大阪社保協FAX通信 第1036号 2013.4.19
枚方生活保護障害者自動車保有裁判で「完全勝訴」〜「これから人として当たり前の生活が当たり前にできる。後ろ楯がされているのを感じる。これからすいすいとどこまでも行ける。生きていてよかった」佐藤さん感動的な挨拶。
生まれつき股関節に障害を持ち歩行が困難な佐藤キヨ子さんが、日常的に不可欠でかつ資産価値もない自動車の保有を理由に生活保護を廃止され、再度の保護開始申請も却下した事案に対し、枚方市を相手取り,2010 年2 月23 日大阪地方裁判所に生活保護棄却決定取消等請求事件として提訴した裁判は、本日午後判決が言い渡されました。
判決では廃止処分及び却下処分の違法性を認め却下処分を取り消すとともに、国家賠償法上も違法であるとして、被告枚方市に約172万円の損害賠償の支払いを命ずるという画期的な判決で、弁護団は「完全勝訴」として評価しました。(弁護団声明は別紙)
★完全勝訴の所以
報告集会の中で、弁護団からは「なぜ完全勝訴かというと、棄却決定取り消しだけでなく、国家賠償法にもとずく損害賠償172万円が認められたという画期的な判決で、この2つが認められたことがとても大きい」「そして、この判決は今後各方面に影響がでると思う」とのコメントがありました。
さらに注目すべきは弁護団声明にもそのまま抜粋されていますが、判決文で「生活保護を利用する身体障害者がその保有する自動車を通院以外日常生活上の目的のために利用することは、被保護者の自立助長及びその保有する資産の活用という観点から、むしろ当然に認められる」としたことです。実際に、障害者の自動車保有が認められていたとしても、利用は通院のみしか認めないというケースが多々ありますが、判決ではそうではなく、「保有が認められているなら自由に利用する方が自立助長になるし、資産の活用にもなる」と言い切ったわけで、これは現在の生活保護の運用にも大きな影響が考えられます。
現に、自治体が作成している「生活保護の手引き」等には、自動車保有については、障害者の通院のみしか書かれていない場合が多く、今後は判例を活用しながら自治体に書き換えを要求していくことも必要です。
集会では佐藤さんが「「れから人として当たり前の生活が当たり前にできます。後ろ楯がされているのを感じる。これからすいすいとどこまでも行ける。生きていてよかったです」と挨拶されました。誰にも遠慮することなく当たり前に外出できることが如何に人間らしいことなのかという思いがこもった言葉で感動的でした。
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「枚方市に控訴するな」要請署名にご協力を!!
次のステップは、枚方市に控訴させず判決を確定させることです。弁護団と支援する会作成の要請文を添付しています。ダウンロードし署名していただき支援する会に大至急お送りください。期限は今日から2週間です。また、拡散していただき、一人でも多くの方たちからのご支援をよろしくおねがいします。