大阪社保協FAX通信   1045号 2013.7.1                                       

 

630日「四條畷市生活保護相談会」に40件の相談〜市民の生活困窮状況が鮮明に、「一方的廃止・停止」「暴言」などの事例も寄せられる。本日71日は「生活保護申請」に同行。

630日(土)、午前10時〜午後5時まで、四條畷市で生活保護相談会(四條畷実行委員会・大生連・大阪社保協北河内ブロック主催)が開催されました。

相談会にむけては、22日、23日に市内全戸に告知ビラ配布を行い、当日は宣伝カーでのお知らせやNHKのお昼のニュースで報道されたことにより、40件の相談が寄せられました。相談内容の内訳は以下です。

 

@相談者の住所  四條畷市内:19件  市外:21件

A性別      男性:21件  女性:18件  不明:1件

B何で相談会を知ったか チラシ:10件 街宣:2件 紹介:2件 NHK:15件 その他(無回答含む):11件

C内容  生活保護申請について:17件  生活保護受給中:6件

その他:17件(国保の減免申請が多い)

D対応  翌7月1日に申請をするもの:6件

★発端

 昨年の4月には四條畷市での国保問題で大きな取組を進め、「給付と徴収は別」であることや、被保険者全員に保険料決定通知の折に減免制度についてのチラシを入れることなど一定の前進を勝ち取りました。

しかし、その後生活保護で「申請させない」「理不尽な就労指導をする」「指導に従わないということで一方的に廃止・停止をする」事例が昨年来、日本共産党・阿部市会議員や弁護士のもとに大きく寄せられています。

一例を以下紹介します。

□いま四條畷市生活保護現場で起こっていること

@   再三の申請拒否 

その日の暮らしもままならない無年金の70歳代のAさん(男性)。

数度の申請に対して、過去に数百万のお金がその方の名義の通帳にあったということを理由に再三却下。その後申請は受け付けるも結果を通知してこなかったが、三郷裁判判決が出た次の週に保護決定。

A   パチンコを理由とした一方的な「廃止」

もともと日雇労務などをしてきた48歳の男性Bさん。2年前の怪我がもとで働けなくなり生活保護受給。その後、再三の就労指導。ハローワークに何度も行くように指導されるが、文字を書いたり、手続きをするのが困難。ケースワーカーは口で指導するだけで支援をしない。パチンコに頻繁に言っているということを理由に廃止命令(職員が2週間、毎日尾行)。眼鏡がなく、眼鏡の申請をしようとするも、「あなたは廃止が決まっている」と医師の処方箋も一方的に取り上げた。

B   ダブルワークを強要し従わないとして一方的に「停止」

数年前に同居人を自殺で失った40歳代のCさん(女性)。その後うつ症状などもあり生活保護受給をしながら治療。主治医の勧めもあり、リハビリ的にパートをし、月5万円ほどの収入を得る。ケースワーカーから「もっと稼ぎのいい仕事を」「ダブルワークも考えよ」と再三就労指導あり。ホームヘルパー資格取得の講座をうけるよう指導されたが、体調もあり受講できていない。こうした中で、「就労指導に従わない」と一方的に「停止」。

C   64歳の男性に厳しい就労指導

もともと運転手として働いていたDさん(64歳)。手術後体調をくずし生活保護受給に。別室で机をたたき2時間も「仕事を探せ」と攻め立てるような厳しい就労指導があり、「就労し一定の収入がある」との嘘の申告をしたところ、「虚偽の申告をした」ということで廃止に。現在は弁護士の支援もあり再度保護受給中。しかし、市からは64歳という年齢にも関わらず、「毎日ハローワークに行って仕事を探せ」と強要。さらに、ケースワーカーはDさんが在日韓国人であることにたいしての暴言も口にすることがある。

★弁護団結成

阿部議員から楠晋一弁護士(京橋共同法律事務所)に相談があり、さらに楠弁護士が呼びかけて大阪弁護士会の生活保護問題に取り組む小久保弁護士・普門弁護士はじめ多くの弁護士に結集していただき弁護団が作られ、大生連・大阪社保協、そしてマスコミ関係者も参加した打ち合わせ会議がこの間3回開かれています。

なお、こうした動きをうけて、6月に入り、四條畷市は上記Aのケースは再申請後保護開始、Bは停止解除となりました。

★四條畷市は大阪府内で一番、生活保護世帯・利用者とも減少

廃案にはなりましたが、生活保護「改正」法案は、申請の厳格化、扶養義務の強化、就労指導の強化などが盛り込まれた法律案でした。しかし、法が改悪される前に四條畷市ではすでにこうした内容を先行実施し、「適正化=生活保護費削減」を行っています。

これは、大阪社保協が今年の自治体キャラバン行動にむけて行った府内市町村「生活保護アンケート」(大阪市・松原市・泉佐野市未回答)データでもはっきりしています。全府的には生活保護世帯、利用者とも増えていますが、四條畷市は前年同月比とも大阪府内で最も減少しているのです。

 

大阪府内市町村「生活保護アンケート」 大阪社保協調査

 

保護世帯数

利用者数

2013.3

2012.3

増減

前年同月比

2013.3

2012.3

増減

前年同月比

大阪市

 

 

 

 

 

 

 

 

豊中市

6,925

7,248

 

0.0%

10,242

9,816

426

4.3%

池田市

735

702

33

4.7%

987

951

36

3.8%

箕面市

834

768

66

8.6%

1,208

1,143

65

5.7%

高槻市

4,031

3,809

222

5.8%

6,104

5,721

383

6.7%

島本町

97

87

10

11.5%

133

118

15

12.7%

茨木市

2,769

2,639

130

4.9%

3,933

3,789

144

3.8%

吹田市

4,220

4,023

197

4.9%

6,204

5,968

236

4.0%

摂津市

1,048

1,018

30

2.9%

1,464

1,423

41

2.9%

守口市

3,924

3,736

188

5.0%

5,635

5,469

166

3.0%

門真市

4,532

4,393

139

3.2%

6,633

6,564

69

1.1%

大東市

926

930

-4

-0.4%

1,266

1,280

-14

-1.1%

四條畷市

646

666

-20

-3.0%

889

928

-39

-4.2%

寝屋川市

5,013

4,859

154

3.2%

7,424

7,298

126

1.7%

枚方市

5,444

5,231

213

4.1%

8,115

7,896

219

2.8%

交野市

620

574

46

8.0%

1,060

854

206

24.1%

東大阪市

14,589

14,206

383

2.7%

21,359

21,116

243

1.2%

八尾市

5,485

5,549

-64

-1.2%

8,267

8,527

-260

-3.0%

柏原市

895

847

48

5.7%

1,282

1,210

72

6.0%

松原市

 

 

0

 

 

 

 

 

羽曳野市

1,967

1,865

102

5.5%

3,039

2,911

128

4.4%

藤井寺市

1,187

1,170

17

1.5%

1,806

1,824

-18

-1.0%

大阪狭山市

551

531

20

3.8%

777

772

5

0.6%

富田林市

1,908

1,848

60

3.2%

3,062

3,044

18

0.6%

河内長野市

1,127

1,153

-26

-2.3%

1,765

1,830

-65

-3.6%

堺市

18,052

17,458

594

3.4%

25,922

25,364

558

2.2%

和泉市

2,841

2,781

60

2.2%

4,461

4,357

104

2.4%

高石市

606

590

16

2.7%

881

867

14

1.6%

泉大津市

1,166

1,107

59

5.3%

1,732

1,645

87

5.3%

岸和田市

3,835

3,599

236

6.6%

5,661

5,371

290

5.4%

貝塚市

1,137

1,118

19

1.7%

1,603

1,612

-9

-0.6%

泉佐野市

 

 

0

 

 

 

0

 

泉南市

850

847

3

0.4%

1,249

1,265

-16

-1.3%

阪南市

454

447

7

1.6%

612

609

3

0.5%

合計

98,414

95,799

2,615

2.70%

144,775

141,542

3,233

2.30%

 

★大生連・大阪社保協・北河内ブロックと弁護団で相談会実施。今後は大交渉を設定。

大阪社保協・北河内ブロックは大生連、そして弁護団とともに昨年度の四條畷市国保問題と同様に、全戸配布や全市民対象の生活相談会などの取り組みを企画しました。今後は四條畷市との大交渉も設定していきたいと考えています。全大阪的に取り組みますのでその際にはご協力をお願いします。

 

★6月30日「生活保護相談会」によせられた具体的な相談から・・・

1. 女性 70歳 四條畷市のケースワーカーの対応について

現在の収入 国民年金65000円

娘名義の賃貸に夫と2人暮らしで生活していたが夫は13年2月に亡くなる。賃貸は8万円で、これまでは夫の収入と本人の収入(就労+年金)で生活していた。しかし、夫の死で家賃が払えなくなり、四条畷市の保護課に生活相談。13年4月に本人に腫瘍が見つかり、入院。本人も腰を悪くしていたのでそれを機に会社を辞める。相談後、ハローワークに行き、府営住宅に申し込みをした。

四条畷市ケースワーカーに住居費が払えなくてどうすればよいかを相談した際に「ここは住居の相談をしに来るところではない」「働いている人が来るところではない」「堺市なら府営住宅が空いているからそっちに行け」と暴言を言われた。本人が「じゃあ生活に困った人はどこに行けばよい!」と泣いて抗すると「ここで相談を受けます」と対応を改めた。

2. 男性 53歳 四條畷市生活保護ケースワーカーの対応について

5年間生活保護を受給している。月6万円。本人は20136月から働いている。週6日、時給850円。妻は手取りが8万円。

3年間、同じケースワーカーが担当しているが、暴言を吐かれる。「自立してもらわな、こっちも困る」、「私やったら離婚してる!」、「被災者もがんばってるのに、自分甘えすぎやねん!」など。

3. 男性 63歳 自動車手放さないといけないと四條畷市に言われた

収入:年金が月34000

2年前までタクシー会社で働いていたが、20119月に退職。20122月から運輸関係の仕事に就いたが、こちらも退職。20134月から介護タクシーの仕事に就いたが、職場で暴行を受けて4日間で退職。現在、仕事が無い。貯金なし。仕事に就けなかった2年間の間に、社会福祉協議会に貸付の相談をしたが、けんもほろろに断られた。市の生活福祉資金を親戚に名義人になってもらって10万円借りたが、返済できていない。身内から3年間にわたり断続的に援助を受けているが、それも厳しい。28日の段階で、手持ちが1400円。仕事を探すために軽自動車を所有している。どうにもならなくて困っている。一年前、市の生活福祉課に相談したところ「自動車を手放さなければいけない」と言われた。

4. 女性 64歳 大阪市から「まだ働けるでしょう」と言われて申請させてもらえない

2年前に左股関節を手術。身体障害者4級で一人暮らし。家賃は38000円。20111月に手術。7月末に退職。年74000円の障害者年金。夫とは、DVのため、離婚はできなかったが別居している。

20115月に区役所に行き生活保護の相談をしたが、担当者に「まだ働けるんでしょう」と言われた。

5. 女性 65歳  11食 食べられない

単身世帯(家賃28000円)収入:年金83000円/月+シルバー35万円

貯金は50000円保険未加入。車なし。

今年腱鞘炎になり物を握れない。注射で治らなければ手術。その後、膝が痛くなってきた。治ったと思ったら次は腰に(15日間寝込んだ)。胃も痛くなってきている。63歳のときに白内障になり両目を手術。シルバーは辞める方向で。働くのがきつい。働きたいがシルバー辞めたら回ってこない。

11食たべられない。息子・娘がいるが、息子は連絡がとれず、娘は支援は「無理」だと言っている。

6. 男性 64歳 大工だが怪我をして仕事がほとんどみつからない

四條畷市在住。61歳の妻と35歳の息子と同居中。妻は内職、息子はアルバイトをしていたが現在は仕事が見つからず、無職。

本人は大工だが、56年前に転落・骨折して以降、仕事がほとんどない。収入は年100万円に満たない。年金は10月から。借家の家賃が5万円。骨折した時に車上荒らしに会い大工道具一式盗難。道具を新たに購入するために道具屋に借金し、現在まだ20万円ある。手持ち金は15千円とわずかな貯金だけ。

 

→このケースについては、71日に早速生活保護申請をしました。大阪社保協・寺内事務局長はじめ江田・門真社保協事務局長、岸田・四條畷市会議員が同行しましたが、ケースワーカーはとても親切で丁寧な説明をし、時間も40分ほどでスムーズに終わりました。

 しかし、一人で申請していたらどうだったでしょうか。とてもこのようにスムーズにいくとは考えられません。

 相談を寄せてこられた方たちの生活困窮の具合が本当に深刻です。役所が相談に来られた方に対して親身になって心配をするのではなく、1のケースのような対応をするなど言語道断です。今後、こうした実態を踏まえて四條畷市に要望書を提出し、交渉を組んでいきます。