大阪社保協FAX通信   1003号 2012.4.23                                        

市民に寄り添う市政であるかどうか実態にもとづき検証、改善を強く要求〜4月19日、100人の参加者のもと「四條畷国保交渉」実施される。

4月19日(木)、四條畷市役所で「四條畷国保交渉」が実施されました。当日の参加者は四條畷実行委員会、そして枚方、寝屋川、守口、門真、交野、大東の各社保協近畿ブロックのみなさん、楠弁護士、大商連、大生連、大阪府保険医協会、大阪府歯科保険医協会などから100人が参加しました。

当局からは、総務部長、健康福祉部健康・保険担当部長、徴収対策課長、課長代理、主任、保険年金課長等が出席しました。

四條畷市は2010年度から、市民税と国保料の滞納分は一括して総務部徴収対策課が徴収を行っています。

★口頭回答と実態とのかい離大きく

 まず、4月12日に四條畷市国保問題実行委員会と大阪社保協が提出した「質問状」に基づき、口頭で回答がされましたが、保険年金課長と徴収対策課長による回答と実態との間に大きなかい離がありました。

「困窮の相談を受ければ生活福祉課(生活保護)に案内することもある」

先の15日の「国保相談会」(fax通信1002)で寄せられた相談内容にもあるように、国保滞納者はその前に生活困窮者である可能性があります。しかし、2011年度、保険年金課から生活福祉課へつないだのはたった1件であり、徴収対策課からは皆無でした。

 

   「保険と給付は別。滞納があっても必ず給付する」「給付の一部を納付に充てる場合もあくまで本人の了承を得て」・・・実態は現金を本人に手渡していない!!

回答の中で「給付と収納は別」という言葉が何度も繰り返されました。しかし、実態は全く違います。Fax通信992号の「四條畷市国保黒書」で告発のあったケースについて事実を確認しました。

http://www.osaka-syahokyo.com/fax/992.htm

建設業をされていたbさんは仕事がたちゆかなくなり、1月に生駒山で自殺をされました。その奥さんが国保の葬祭費を申請にその次の日市役所保険年金課を訪ねました。夫が自殺をされたその次の日、どんな思いで役所を訪れたのでしょうか。それでも「なんとか葬式をしたい」という切実な思いで市役所を訪れたのです。

四條畷市国保では葬祭費は4万円支給されます。保険年金課は申請されたbさんに「給付しますが、そのまま徴収対策課に行ってください」と告げbさんの奥さんに「領収書」を渡しました。bさんの奥さんはてっきり徴収対策課で「葬祭費4万円」が渡されるものだと思っていたのですが、徴収対策課は「葬祭費は国保料の滞納分に充てますから」と言い、いつの間にか収納に充てられたのです。bさんの奥さんは一度も葬祭費を現金として手にすることはありませんでした。

 

ここでは四條畷市による法律違反が行われています。国保料支払い義務は世帯主のbさんにありましたが、葬祭費はbさんの奥さんに支払われます。

四條畷市は「給付の一部を納付に充てる場合は本人の了承を得た上で」と回答しましたが、4万円が奥さんの手には一度も渡されず、四條畷市は帳簿上の付け替えで相殺を行ったのです。これは明らかに法律違反です。

「なぜこんなことをするのか(現金渡さないで帳簿の付け替え)」という問いに対して四條畷市は「保険年金課で申請して会計で支給し、また会計に行って納付していただくのは来庁者に同じ行為を二回繰り返していただくことになるので・・・・」という驚くべき回答をしました。

bさんの奥さんの場合は会計にさえ行っていません。渡されたのは「領収書」のみで、「あくまで本人に了承を得ている」と言いながら、前日にご主人を自殺で亡くされた方に「納付してくれ」と言うなど、なんと非人間的な行為でしょうか。

明らかに生活困窮が予想される市民に対してなぜ生活相談をしないのか

さらに、このbさんには子どもが6人おられ、一家の大黒柱のご主人をなくし、誰が見ても生活困窮が予想されるケースです。

保険年金課や徴収対策課の職員に普通の感覚があれば、「ご主人亡くなられてこれからが大変ですね、

くらし、どうされますか、だいじょうぶですか、お困りなら生活保護につなぎますよ」と暖かい言葉をかけ、親身になった生活相談をするのが行政の本来の姿ではないでしょうか。

しかし、四條畷市は、現時点においてもbさんの奥さんの生活相談に応じていません。  

★減免についてはホームページに掲載しているというが、実態は・・・

四條畷市の国保料条例減免は全国的にも優れたものとなっています。回答では、「ホームページに掲載している」ということでしたが、実際はどうでしょうか。

四條畷市ホームページ→各課のページ→保険年金→国民健康保険関連のページ→「国民健康保険料の納付でお困りの人はご相談ください」でやっとたどり着きつき、以下のように記述されていますが、減免の内容が分かるものではありません。

また、国保加入世帯は高齢者、低所得者が多い中で、パソコンを持ち、ホームページを見ることが出来る人は一体どれだけいるのかも疑問です。

 

失業や長期の入院などで、国民健康保険料の納付が難しくなった人は、納付期限が過ぎる前にご相談ください。

 

相談者の状況に応じて、納付回数を通常より多くする分納(保険料の支払い総額は変わりません)や保険料の減免が可能な場合があります。

 

国民健康保険料を滞納していると、通常の保険証が交付されなくなります

 

保険料を滞納していると、未納期間に応じて保険証の種類が変わっていきます。

おおむね3ヶ月から半年くらい滞納すると更新時に短期証(有効期限が6ヶ月や3ヶ月のもの、場合によっては1ヶ月のものもあります)が交付され、1年以上滞納すると保険証の代わりに資格証明書が交付されるようになります。

 

四條畷市の生活相談は「どれくらいの収入でどうすれば滞納が払えるか」の一点のためにのみ行われている 

 

2時間の交渉を通してわかったことは、四條畷市にとっての生活相談とは、「どれくらいの収入で、どうすれば滞納を払えるか」の一点しかないということのようです。残念ながら、今の四條畷市は、滞納さえ払ってくれれば市民がどうあろうと気にも留めていない、そういう行政だと受け止めざるを得ません。

市民に寄り添う行政に変えていくため四條畷市に要求したこと

市民に寄り添う行政、そして市民の顔が見える行政でなければ、自治体である意味がありません。四條畷市に強く要求した「明日からでも変えられる要求」は以下です。

 

@国保滞納世帯は生活困窮世帯である場合が多い。市民によりそった行政を行うために市民の生活状況をよく聞き、国保滞納〜徴収だけでなく、生活支援につなげるための総合的な「相談窓口」「市民相談室」などの設置を検討すること。

A     「給付と収納は別」であるならば、給付を市民の納得なしに収納あてることを今後一切しないこと。さらに、葬祭費や高額療養費の申請に来た市民に対して「給付を滞納に充てる」ような相談を一切しないこと。

B市民向けのわかりやすい減免制度のチラシをすぐに作り、国保料決定通知とともに送付させ、さらに市役所担当窓口におくこと。

★総務部長・健康福祉部健康・保険担当部長がどう回答したか

この要求に対しては、課長ではなく権限のある部長に回答を求めました。

 

@     に対しては

「相当苦しい市民が多くおられることは認識している。市民生活によりそった市民相談室の提案は出来るかどうか検討させていただく。すでに人権も含め総合相談体制があるので、より一層機能するような仕組み作りを検討してまいりたい」

 

A     に対しては

「給付と収納は別、ということで高額療養費や葬祭費の給付については一定、担当課は改善したということになっている。確かに人が困っているときに徴収対策の相談をしていただかなければならないのかについては一定改めてまいりたい。しかし、元気な方、相談にこられない方については徴収対策課に寄っていただく。確かに人が困っているときにこのような相談をするというのはいかがなものかとは思う」

 

B     に対しては

「減免パンフレットについては、申請に来られた方には第1〜第8までの内容が入ったものを窓口で渡している。しかし、これはあくまで申請書なので・・・。今回全ビラを配っていただいたので市民には周知されたかと。よりよい形で改善していきたい。」

大阪市などでは独自の「3割軽減」対象全世帯に申請用紙を送付しているとの指摘に対して「大阪市のように全対象者というわけにはいかないが・・・検討するようにしたい」

 

 部長レベルでは、前向きな回答を得られたのではないかと思いますが、窓口での対応が変わったのかどうか、減免チラシが早速作成されたのかどうかなどの監視を四條畷市民がしていく必要があります。

★四條畷社保協の再建で市民に寄り添った市政を取り戻そう

一度きりの交渉で市政が劇的に変わることはありません。住民運動は日々の継続的な活動が基本です。

今回の取り組みを契機として、地元のみなさんも「地域社保協がなければやっぱりだめだ」ときっと感じておられることと思います。次のステップ「四條畷社保協再建」にむけて歩みだされることを期待してやみません。

四條畷のみなさん。北河内中に仲間がいます。大阪中に仲間がいます。動けば必ず変わります。ご一緒に、たたかいましょう。