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12月11日、国保広域化・都道府県単位化問題で厚生労働省レク実施〜「国保都道府県単位化についてはまだ何も決まっていない」「2015年共同安定化事業1円化は『出』の平準化」「共同事業拠出金の都道府県の考え方には厚生労働省は一切口出ししない」。
12月11日、中央社保協国保部会が中心となり、国保広域化・都道府県単位化問題で厚生労働省レクを実施しました。レクチャーの概要についてまとめましたので以下報告します。
なお、全国の「広域化支援方針」「財政安定化方針」等は各都道府県のホームページを開き「国保広域化」などの検索をかければ入手することができます。その内容については大阪社保協で一覧表を作成しましたので添付しておきます。なお、新潟県は現時点においても策定していません。
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厚生労働省「国保広域化・都道府県単位化問題」レクチャー・要旨
文責)
日時 2013年12月11日(水)午前11時〜12時30分
場所 参議院議員会館地下会議室
厚生労働省側の対応は国民健康保険課企画法令係 青木係長
■ 国民会議報告で「国保の都道府県単位化をめざす」と記載されているが、現実的には全国の「広域化支援方針」「財政安定化方針」等、都道府県の広域化に対する対応・考え方の互いの隔たりは大きいものがある。このことをどう考えるか。
→都道府県の方針は各市町村の実情を踏まえたうえで意見を聞いて作っているので考え方の違いがどうしても生まれる。今後、都道府県とも密に連携を取りながら見直していただくこととなる。
■2015年の「保険財政共同安定化事業一円化」にかかわってどのようなスケジュールとなるのか。新たな通知を発出するのか。
→平成27年4月からの保険財政共同安定化事業の拡大については、平成25、26年に対象医療費の引き下げができるが、これまで以上のことは示さない予定で、円滑な準備を行っていただく。
■現行では、保険給付費は国保会計支出の7割前後を占める支出であり、それがすべて拠出金に代わるとすれば、現行の拠出金も加え、支出全体の8割ほどを占めることとなり、保険料賦課を大きく左右する。都道府県も市町村に大きな影響がでないよう苦慮をしているが、厚生労働省はかつて被保険者割50:所得割50の2方式にすれば保険料の都道府県での平準化ができると「広域化等支援方針要領」に明記していた。それでは医療費実績が全く反映されないものとなり、医療機関が少なく医療費が少ない自治体や医療費を抑えるために取り組んでいる自治体の努力が全く反映されないものとなり、そうした自治体からの不満が大きいが。
→平成24年の要綱に「所得割をいれる」という考え方を示したが、現在は所得調整は都道府県調整交付金やるのがよろしいのではないかと考えている。
■現行の要領では都道府県調整交付金1号交付金もしくは共同安定化事業の拠出に所得割をいれるようにとなっているが、厚生労働省は医療費実績を今後反映させなくてもいいと考えているのか。
→医療費実績については、100分の50未満でも可能しているが、割り方について厚生労働省からは申し上げることはない
→拠出金の割り方に医療費実績割をいれれば適正化や保健事業のインセンティブがなくなるということはないと考えている。
■ 保険給付が都道府県単位化となれば全国の保険者が積み上げている「基金」(2800億円)が理論上は不要となるが、どう考えるか。
→基金については地方自治法にもとづいて各市町村が独自の判断で積み上げているもので、ご指摘のとおり2800億円あり、都道府県移行にともない宙に浮くのではないかとのご指摘はもっともである。赤字の分析をしたうえで赤字解消のために投入するということは考えられる。
■基金積み上げは赤字でないから積み上げているのであって、その意味では赤字解消のための投入というのは矛盾しているのではないか
→確かにおっしゃる通り。ただ、保険料引き下げのために使うということは、都道府県単位化になった時の平準化保険料との跳ね返りがある。保険料引き下げではなく保健事業に使うというやり方もあるのではないか。
■国保は特別会計であり、さらに1人何十万円もの基金を積み上げている自治体もあり、それを全額保健事業にというのは現実的ではない。そもそも保険料が高いというのがあり、そのために引き下げに使うというのはなにか問題はあるか
→投入したことによって保険料を安くするとやはり標準化したときに跳ね返りがおきる
■全国知事会が何度も「国保の構造的問題点の解決なくして都道府県単位化はなし」との声明を何度もだしているが、厚生労働省としては国保の構造的問題点の解決を厚生労働省としてどのようにしようと考えているのか。
→国保の構造的な問題点、財政基盤の安定のためには2200憶円にとどまらずさらに公費投入にむけて財政確保に努めたい。どれくらいの規模でやるのか、入れ方についても今後検討していく。
■2014年度から2200億円投入での低所得者対策をこれまで何度も約束しながら、なぜ今回500億円程度の投入しかしないのか、もしくはできないのか。
→平成26年4月に全額という約束をしてきたわけではない。500億円については、消費税負担の大きくなるところに対応した。
■保険料の平準化について、これまでの議論では「統一保険料」ではなく「標準保険料」、「分賦金方式」でという方向になっているように思うが。
→分賦金方式がいいのか、また別の方式がいいのか、より分権的な仕組みでどれだけその地域の医療費を反映した保険料にするのか、統一的でなく地域別かなど、今後の議論であり、いまは何も決まっていない。
■地域で、というのはどの範囲を言うのか
→都道府県以下、ということ。市町村なのか、それ以上なのかはこれから。北海道では既に4つの広域連合が保険者となっているが、保険料算定は分賦金方式でやっているところや統一保険料のところなどそれぞれ違うし、協会けんぽの保険料方式も違う。色々な方式があり、地域別で行くということ以外はこれからの議論。
■地域でという場合、二次医療圏か?
→それはたぶんない。
■そういうことでいくと、国民会議で「都道府県単位化」にだされた以上、全く何も決まっていないということか。
→保険者を都道府県に移行する、という以上のものは何もない。そもそも国民会議では医療提供体制改革議論の中で、では医療制度の財政運営はどこがするのかという発想で出てきた。
■保険者を都道府県ということでいくと、給付事務は都道府県がやるのか
→給付事務というと資格管理、高額療養費の限度額認定書発行、負担割合の決定など多岐にわたり、そのためには被保険者の所得状況の把握などが必要となる。法制的な議論と現実的な事務をどうするのかという議論がこれから必要となるが、現実的には全部を都道府県がやれるというものではない。
■広域化全体の議論はこれからということだが、差し迫った「共同安定化事業1円化問題」では来年度都道府県が市町村と調整しながら拠出金割合の算定をしなければならないが、そう簡単に落とし所があるのか
→一円化は国保の「出」の部分の平準化ということ。今後、都道府県単位での医療提供体制にみあった保険料設定をしていくと保険料そのものの平準化になる。都道府県移行に関してただちに移行するということでは無いし、1円化してすぐになくなるということでは制度の安定性に欠ける。ただ、共同安定化事業は残り続けるものではない。
→平成27年からの一円化では激変緩和も検討していきたい。
■確認するが、来年度の都道府県ごとの拠出金等のとりあつかいについては厚生労働省は指導もしないし意見もいわないということか
→一切口はださない。
■保険料の上限を青天井にするということについて
→プログラム法案では被用者保険並みにという意見もあったが、受益と負担という考え方でいくと、稼いでいる若い人は医療を使わないので負担を大きくできない。
→当面平成26年4月から賦課限度額を4万円上げるが、これは市町村としては保険料率だけあげると高所得者は限度額にぶち当たってしまって保険料が変わらないと言うことでは被保険者に説明がつかずまずいので、高額所得者の保険料をあげるという意味合いもある。
■国保財政の健全化のための一般会計独自繰り入れについて
→繰り入れの良い悪いは厚生労働省としては言えない。出来るだけ制度内で健全化すべきという考え方。
■市町村独自の福祉医療に対するペナルティーをやめるという議論にはなっていないのか
→なくす場合のハードルがあるので検討しなければならないということで、現在それ以上のものはない。
国保用語ひとくちメモ 共同安定化事業(保険財政共同安定化事業)とは、現行ではレセプト1件あたり30万円以上80万円未満の保険給付費を都道府県下の市町村国保財政から拠出金を出し都道府県国保連にプールし、交付金として支出する、いわば国保同士の助け合い制度のことです。なお、2015年からは1円以上となります。つまり、2015年からは国保の医療費は実質的に都道府県単位化となります。この拠出金の算出方法は都道府県が市町村と相談しながら2014年度に決定することとなります。もともとは、被保険者割:医療費実績割が50:50ですが、大阪府や奈良県、埼玉県など8府県が割合を変えたり所得割をいれるなどしています。 |