします)

★参加費資料代2000円(弁当代込 当日精算)

★資料作成の関係上、下記申込書記入の上、事前に必ず大阪社保協あてfax06-6357-0846にお送りください。完全事前申込制、150人超えるとキャンセル待ちとなりますのでキャンセルの方は必ずご連絡を。