大阪社保協 FAX通信   1060号 2013.12.26

                                      

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1220日、社会保障審議会介護保険部会が「介護保険制度見直しに関する意見」取りまとめ。大阪社保協・介護保険対策委員会が「緊急アピール」発表〜介護保険制度始まって以来の大改悪、さあ、たたかいはこれからだ!

社会保障税一体改革の一環として、介護保険見直しを検討してきた厚生労働省は、社会保障審議会介護保険部会で12月20日に「介護保険制度見直しに関する意見」(以下「見直し意見」)をまとめました。

この内容に対して大阪社保協・介護保険対策委員会が「アピール」を発表しました。

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介護保険にかかわるすべてのみなさんへの緊急アピール

介護保険制度始まって以来の大改悪案 

改悪を許さないため声を上げましょう

   20131225日 大阪社保協 介護保険対策委員会

 

利用者負担増とサービス切り捨ての大改悪メニュー

介護保険利用者と家族のみなさん。

ケアマネジャー・ヘルパーのみなさん、介護保険事業所・施設で日々介護に従事されているすべてのみなさん。

そして介護保険料を負担しているすべての国民のみなさん。

社会保障税一体改革の一環として、介護保険見直しを検討してきた厚生労働省は、社会保障審議会介護保険部会で12月20日に「介護保険制度見直しに関する意見」(以下「見直し意見」)をまとめました。

その内容は、介護保険制度始まって以来の大改悪というべきものです。

要支援者のサービス切捨て

第1に、要介護認定者の3分の1近い約150万人の要支援1、要支援2のホームヘルプ(訪問介護)とデイサービス(通所介護)の保険給付を廃止し、市町村事業(地域支援事業)にしてしまうことです。介護保険料を支払い、要支援1、2と認定されても被保険者の権利である保険給付が受けられないという介護保険制度の根幹にかかわる改悪です。

厚労省は当初、要支援者サービスの保険給付を全面廃止する案を示していましたが、関係者の反対の声の前に、ホームヘルプとデイサービスだけを廃止対象にしました。しかし、この二つだけで要支援者のサービス費の6割を占め、その利用者はそれぞれ60万人に上ります。市町村事業では、「訪問型サービス」「通所型サービス」とされ、全国統一基準はなくなり、住民ボランティアなどに肩代わりさせ安上がりにすることにされています。さらに、事業者への報酬は「現行単価以下」に下げられる一方、利用料は、要介護者の負担割合を「下回らない」としています。さらに利用者個人の「限度額管理」を行って利用を制限し、自治体の事業費に「上限額」を設けて費用を抑え込むという二重三重のサービス切り捨ての仕組みを作り上げようとしています。「見直し意見」では、「多種多様な事業主体」による重層的なサービスが地域で提供され「支援が必要な高齢者を支える社会を実現する」などとして、この仕組みを全市町村で2017年度末までに、要支援者のホームヘルプとデイサービスを廃止、すべて市町村事業にすると断言しています。しかし、大多数の市町村は、住民ボランティアなどの育成の目処はまったく立っておらず、要支援者のサービスの切捨てだけが進行することは明らかです。

特養は要介護3以上に限定

 第2に、特別養護老人ホーム入所者を要介護3以上に限定して要介護1,2の人を入れなくすることです。要介護者は施設サービスを利用する資格(受給資格)がありますが、特養ホームから要介護1,2の人を除外するこの改悪は、今後、軽度者を恣意的な線引きにより他の介護サービスから次々と排除していく第一歩になりかねない重大な意味を持っています。

これも、利用者団体などからの反対により、特養以外での生活が「著しく困難な場合」は特例的に入所を認めると「見直し意見」に書き加えましたが、要介護2以下の排除の基本は変わっていません。特養入所待機者42万人の3分の1以上の13万人は要介護1.2です(厚労省09年12月資料)が、改悪により、これらの人は特養からシャットアウトされてしまいます。政府の誘導により急増している「サービス付き高齢者向け住宅」は、入居一時金、居住費・食費は完全に自己責任の「住宅」であり、提供されるサービスも格差が激しく、特養に替わることはできません。多くの高齢者が行き場を失い「介護難民」となってしまいます。

少しばかりの所得で負担2倍に

第3に、これまで「1割」であった利用者負担を、所得によって「2割」へと引き上げることです。介護保険制度は「所得に関係なく1割負担」とされており、これも制度開始以来の大改悪です。社会保障制度改革国民会議の議論の中では「医療保険との整合性」を口実に、「一定の所得者は負担割合を引き上げるべき」としてきました。ところが、今回の「見直し意見」では、2割負担の対象となるのは「所得160万円以上(年金収入の場合280万円)」という、とても高所得とは言えない金額でした。高齢者医療の「現役並み所得」が、年収383万円以上であることと比べても、きわめて厳しい線引きです。厚労省は、これについて、「平均的消費支出」や「モデル年金」を上回っていることを根拠に「負担可能」と決めつけています。このような手法でいけば、将来的には「全員2割負担、現役並み所得は3割負担」などということになりかねません。70歳〜74歳の医療費負担が現在の1割から2割への引上げが狙われていることをみてもその危険性は現実のものです。

要介護高齢者は、利用料以外にもさまざまな金銭的負担がかかっており、今でも「介護貧乏」「介護破産」という言葉さえあります。少しばかり所得があるからといって2倍の負担増は、必要なサービスを削らざるを得ない人が続出することになり「経済的介護難民」を生み出しかねません。

介護保険と同じ1割の「応益負担」で2006年度に始まった障害者自立支援法のサービスは、障害者の一致したたたかいによって、低所得者は「無償」となりました。その障害者が65歳になると「介護保険優先」で、1割負担となり、全国各地で問題が噴出し裁判闘争に発展しています。「見直し意見」は障害者サービスについては、まったく無視したまま、さらなる負担増を押し付けようとしています。

低所得者でも貯金があれば施設の食費・部屋代補助打ち切り

 第4に、介護保険施設の入所者やショートステイ利用者の食費・部屋代補助制度の改悪です。

介護保険施設の食費・部屋代は、自己負担ですが、低所得者(非課税世帯)は、介護保険から補助(補足給付)があるので低く抑えられています。たとえば、特養ホーム(個室)では、通常は食費・部屋代だけで月10数万円かかりますが、非課税世帯で年金80万円以下の人なら月3万6千円程度で済みます。

これを、世帯分離している夫婦でも、配偶者が住民税課税ならば対象外に、また、預金が一定以上(単身者1000万円)あれば対象外にするという改悪案です。もともと施設の食費・居住費は保険給付の対象だったのが、2005年改悪で自己負担とされ、今回の改悪では、老後の備えの貯金や別居の配偶者の所得まで口実にして、低所得者に対する救済措置まで奪い取るというきわめて悪質なものです。

要介護者を切り捨てて「制度持続」

これらの改悪について、「見直し意見」では、高齢化が進み公費・保険料が上昇するので、介護保険制度の「持続可能性を確保する」ためだと説明しています。要支援者のサービス切り捨てで将来的に年間1670億円削減、利用者負担引上げで750億円、補足給付改悪で740億円を削減するという数値もあげています。

しかし、高齢者の「尊厳の保持」、「自立した日常生活のために必要な給付」という介護保険制度の「目的」を投げ捨て要介護者と高齢者に負担増とサービス削減を押し付けることによって「制度持続」をはかるという見直し方向は、まったくアベコベな議論です。要介護者・高齢者に負担と犠牲を押し付けなければ「持続可能性」が確保できないような制度であれば、その制度を根本から見直し、つくり変えることこそ必要です。

地域包括ケアは、「自助・互助」と費用抑制の「手段」

 「見直し意見」は、「介護保険制度の持続可能性の確保」とともに「地域包括ケアシステムの構築」も見直しの基本的考え方としています。しかし、その具体的内容は、「自助」と「互助」を基本とした「高齢者相互の助け合い」によって、地域でネットワークをつくることで、「生活支援サービス」の提供主体の確保を図るというものです。「在宅医療・介護連携の推進」や「認知症施策の推進」なども挙げられていますが、公的責任と公費支出の裏付けがなく、主体となる市町村の力量や能力もきわめて心もとないのが実情です。「見直し意見」では、地域で現実に進行している貧困や孤立、「無縁社会」現象などを直視すらしていません。「地域包括ケアシステム」をいくら書きならべても、実現するものではありません。

それどころか「見直し意見」では、上記の4つの改悪メニューのすべてについて、「様々な個別意見はあったものの、次期制度改正で速やかに実行すべきであるというのが意見の大勢であった。」と、結論づけています。

今こそ、政府と国会へ声を、そして世論に訴えよう

 「見直し意見」は取りまとめられましたが、厚労省の審議会の意見にすぎません。たたかいはこれからが本番です。

介護保険法改正案は、2014年1月下旬からの150日間の通常国会に提出、具体的な内容はさらにその後の政令・省令・告示、通知改定が必要で、さらに2015年度介護報酬改定の検討も控えています。

 9月から3ヶ月余りの議論の中でも、政府厚労省の改悪案が関係者に知らされるにつれ反対の声と運動が広がってきました。要支援外しと特養の重度者限定問題で、厚労省案の一部を修正させたこともその表れです。多くの自治体関係者からも「住民ボランティアなど2年やそこらではできない」「利用者負担の変更に伴う事務が大変で対応できない」など、戸惑いの声も上がっています。

 当面は、政府・厚労省に改悪法案を出させないこと、そして、国会で改悪法案を通さないたたかいが重要です。

 介護保険改悪問題は、その内容や狙いが国民に知らされていません。今、決定的に大切なことは、改悪内容と知らせること、そして世論に訴えながら、政府・国会で改悪にストップをかけることです。 

 

具体的には、厚生労働大臣に対する「はがき大運動」、地域で配布できるチラシ作成と宣伝行動、地域単位で介護保険事業者を巻き込んだ学習活動、23月市町村議会での「意見書採択運動」などに取り組み、大きな世論を作り上げましょう。

まさに、たたかいは今からです。

 

 

 

 

 

 

1.18滞納処分・差押問題国保西日本国保交流集会」参加申込120人超える〜くれぐれもお急ぎください!!

118日開催の「滞納処分・差押問題 西日本国保交流集会」ですが、現時点で120人を超えました。会場のキャパシティは最大150人で、これ以上は絶対にお入りいただけませんので、「完全事前予約制」とし、150人越えたらキャンセル待ちとさせていただき、当日飛び込み参加は一切認めませんので、よろしくおねがいします。

★午前中3時間で「滞納処分」問題について徹底的に学びます!!

前半は楠晋一弁護士に「滞納処分の基礎と運動の到達点」をしっかりとお話いたただきます。大阪的にはすでに3回ほど楠弁護士に学習会の講師をしていただき、大阪社保協自治体キャラバン行動資料集にも「国保料(税)の差押の法的根拠と判例」として収録しており、事前学習会などではしっかりと学んできたところですが、全国的には「滞納処分」の基礎知識をしっかりと学ぶ機会は、これが初めてといえるのではないでしょうか。

さらに後半では、「鳥取児童手当差押裁判」について現地鳥取民商からと、そして弁護団の勝俣弁護士に11月27日に広島高裁島根支部でだされた控訴審判決について、その意義と今後の運動への生かし方をお話いただきます。

★鳥取児童手当差押裁判とはなにか

税や国保料(税)などは「公的債権」と言いますが、納付期限が過ぎると国・地方自治体は強制的に取り立てることが法律(国税徴収法・地方税法)に定められています。これを「滞納処分」といいます。そのために財産調査を行い、財産(預貯金、不動産、生命保険等)が見つかった場合は、差し押さえることができます。

ただ、「滞納処分」には様々なルールが法的厳密に定められており、「児童手当」も差押が禁止されている債権の一つです。

この裁判は2008年6月、鳥取市の男性の預金口座に振り込まれた児童手当を鳥取県が滞納した県税を回収するために、振り込まれた直後に差押えたことに対して、処分の取り消しと損害賠償を求めて争った裁判です。

今年3月の一審判決では、男性の主張が全面的に認められ、県に1373円の返還と慰謝料など25万円の支払いが命じられました。

11月の控訴審では振込9分後に差し押さえられた13万円には児童手当の属性があり、「差押禁止債権」にあたると判断、「児童手当法に反し差押は違法」として一審・地裁判決を支持、県に13万円の返還を命じました。ただし、1審判決で「権限の乱用」とされた差押え自体については、県に不法行為となる故意や過失はないとの見解を示し、慰謝料25万円の支払いは取り消しました。

この判決の評価・分析については勝俣弁護士に詳しくお話しいただきます。

★どこにもない「滞納処分資料集」つくります

当日準備する「資料集」では、この控訴審の判決文全文と評価分析、さらに全国の市町村が「錦の御旗」のように思っている「平成10年最高裁判決」についての詳しい解説、そして、平成23年度全国市町村の差押状況最新資料を掲載します。

「目からうろこ」そして、「明日から地域での運動に使える」そんな西日本集会になるのは間違いありません。参加申し込み、お急ぎください!!

 

当日資料がほしい方は送料込1000円でお分けします。

 欲しい方は、1月10日までに送り先住所・氏名・連絡先Telfax・必要冊数を明記の上、大阪社保協までfax06-6357-0846 または メールosakasha@poppy.ocn.ne.jp にお送りください。

滞納処分・差押問題西日本国保交流集会

 

高すぎる国保料()が滞納を生み、大量の資格証明書発行、短期保険証未交付、そして理不尽な滞納処分・差押えが行われています。いままさに「国保が財産といのちを奪う」事態となっているのです。

今回、社保協近畿ブロックが中心となって、中央社保協とともに西日本での国保運動交流集会に取り組むこととしました。テーマの中心は「滞納処分・差押問題」と「国保広域化・都道府県単位化」です。ぜひ積極的にご参加ください。

 

★日時 2014年1月18日()午前10時〜17

★会場 大商連会館大会議室(玉造駅は大阪駅から環状線外回りで15分程度)

午前の部(10時〜13時)

講演「滞納処分の基礎知識(法的根拠と判例)とたたかいの到達点」

楠晋一弁護士(京橋共同法律事務所)

   特別報告「鳥取児童手当差押返還請求裁判(高裁判決)について」

午後の部(14時〜17時)

      中央社保協からの報告「国保広域化・都道府県化問題最新情報」

西日本での活動報告・意見交換

★主催  社保協近畿ブロック (現地事務局大阪社保協 Tel06-6354-8662)

★共催  中央社保協

★規模  150人(完全事前申込制 会場のキャパを超えればお断りをします)

★参加費資料代2000円(弁当代込 会場周辺には食べるところがありません 当日精算)

大阪社保協作成「住民運動のための国保ハンドブック2012」を使いますので必ずお持ちください。ない方は当日500円で販売いたしますのでご購入ください。

    

★資料作成の関係上下記申込書記入の上、事前に必ず大阪社保協あてfax06-6357-0846にお送りください。完全事前申込制150人超えるとキャンセル待ちとなりますのでキャンセルの方は必ずご連絡を。

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2014.1.18西日本国保運動交流集会に参加します

  ふりがな(あいうえお順で名簿をつくりますので、必ず書いてください)

  氏名                  □地域・団体名

  連絡先  Tel                fax