大阪社保協FAX通信   1023号 2012.12.27                                        

 

「生活保護ハンドブック」大好評、在庫があとわずか、お早目にお申し込みを!!〜教員の方から感想がよせられました。

12月初旬に発行した「生活保護ハンドブック」ですが、「わかりやすい!!」「読みやすい」「これだけ充実して100円なんて安すぎる」などなど、大好評です。

特に介護現場で働くみなさんからの注文が多く、毎日のように事務所に買いに来られています。

今日は大阪の教員の方から感想がよせられましたので掲載します。なお、在庫が1000冊程度になりました。増刷については現在未定で来年の状況をみて検討することになっています。ちらしは↓

http://www.osaka-syahokyo.com/bira/121204-seikatsuhogo-handbook.pdf

  生活保護もっと勉強して子どもたちにもしっかり教えたい

大阪社会保障推進協議会(社保協)が「あなたは本当のことを知っていますか 生活保護ハンドブック」というブックレットを出しました。先日、知り合いから戴き、読んでみました。

お笑いタレントの母親が生活保護をもらっていたとしてバッシングを受けたことは記憶に新しいと思いますが、そこから始まりバッシングの狙いは何か、生活保護の制度はどういったものか、生活保護法の4つの原理とは?(実は私もあまり知りませんでした)、どんなときに利用できるのか、労働者の賃金の問題、日本の貧困の原因、社会保障制度改革推進法のねらい、大阪市西成区で起きていることなど、本当にわかりやすく整理されて書かれています。

そして最後に「あなたの収入はこれより低くありませんか」として、「最低生活費を計算してみましょう」という欄では、自分の生活費について計算するところまであり、「この金額より収入.が低ければ申請できます」となっています。

日本の社会保障制度がいかに貧困か、また当然の権利として生活保護の制度があるということ、日本の労働者自身がどれほど劣悪な状況に追いやられているかということなど、わかりやすく解説されています。生活保護なんて関係ないと思わずに、しっかり認識を深めなくてはと思いました。

生活保護に対して、中学の公民の授業でも取り上げていましたが、もっと勉強してしっかり教えようと思います。このブックレット本当にオススメです。     (中学校社会科教員 平井美津子)

 

中央社保協が「生活援助時間短縮問題に関する訪問介護事業所アンケート」を実施、11都府県889事業所から51000ケースについての回答まとまる。

 

 昨日の赤旗新聞でも報道されていましたが、大阪社保協がよびかけ、全国的には中央社保協が実施した「訪問介護・生活援助時間短縮問題に関する訪問介護事業所アンケート」は11月末に集約、そして125日に中央社保協・介護保険・障害部会が記者会見を行いました。

以下、調査結果について報告します。

 

 

生活援助時間短縮問題に関する訪問介護事業所アンケート結果について

 

2012125日 中央社会保障推進協議会 介護障害部会

1.    調査概要について

 

4月の介護保険の報酬改定により、訪問介護の生活援助時間や通所介護の時間の削減等が行われた。中央社会保障推進協議会ではこの改定による訪問介護の時間区分の変化、利用者への影響、さらに訪問介護事業所の経営状況やホームヘルパーの給与について、直近の8月分の影響調査を行うこととした。(別紙調査票)

調査は9月から10月の間、東京都、千葉県、埼玉県、愛知県、京都府、大阪府、香川県、鹿児島県、青森県、佐賀県、神奈川県の各社会保障推進協議会が、各都府県の訪問介護事業所から抽出調査を実施した。

その結果、上記11都府県の889訪問介護事業所から51,030ケースについての回答があったので以下報告する。

 

2.    調査結果について

 

1)訪問介護時間の変化について

 4月以降の訪問時間で「従来通り」との回答は32%で、最もこの数値が大きかったのが京都府の45%である。いずれにしても、「変更したケース」が7割近くあるということになり、今回の訪問介護報酬改定は訪問介護時間に大きな影響を与え、厚生労働省が当初いっていた「これまでどおりのサービスはできる」とQ&Aとはほど遠い実態となっていると言わざるを得ない。

 時間「短縮」とした回答は、合わせて40%ほどになっており、無回答など全ケースが網羅できていないためだと思われるが、佐賀県では38%、埼玉県では27%が短縮となっている。

 

 

全件数

C介護報酬改定による訪問介護時間短縮

従来通り

短縮

90分→60

60分→45

その他

回数増

東京都

4,927

1,649

33%

1,049

21%

399

8%

399

9%

119

2%

102

2%

千葉県

3,553

821

23%

360

10%

202

6%

497

14%

214

6%

87

2%

埼玉県

1,586

381

24%

426

27%

110

7%

187

12%

59

4%

25

2%

愛知県

12,987

3,853

30%

2,486

19%

1,258

10%

789

6%

439

3%

220

2%

京都府

790

355

45%

174

22%

103

13%

53

7%

18

2%

25

3%

大阪府

7,692

2,312

30%

1,713

22%

1,016

13%

779

10%

228

3%

209

3%

香川県

519

125

24%

121

23%

174

34%

34

7%

148

29%

27

5%

鹿児島県

1,237

436

35%

237

19%

140

11%

105

8%

6

0%

17

1%

青森県

14,020

5,672

40%

313

10%

848

6%

842

6%

184

1%

189

1%

佐賀県

1,400

313

22%

531

38%

304

22%

150

11%

75

5%

34

2%

神奈川県

2,319

542

23%

261

11%

135

6%

96

4%

30

1%

42

2%

合計

51,030

16,459

32%

7,671

15%

4,689

9%

3,931

8%

1,520

3%

977

2%

 

(2)予防訪問介護の変更について

 予防訪問介護は本来「包括報酬」であり時間短縮にはならないはずだが、現実には51%が「短縮」、平均「20分」の短縮で、愛知、京都、大阪、香川で20分以上になっている。これは訪問介護サービスが60分から45分に短縮されたことにあわせた時間短縮だと言えるだろう。

 

 

D介護予防サービス時間の変更

従来通り

短縮

短縮内容()

東京都

37

57

18.3

千葉県

35

37

15.8

埼玉県

14

18

16.9

愛知県

116

107

25.4

京都府

3

10

22.9

大阪府

74

81

21.3

香川県

3

5

23.3

鹿児島県

0

0

0

青森県

92

59

19.1

佐賀県

9

16

0

神奈川県

0

0

0

合計

383

390

163

構成率

49.0%

51%

 

 

(3)どのサービスが削られたのか

注目すべきは889事業所のうち70%の事業所が「コミュニケーション」が削られたと回答したことである。

ホームヘルプの現場を一度でも見ればわかるが、ホームヘルプサービスは無言で行われるのではない。利用者に対して非常に多くの声かけや会話がされ、高齢者の心の安定、そして状態観察が行われている。特に独居高齢者や認知症高齢者、障害高齢者にとってはコミュニケーションや会話は極めて重要である。今回の時間短縮によって、この大切な「コミュニケーション」が削られたということは高齢者の心身の状況に大きな影響を与えるであろうことは想像に難くない。

そして、次に多いのは「掃除」の46%である。「生命」に一番影響が出ないと考えるサービスが削られているのではないか。

 

 

E削られたサービス

コミュニケーション

掃除

洗濯

買物

調理

その他

東京都

63

42

11

26

28

6

千葉県

49

37

6

9

14

 

埼玉県

17

19

5

8

11

8

愛知県

170

93

26

41

39

30

京都府

 

 

 

 

 

 

大阪府

111

93

24

32

32

2

香川県

7

6

2

2

3

2

鹿児島県

17

10

2

6

5

2

青森県

108

57

29

29

30

4

佐賀県

22

14

5

6

6

1

神奈川県

0

0

0

9

16

264

合計

564

371

110

168

184

319

構成率

70%

46%

14%

21%

23%

40%

※回答事業所889カ所で割り出している。

 

(4)時間短縮による利用者への影響について

「情緒不安定」21%、「信頼関係悪化」15%、「状態悪化」8%はいずれも介護度アップにつながる要因でもあり、非常に問題がある。これは(3)の「コミュニケーション」を削ったことが引き起こした結果といえるのではないか。「信頼関係悪化」の原因は時間短縮が利用者の納得を得られる合理的な理由がないことによることが別掲の「自由記載」から読み取ることができる。利用者の不満は非常に大きい。

さらに「利用料増」は利用者に大きな負担を強いるものであり、利用抑制にもつながりかねない重大な問題である。

 

 

F時間短縮による利用者への影響

情緒不安定

状態悪化

利用料増

信頼関係悪化

サービス提供停止

変化なし

その他

東京都

20

11

20

19

7

35

 

千葉県

18

7

17

12

7

30

 

埼玉県

11

2

7

10

2

9

 

愛知県

50

22

50

37

8

84

45

京都府

3

0

5

3

0

1

 

大阪府

41

10

47

30

5

43

 

香川県

3

3

2

4

1

1

 

鹿児島県

7

0

1

4

2

4

 

青森県

29

14

22

16

5

67

0

佐賀県

5

1

5

4

2

13

0

神奈川県

19

13

5

9

6

0

5

合計

206

83

181

148

45

287

50

構成率

21%

8%

18%

15%

5%

29%

5%

※回答事業所889カ所で割り出している。

(5)厚生労働省の20123月「Q&A」の認知について

 「知っている」46%、「知らない」54%となり、過半数が知らなかったという結果となった。調査した8月の段階でも、厚生労働省の周知は不充分であり全く徹底されていないのが実態である。

 

 

G201203QA」の認知

知っている

知らない

東京都

50

45

千葉県

27

44

埼玉県

14

5

愛知県

93

121

京都府

5

8

大阪府

70

73

香川県

3

5

鹿児島県

11

12

青森県

76

87

佐賀県

11

15

神奈川県

1

5

合計

361

420

構成率

46%

54%

※回答事業所889カ所で割り出している。

 

6)事業所の経営状態について

 「減少」が最も多く45%、「同じ」と「増加」がいずれも27%であった。地域区分の変更や処遇改善の加算化などという要素があるので、一概に時間短縮による影響とは言えないが、いずれにしても介護報酬改定全体による影響として、半分の訪問介護事業所の経営が悪化しているという実態は看過出来ない事態であるし、今後、事業撤退の流れが危惧される。

 

 

H20128月収入(前年同月比)

同じ

増加率

減少率

東京都

18

26

17.2

49

12.3

千葉県

19

20

27.5

29

19.3

埼玉県

5

11

16.5

16

14

愛知県

79

63

27.6

85

14.9

京都府

1

6

9.8

4

14

大阪府

42

34

18.3

72

14.1

香川県

0

1

 

7

9.9

鹿児島県

4

7

32.7

9

24.3

青森県

47

48

27.6

92

12.6

佐賀県

5

9

7

13

15

神奈川県

6

1

1

0

1

合計

226

226

11.8

376

11.8

構成率

27%

27%

 

45%

 

※回答事業所889カ所で割り出している。

 

7)ホームヘルパーの給与の変化について

 「同じ」が45%。「増加」26%、「減少」29%であった。(6)の事業所の経営状態に比べて、「同じ」が多い理由はこのデータからは分析することは出来なかった。しかし、「自由記載」をみると、ホームヘルパーの給与を下げると退職につながるため事業所として無理をして前年度までの処遇と変えないよう努力しているとの回答が多い。このアンケートは事業所の経営者・管理者・サービス提供責任者が書いているので、事業所の事情が率直にだされているのではないか。また、ヘルパーが足りず事業所を閉鎖したとの記載も目立つ。

 

I8月のヘルパーの給与(前年同月比)

同じ

増加率

減少率

東京都

21

21

11.7

35

11.3

千葉県

26

24

13.2

17

17.0

埼玉県

16

16

16.3

7

6.75

愛知県

135

42

14.8

56

12.5

京都府

3

3

12.0

5

17.3

大阪府

67

44

18.6

50

11.9

香川県

3

1

 

4

7

鹿児島県

8

3

132

10

11

青森県

97

72

8.0

17

11.2

佐賀県

13

6

7

8

13

神奈川県

14

5

1

55

1

合計

403

237

31.2

264

11.8

構成率

45%

26%

 

29%

 

    回答事業所889カ所で割り出している。

 

3.    調査結果を踏まえて〜利用者・事業者・ホームヘルパーの犠牲と引き換えの「時間短縮」

 

 政府・厚生労働省は2025年めざし「地域包括ケア」を確立するという目標を打ち立てており、今回の介護報酬改定はその第一歩であつたはずである。

しかし、私たちが行った「調査結果」がしめすものは一言でいえばこのような近未来ではないだろうか。

ホームヘルパーは処遇悪化とやりがいを失い早晩介護現場を去ってく。事業者は経営悪化で撤退する。残された利用者・高齢者・障害者は状態悪化や介護不足の状態で地域に置き去りにされる。2025年のその時、在宅介護の大きな部分を占める訪問介護の担い手は果たしているのだろうか。

私たち中央社保協・介護部会は、尊厳ある自立生活を高齢者が地域で送ることのできるよう一日も早く、再報酬改定を行うことを求めるものである。

 

来年23日、堺で「ヘルパーとケアマネのつどいin大阪」を開催します!!ぜひご参加ください。

20124月から介護保険法の「改正」と介護報酬が改定されました。特に、ヘルパーに関わる生活援助の基本提供時間が切り捨てられ、現場では様々な問題が起きているのではないでしょうか?

大阪社保協・よりよい介護をめざすケアマネジャーの会は実行委員会を結成し、初めて堺市でヘルパーとケアマネのつどいを開催します。

一人ケアマネや登録ヘルパーなど、一人で奮闘している方も多くいます。ヘルパーもケアマネも、みんなでつながり、学び、交流し、生きがいをもって働き続けられるようにしていきましょう。 

 

ヘルパーとケアマネの集いin大阪

★日時 201323日(日)930分から12時30分

★場所 堺市総合福祉会館 大研修室他     (*手話通訳有)

堺市堺区南瓦町2−1    電話072-222-7500

★主催 つどいin大阪実行委員会(事務局 大阪社保協)

★参加協力費 1000

(大阪社保協・よりよい介護をめざすケアマネ・ヘルパーの会会員は無料)      

   分科会

@ あらゆる制度と社会資源を使って暮らし丸ごと支援しよう!

A .ホームヘルプここまでできる〜介護保険制度の訪問介護の活用について考える〜

B こんな利用者とどうつきあったらいい? 

C生活援助は必要だ〜支援の専門性とは〜

D精神障害をもつ人たちの暮らしの支援について〜まず精神障害の理解からはじめよう