大阪社保協FAX通信   1031号 2013.3.11                                       

 

32日「大阪社保協第23回総会」に93人が参加。「地域住民の要求を実現しなければ社保協の存在価値はない」「声なき声を聞くのが私たちの活動」〜地域・団体からの積極的な声相次ぐ。

32日、「大阪社保協第23回総会」を開催、93人が参加し、2013年度の活動について意思統一しました。

以下概要を紹介します。

★井上賢二会長の開会挨拶

 昨年の総選挙で誕生した自民党の阿部政権はこれまでの構造改革路線を引き継ぎ、さらには社会保障の解体と軍事国家をめざし進もうとしています。野田内閣のもとで成立した「社会保障制度改革推進法」は国の責任を放棄し、自立、自助に矮小化し、国民相互の負担による「恩恵」の制度へとねじ曲げる「社会保障解体法」に変えてしまいました。財源は消費税でまかなうと明記しています。さらに具体的な改革の中身は「国民会議」で議論し参議院選挙後の8月に発表するとしています。これまで私たちがたたかいで積み上げてきた成果を一挙に押しつぶそうとしています。これは世界的に見ても社会保障の歴史から見ても大きな後退です。「推進法」に基づいて13年度予算の編成の中で生活保護基準の引き下げが行われようとしていますがこれは国民全体に関わる問題です。この1年「推進法」の学習と廃止の署名に全力を挙げましょう。

いま国民の大半は賃金が引き下げられ、非正規雇用で働く人たちが増えています。貧困化が深刻になってきています。その上に社会保障の負担が重くのしかかってきています。こういう時こそ社会保障の拡充が必要です。

たたかわなければ生きていけない状況に追い込まれてきています。まさしく社保協の出番の情勢です。これまで以上の国民的な大運動が求められています。ヨーロッパでは労働組合を中心にしたたたかいが起こり、政権と結びついて、社会保障の前進を勝ち取っています。フランスに視察に行った時にはストライキをしない組合は組合とは言わないと笑われました。全国ではすべての県に社保協があり地域社保協も増えていますが、歴史の中で、労働組合の分断や公務員削減で、労働組合や民主団体の力は後退してきています。

地域社保協の力をつけることが当面の課題です。先日の「地域社保協活動者会議」でも困難な状況がだされ、「人がいない」「お金がないので学習会の講師も呼べない」との意見が出されました。大阪社保協の会内の学習会はボランティアーで行きますと決めました。

大阪社保協は「21世紀は社会保障の花開く世紀に」をあい言葉に、「学習と運動」「たたかいは地域で」と頑張ってきました。最近、大阪市の桜宮高校での生徒や親たちのたたかいが、マスコミや橋下市長の教育への介入をはねのけた話を聞きました。「逃げずに現場でたたかうこと」が重要と弁護士さんから聞き感動を覚えました。

それぞれの地域や街は何百年の歴史の中で受け継がれてきました。その中で人と人のつながりを作ってきました。自然も仕事も文化もなくてはならないものです。そこで一生暮らしたいのです。経済効率だけでふる里がなくなり、生きていく権利を奪うことはできません。地域で声なき声を取り上げながら、共同の運動を広げ、すべての人が人間らしく生きられる社会を目指して頑張って行きましょう。

  2013年度の活動の柱(大方針)

.雇用・労働・最低賃金、年金、生活保護で「人間らしい健康で文化的な最低生活の暮らし」を確立する。

.「社会保障改革推進法」に対峙するたたかいは、大阪的には幅広い団体を結集し、学習・宣伝・署名を中心とした取り組みで「廃止」を目指す。国民会議で提案される内容については注視し、わかりやすい内容での情報発信を適宜行う。

.マイナンバー制度法案に対しては断固反対する。

.シングルマザー・子どもたちの貧困問題解決のために、当面「こどもの医療費・中学校卒業まで完全無料」を掲げた大阪府、そして市町村に対する大運動を「子どもの医療費助成制度拡充をめざす大阪府民連絡会」とともにすすめる。

.たたかいの主戦場である地域社保協の地力をつけるための活動強化と、地域社保協のない地域に対してはブロックを強化することで対応する。

.大阪都構想との関係での推し進められようとしている国保「広域化」について学び、反対する闘いをすすめていく。

7.マスコミとの協力・共同・連携をより一層強める。

2013年度 具体的な活動方針

(1)こども・子育て世代・若者・女性の貧困対策

18歳までのこどもの医療費の完全無料をめざす。同時に、障害者・一人親・老人についても同

様とする。

・若い世代に対する住宅手当(新婚家賃補助、ひとり親家庭家賃補助等)などによる子育て施策への政策を提案する。

・ 就学援助制度の拡充、中学校自校式完全給食をめざす。

      現役世代に対する国保減免制度(多子減免、ひとり親減免など)を拡充する。

・ 「こどもの貧困シンポ」などに取り組む。

・ 若者への発信を進めるためブログ、ツイッタ―やフェイスブック等を地域社保協でも活用できるよう支援する。

(2)2013年度自治体キャラバン行動

・実施期間は府内市町村は7月初から8月中旬までに、大阪市については9月から10月に実施する。堺市については堺社保協と相談をすすめる。

・統一要求に加え今年度も地域要求を加味した、より地域色を打ち出した要望項目とできるように地域社保協での検討をよびかける。

・自治体・公務員攻撃に対して市民として一緒に立ち向かい励ましながら自治体運動をすすめる。

(3)地域での学習・相談活動にさらに力をいれる。

      「相談窓口ステッカー」「相談活動ハンドブック」を活用し、地域社保協構成員全てが「くらしの相談員」となり、地域住民の生活支援の活動を進める。

      「北河内ブロック連続学習会」をモデルとし、各地域社保協の構成員が講師となって、地域での学習活動をすすめ、具体的な相談に乗れる相談員を数多く要請する。

      地域社保協への大阪社保協からの講師派遣は基本無料とする。

(4)国保広域化と国保改善をめざすたたかい

・ 国保が社会保障制度であり、国保の危機の原因は国庫負担の縮小にあることを前面に押し出した地域でのたたかいをすすめる。国保料引き下げ、資格証明書・短期保険証の発行を許さず、保険料・一部負担金減免制度のこれまで以上の拡充の運動をすすめる。

・いのちと健康、さらに財産までを奪う「差押え」の実態を社会問題化しストップさせるためのたたかいを大きく進める。

・医療保険一元化につながる後期高齢者医療制度・国保広域化反対のたたかいをさらにひろげる。

・無保険のこどもの完全な解消〜18歳までの子どもへの通常証発行をめざす

・昨年実施した「住民運動のための国保ハンドブック」をテキストとした「国保基礎連続講座」を今年も企画し、国保についての理解と確信を深め、運動に生かす。

 

(5)介護保険改悪をゆるさず、利用者・家族のいのちとくらしを支える介護保障制度をめざすたたかい

・社会保障制度改革推進法の中での介護保険改悪の内容を明らかにし、さらに次期介護報酬改定・第6期介護保険事業計画策定にむけての地域での運動を提起するために「住民運動のための介護保険ブックレット」を5月に発行し、全国にも運動提案を行う。

2013年度自治体キャラバン行動の中では介護保険での意見書採択運動に取り組む。

      介護現場の最前線で働くホームヘルパー、ケアマネジャー達との連携を強めるために、「つどい」「学習会」「集会」「シンポジウム」など、学習をメインに入れながらも運動提起ができるような取り組みに力をいれる。

      65歳問題」などについて、障害者団体との懇談を行うなど連携を強める。

(6)貧困・格差をなくすたたかい

・最低保障年金制度の確立をめざす。

      生活保護制度の正しい理解を得るため学習をさらに強めながら、生活保護基準以下の生活を強いられている人たちの利用を促進する取り組みをすすめる。

・最低賃金のさらなる引き上げをめざす。

・医療が絶対的に必要な人々への窓口負担無料化をめざす。

・患者負担を大幅に軽減し、いつでも安心して受けられる医療の実現をめざす。

・税の基本である「応能負担」に逆行する消費税率アップには断固として反対する。

(7)こども・子育て世代、若者、女性、障害者、高齢者等様々な分野で今もすすめられている「社会福祉基礎構造改革」や、医療・福祉・年金等を貫いてすすめられている政府の「社会保障改革」に反対し、真の社会保障・社会福祉を確立するための運動を各分野が幅広く統一して推進していくための結集軸としての役割を果たす。

(8)大阪社保協再建20周年の取り組みでの記念シンポジウムを秋に企画する。

 

★団体・地域社保協からの発言要旨

1.大生連「生活保護基準引き下げの取り組みについて」

2.大阪府保険医協会「保険医協会作成『医療・介護・生活いったいどうなるのリーフレット』の普及を

3.年金者組合大阪府本部「大阪市営地下鉄民営化問題について」

4.新婦人大阪府本部「桜の宮高校から体罰をなくし改革にすすめる会に参加して」

5.大商連・大阪市の国保をよくする会「大阪市国保料3%引き上げについて」

6.大阪難病連「難病慢性疾患患者をめぐる状況について」

7.けいはん医療生協「無料低額診療をはじめて」

8.日本共産党市会議員団「四條畷市での生活保護の現状について」

9.熊取社保協準備会「熊取社保協結成について」

10.松原社保協「公立保育所の申し込み中止の暴挙について」

11.大東社保協「大東のいのちとくらしを守る市民相談センター開所1年半の取り組みについて」

12.西淀川社保協「診療所を活用した『なんでも相談』と無料低額診療の普及について」

13.富田林社保協「富田林の介護事業所アンケートについて」

14.枚方社保協「枚方生活保護自動車保有訴訟と枚方の国保料値上げストップの運動について」

15.住吉区社保協「住吉市民病院の廃止条例の提案の動きに抗議し撤回を求める運動について」

16.高槻社保協「国保料値上げストップと保険の料減免制度改善を求める取り組みなど」

 

 

総会アピール

122日実施の「生活保護無料電話相談」には150件もの相談が、214日実施の「国保なんでも110番」には67件もの相談が寄せられました。いずれの相談でも「失業している」「年金が少ない」「暮らせない」「保険証がない」「医療費が払えない」など、生活苦を訴える声が殆どでした。一つ一つの相談内容の深刻さは現在の貧困と格差の広がりを象徴しています。

 

昨年8月、自民・民主・公明の賛成多数で強行された消費税増税と社会保障制度改革推進法は、社会保障制度を「自助・共助」の制度に変質させ、その財源を消費税に限定するものです。

この危険な流れは、TPP交渉への参加でアメリカの巨大製薬会社や民間保険会社の儲けのために日本の国民皆保険制度を崩壊に導く地ならしといえます。社会保障制度改革推進法の危険な内容と狙いを学習し、廃止させる運動を地域社保協・各団体の隅々から起こしていきましょう。

 

生活保護バッシングを利用して生活保護基準の引き下げが実施されようとしていますが、今生活保護を利用している人たちの暮らしを困難にするばかりか、様々な社会保障制度に大きな影響を与え、さらには最低賃金や非課税限度額引下げにもつながりかねず、断じて許されません。

 

 いま、大阪社保協、そして加盟団体組織、地域社保協などが持っている情報、運動で勝ち取ってきた制度やノウハウなど私たちの「知恵と力」は他のどこにもないものであり、多くの人々が欲しいと思っています。それはラジオ番組で紹介されたことにより「相談活動ハンドブック希望」という手紙や電話が大阪社保協には600件以上もあり、いまなおとぎれることなく続いていることが証明しています。

 

私たちの活動はいま、強く求められているのです。

 

さあ、地域で、一人一人が「相談員」となって相談にのり、そして仲間をさらに作って組織を大きくし、たたかいを広げていきましょう。

 

「たたかいはローカルからオールおおさかオールジャパンへ」を合言葉に。

                  

 201332日 

大阪社会保障推進協議会 第23回総会

 

 

★祝電・メッセージをありがとうございました!!(敬称略でご紹介します)

【自治体首長】

富田林市長多田利喜 泉佐野市長千代松大耕 泉南市長向井通彦 羽曳野市長北川嗣雄  

岸和田市長野口聖 貝塚市長藤原龍男 田尻町長原明美  和泉市長辻みちひろ 茨木市長木本保平 

能勢町長山口禎 吹田市長井上哲也 大阪狭山市長吉田友好 千早赤阪村長松本昌親 

太子町長浅野克己 八尾市長田中誠太 枚方市長竹内脩 泉大津市長伊藤晴彦 豊能町長田中龍一

【議会議長】

大阪市議会議長辻淳子 東大阪市議会議長 和泉市会議員団議長服部敏男 堺市議会議長吉川敏文 

八尾市議会議長大松桂右 富田林市議会議長尾崎哲哉

【地方社保協】 

徳島県社保協 和歌山県社保協 京都社保協 三重県社保協 長野県社保協 大分県社保協 

埼玉県社保協 東京社保協 沖縄県社保協 北海道社保協 茨城県社保協 長崎県社保協

【友誼団体】 

全大阪消費者団体連絡会事務局長 飯田秀男