大阪社保協FAX通信 第1040号 2013.5.23
枚方・生活保護自動車保有訴訟“完全勝訴”確定。原告・佐藤キヨ子さん、枚方交野生健会・森田事務局長から喜びの声が届く。
障害で歩行が困難なのに、車の所有を理由に生活保護を廃止し再度の申請を却下したのは違法として、枚方市の佐藤キヨ子さんが却下処分の取り消しと約280万円の損害賠償を同市に求めた訴訟の判決が4月19日にあり、大阪地裁山田明裁判長は処分の違法性を認めて却下処分を取り消し、市に172万円の損害賠償を支払うよう命じました。この内容について、弁護団は“完全勝訴”としました。さらに、5月2日に市は控訴を断念したため確定しました。
原告佐藤さん、そして枚方交野生健会・森田事務局長から手記がとどきましたので、以下そのまま掲載します。
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毎日々が一生けんめい がんばっています。
いつもどおり車が私の足がわりです。人としてのあたりまえの生活が出来るとおもうと、身もかるくて頭もさわやかです。
自分の年もわすれそうで、20才はあともどりをして生きている時がごくらくだなと思います。
世の中には悪い人ばかりではない、たまたままちがいをしてしまう人もいる。
父がいったように国が助けてくれる。ガンバレガンバレとはげましてくれた。(主人も元気な時は)
むすこも「おうえんしてくれてありがとうありがとう」というと「いわなくていいよ。あたりまえの事や。よかったよかった」と。
大阪の皆さん、弁護団の皆様、生活と健康を守る会、支援する会の皆様方、ありがとうございました。全国の健康を守る会の皆様、たくさんの署名支援、ありがとうございました。
判決では完全勝訴 4月19日
市が控訴断念 5月2日
弱い人が車に乗れるようになった日です。
車に乗れるとしやがひろくなります。
健康な人達と同じくらい世の中が楽しいのです。
えがおででかけたい時はきがねなくでかけらける。長いきしてよかったとつくづく思います。
地チキュウ、人るいがよくばらず、助けあい、平和でありますようにねがっています。
2013年5月9日 佐藤キヨ子さん記
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社保協のみなさん、ご支援ご協力有難うございました。
4月19日完全勝訴≠フ地裁判決後の完全勝訴報告集会で、弁護団から枚方市に対する「控訴しないように」との要請行動が提起されました。
枚方市への「控訴断念」の要請は5月10日現在、枚方交野生健会が把握した分だけで3000団体・個人を超えました。この中には、直接FAX、郵送された分とメ−ルは含まれていません。枚方市は現在集計中です。
今回裁判所が下した判決は、車の保有はもちろん、保有を認めた車を日常生活に使用するのは、生活保護法上もむしろ当然とし、最後に「原告は、要保護状態にあったにもかかわらず、本件廃止処分時から、本件再保護決定時までの間生活保護を受けることができなくなり、食事もままならないような生活状態に陥ったというのであって、本件各処分によって健康で文化的な最低限度の生活水準を下回る生活を余儀なくされたという他なく・・」と、枚方市が佐藤さんに対し憲法25条、生存権を侵害したと厳しく断罪しました。
この判決の最後の部分を読んで“佐藤さんはいつ死んでもおかしくなかったんだ”と、私自身改めてこの裁判の意味を思い知り、自分の権利意識の無さを恥じました。
佐藤さんの裁判は、一自冶体が市民の生存権を奪ったと断罪されましたが、今回、閣議決定された生活保護法の「改悪案」は、国あげて“国民の人として当たり前の生活を営む権利”を侵害し合法化するものです。
今後、枚方裁判の勝利をそれだけに終わらせず、佐藤さんと同じ立場で苦しんでおられる方、車の保有が原因で生活保護を諦めておられる方が、一刻も早くその苦しみから解放され、何の心配もなく車を保有したまま、生活保護が利用できるよう各自冶体や、国に要請すると同時に今、安倍政権がやろうとしている“国あげての生存権侵害”を許さない闘いを、緊急の課題として全国の仲間と一緒に取り組んでいきたいと思います。
2013年5月22日
枚方交野生活と健康を守る会事務局長 森田みち子記
「大阪の貧困と生活保護バッシングを考えるシンポジウム」は今週土曜日。ぜひご参加ください。
「大阪の貧困と生活保護バッシングを考えるシンポジウム」(5月25日午後1時〜大阪府保険医協会M&Dホール)が明後日にせまってきました。
今週月曜日に打ち合わせ会議を開き、シンポジストのみなさんとじっくり話しをしました。
前半は中塚久美子さんの講演で、彼女は昨年「貧困のなかでおとなになる(かもがわ出版)」という本を書かれました。もうお読みになった方もおられるとは思いますが、彼女がこの間、丹念に取材してこられた経験から貧困の中で子どもたちがどう思い、どう育っていくか・・・・が書かれています。そして、それだけでなく、こどもの貧困解決にむけた様々な取り組みも紹介されています。中塚さんのお話、ぜひ聞いていただきたいと思います。会場で中塚さんの書籍販売もいたします。
後半はシンポジウムです。シンポジストのお一人は大阪の小学校の養護教諭、保健室のベテラン先生です。子どもたちの様子から見えてくる貧困について語っていただきます。もう一人のシンポジストは現役の大学生さんです。彼女は苦学生でコンビニの早朝バイトをしながら生活費を稼ぎ、大学に通っています。彼女自身の生活、そして周りにいる学生たちの様子をリアルに語っていただきます。他、元大阪市の福祉事務所ケースワーカー中山さん、大生連・大口事務長がお話をされます。
みなさまのご参加をお待ちしています。
大阪の貧困と生活保護バッシングを考えるシンポジウム
兵庫県小野市で「福祉給付制度適正化条例」が可決し、大阪でも寝屋川市、守口市、松原市、東大阪市、枚方市で「生活保護適正化ホットライン」などが設置されています。
しかし、監視やバッシングを強めたところで、貧困はますます拡大し、雇用状況は悪化する一方で放置されており、本質的な解決は一向に進みません。貧困解決のために私たちができることは何なのか、本当に必要なことは何なのか、みんなで考えましょう。
★日時 2013年5月25日(土)午後1時〜4時半
★会場 大阪府保険医協会M&Dホール
1.
講演 中塚久美子 朝日新聞大阪本社記者
「貧困の中でおとなになるこどもたち〜深刻化する実態と記者としての問題意識」
2.
大阪の貧困の実態とバッシングを考えるシンポジウム
コーディネーター 加美嘉史 佛教大学准教授
福祉事務所、小学校学校保健室、非正規労働者、生活保護支援団体からの発言
★参加費 無料 資料準備の関係上、事前申し込みをfaxしてください。
★主催 大阪の生活保護を考える会
(大阪自治労連・大阪府保険医協会・大阪府歯科保険医協会・大阪民医連・大生連・
★連絡先 社会保障推進協議会 Tel06-6354-8662 fax6357-0846
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